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DNJ 8月号 モノづくりと人材(連載) 第1回

2006年07月10日

新時代の型破りな技術者像を追い求めて

五十川洋一執行役員

 私自身はNECの技術者として、通信のインフラ系のハード開発からスタートし、全体のアーキテクトまで手がけた。デジタル方式が立ち上がったころの電話交換機を開発し、実現こそしなかったが衛星に搭載可能な交換機の開発などにも取り組んだ。  通信、ネットワークのハード開発領域では、グローバル規模で業界ナンバーワンがとれる技術者をどう育てるかが最大のポイントになる。しかしネットワークのあり方は大きく変容しており、この課題を実現する道は平坦ではない。

状況一変、人材不足に

従来型の交換、伝送、無線が、急速にIPルータ、サーバなどインターネットのオープンな世界にシフトしている。NECの交換、伝送、無線時代のエンジニアは層も厚く技術力も圧倒的に強かったと自負している。しかし、コンピュータでダウンサイジングが起き、情報通信では流れがIPに向かうことが明らかとなったとたん、技術者不足に直面した。日本のどの企業も同じ問題に直面したと思う。そういう変動のなかで、通信の顧客は米Ciscoに流れた。 NECの中期的課題は、NGN(次世代基幹網)の構築に向けて、新しいネットワークインフラに安全を組み込むような仕組みを目指して、次世代の製品を開発し、市場に提案していくところにある。そこにエンジニア育成の課題も重なってくる。

付加価値のありかを意識する

技術領域別技術者の育成で考えておくべきことは、付加価値の生み方だ。デバイスはデバイス屋、装置は装置屋、ソフトはソフト屋といった水平分業が進行した結果、標準的なものは寄せ集めればできてしまう時代になった。さて、では装置を作ることでどんな付加価値が実現できるのか。これは技術者が自分で意識して仕事の中に問いかけていかなければならない課題だ。 NECでは、専門分野ごとにそれぞれエンジニアを対象とした教育の体系が従前より整備されていた。しかしここ数年、技術の根幹が少しずれて体系として崩れてきた。教育のカリキュラムの見直しが必要になった。目指そうとする新時代の技術者像が問われることになった。 『NCPプロフェッショナル認定制度』を立ち上げたのはこのような背景からだ。 もともとSE部隊向けの制度として立ち上げたが、関係会社を含めたNECハード、装置開発の技術者約6,700人を対象として、3年前からは全社横通しの制度としてスタートした。特長としては、勤続年数や社内職歴とは切り離して資格認定を行うこと、社外で通用する専門能力を資格化し、その市場価値にふさわしい報酬で処遇すること、外部の優秀な人材の確保にも役立つことなどがある。また、経営のプロを育成するビジネスリーダーのキャリアパスとは別に、市場価値を創造する開発一筋の技術プロにポストが割り振れないと技術者のモチベーションがあがらない、という事情もあった。

「あるべき技術者像」と「型破り」

 この制度は「あるべき技術者像」を6つの人材タイプ別に定義している。製品開発のプロジェクトに携わる「プロジェクトマネージャ」、製品戦略・製品計画を推進する「プロダクトプランナ」、開発設計を行う「プロダクトアーキテクト」、専門技術開発により製品に付加価値を提供する「アドバンストテクノロジスト」、生産革新を推進する「生産技術開発」、および「品質保証」だ。 制度は3年目に入りすでに2回、認定合格者を出した。当該分野におけるプロ中のプロとしての「上席プロフェッショナル」(事業部長クラス)、プロジェクト全体をリードする高度な専門家としての「プロフェッショナル」(部長クラス)の上位2資格については、過去2年間で52人を認定し、うち上席には7人を認定した。また6人材タイプの全てに認定者を出してきた。 彼らをどうやって生かすかはこれからだが、この制度は、ハードルの高い目標を提示しながら、何かの型に人を嵌めることではなく、人の後を追わずオリジナル技術を追求するマインドを評価しようとする。  NECの企業文化にもともとあった型破り、自由勝手の気風を赦すという風土のうえで制度を運営していく。そこから、次世代の闊達な技術者たちを育てていくのが本当の狙いだ。  モノづくりの継承は、やはりリーダーとなる人を中心に、一人ずつ育てていく現場に基本がある。若手は先輩の後ろからついて行き、ある時先輩を乗り越えていく。その経験やアナログ的なセンスが問題解決力となって継承されると考えている。

プロフィール:

イソカワ・ヨウイチ
73年NEC入社。87年交換第一ネットワークシステム事業部、交換移動通信事業本部を経て98年アクセスシステム開発本部長。04年ブロードバンドネットワーク事業本部長を経て、05年から現職。(聞き手:甲斐)

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