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三菱電機、10W深紫外レーザーなど最新研究開発成果を発表

[issued: 2007.02.16]

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下村社長

 三菱電機は15日、同社情報総合技術研究所(神奈川県鎌倉市)で最新の研究開発成果についての発表会を行った。世界最高出力となる10Wを達成した波長 213nmの深紫外レーザーや、太陽電池用シリコンの放電スライシング技術をはじめ、6分野で15件の開発案件を紹介した。

 下村節宏社長は「当社は強い事業をより強くする『VI戦略』と、強い事業を核としたソリューション事業を強化する『AD戦略』という2軸の開発戦略がある。今回紹介する15件はこの戦略の中で、近い将来成長の原動力になるものと確信している」と語った。

 15件のうち新規に発表したのは、「世界最高出力深紫外レーザー」「太陽電池用シリコンの放電スライシング技術」「次世代光アクセスシステム10Gbps-PON技術」「10Gbps超高速VPN装置」の4件。

 「世界最高出力深紫外レーザー」では、空気中で吸収されない最短の領域である波長213nmの深紫外レーザーで、従来の約2倍となる出力10Wを達成した。深紫外レーザーについては、レーザー加工では波長が短いほど加工精度が高いこと、波長300nm以上のレーザーに比べてガラスなど透明材料への吸収率が高いことなどから、光学デバイスや高密度プリント配線板などの加工用に高出力化が期待されていた。

 高出力化で重要なのが、波長変換に用いる非線形光学結晶の純度だ。波長1064nmの赤外レーザーを波長213nmの深紫外レーザーにするためには波長変換を3回行うが、従来はこのうち2回で使用するセシウムリチウムボレート(CLBO)結晶の純度が低く、赤外レーザーの出力をどれだけ大きくしても 5.6Wで飽和していた。

 今回の成果では、大阪大学工学部佐々木研究室が開発した高品質CLBO結晶を用いることにより高出力化を実現した。「300Wの赤外レーザーから10W 出力なので効率が低いように見えるが、同じ深紫外レーザーであるイオンレーザーやエキシマレーザーと効率はほぼ変わらない。さらに波長変換による飽和現象が見えていないので、さらなる高出力化も期待できる」(三菱電機)という。

 「太陽電池用シリコンの放電スライシング技術」では、ワイヤ放電加工機を使って150mm角のシリコンブロックをウエハー厚さ0.2mm、切り代0.25mm、加工速度毎分0.267mmと、従来のワイヤソーと同程度の性能を実現した。

 半導体であるシリコンではパルス放電しにくいため放電加工は難しいとされてきたが、印加電圧の正負が逆転しない単極性電源を開発することで対応した。また放電加工によるシリコンへの影響については、実際に放電スライスしたウエハーで太陽電池セルを試作し、従来と同等の発電効率(15.2%)を確認している。

 今後2009年をめどにさらに開発を進める。「薄肉加工ではウエハー厚さと切り代を合わせた加工ピッチを0.25mmが目標。さらにワイヤソーで一般的なマルチワイヤ加工にも取り組みたい」(同社)という。

 「次世代光アクセスシステム10Gbps-PON技術」では、1本の光ファイバーから分岐させて複数の加入者とつなぐPON方式で、既設のファイバー網を使いながら現行の10倍となる10Gbpsの速度を実現する光送受信器用IC4種類を開発した。

 「10Gbps超高速VPN装置」では、新開発した階層型並列処理方式により10Gbpsでの暗号化と復号化を可能にする暗号通信装置を開発した。今後は小型化を進めながら、2008年を目標に製品化する計画だ。


波長213nmの深紫外レーザーを発生させる波長変換部(模型)。大阪大学で開発した高品質非線形光学結晶を2つ使って、入力光である赤外レーザーの波長を5分の1に変換する

放電加工とワイヤソーによる太陽電池用シリコンスライシングの比較。放電加工では薄肉化による収量増と、ワイヤソーに必要な研磨砥粒が不要になる。図の下にあるのはワイヤソー用の研磨砥粒




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