東レと山形大学・井上教授グループは、急激に衝撃を加えるとゴムのように変形して衝撃を吸収する世界初の高機能プラスチックを開発した。両者は、2008年までを目標に実用化に必要な基本技術を確立し、東レは2010年までの製品化を目指す。
一般的な特性として、プラスチックは高い強度と剛性を持つが衝撃を加えると脆くなり、ゴムは強度と剛性は低いが衝撃を加えても脆くならない。両者は、新エネルギー・産業総合開発機構(NEDO)の委託事業「精密高分子技術プロジェクト」において、2種類以上のプラスチックを数10nm単位の粒子「ナノミセル」をアロイ化(混合)する「ナノミセルアロイ」を応用することで、プラスチックとゴム両方の特性を持つ新規材料の開発に成功した。
同プロジェクトでは、従来のポリマーアロイで用いる、ポリマーを混合する装置の設計を見直し、スクリューの長さと径の比を従来の約3倍以上にした2軸押出機を開発した。溶融状態の材料を、強いせん断力でポリマーを変形させながら混練すると、ナノミセルを多数含むナノアロイ構造を形成できるようになった。
同技術で形成したポリアミド(ナイロン)とポリオレフィンのナノミセルアロイで、実物大の自動車部品を模した形成品を試作すると、ポリアミド特有の強度と剛性を維持しつつ、時速36キロの衝突実験でゴムに似た大きな塑性変形能力をもつことを検証することができた。
これにより1つのプラスチック材料に相反する特性を与えることが可能になり、自動車材料向けで歩行者保護につながる外装部材や、エネルギー吸収性能を活かせる電子部品やスポーツ用品などに新素材として適用できる可能性がある。
精密高分子技術プロジェクトは、経済産業省の「ナノテクノロジープログラム」の一つで、NEDOが化学技術戦略推進機構(JCII)、産業技術総合研究所(AIST)に委託して実施している。15の民間企業とJCII、AIST、大学が参加して、5つの集中研究体で14の開発チームが研究開発を進めている。今回の研究成果は、山形大学集中研究体で井上教授をリーダーに、東レが中心に開発して来たもの。
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東レと山形大学、ゴムのように衝撃を吸収するプラスチックを開発
[issued: 2007.02.05]
既存材料2種と新開発材料の衝撃吸収性の差異
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