また、大規模アセンブリの機能を改善した。Campbell氏によると、ハードウエアの性能向上やマルチスレッディングを利用することと、CADシステム自体の最適化により改善したという。大規模アセンブリを簡略表示することで、従来に比べメモリの消費量を40%削減し、モデルの読み込み時間を60%短縮した。
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PTC、コクリエイト製品戦略とPro/ENGINEER Wildfire 4.0を明かす
[issued: 2008.01.21]コクリエイト製品の行方
PTCエグゼクティブ・バイスプレジデント&チーフプロダクトオフィサーJames E. Heppelmann氏
PTCの2007年度の収益を地域別に見ると、北米が全体の39%、欧州が37%、アジアパシフィックが24%を占めている。欧州は23%、アジアパシフィックは12%、北米は1%の成長だった。北米は2006年度は30%の成長を遂げている。販売チャネル別では、直販が全体の79%を占め、代理店販売が21%を占める。直販が9%の伸びであったのに対し、代理店販売が14%伸びた。「我々の販売代理店は主にPro/ENGINEERを販売しているので、この14%の伸びは、SolidWorksやInventorなどと競合する中小企業の市場において、Pro/ENGINEERの強力なビジネスを展開していることを示している」と同氏は語る。
PTCはこれまでPro/ENGINEERとWindchillによってハイテクエレクトロニクスの分野でビジネスを展開してきた。今後は、「73%の収益がハイテクエレクトロニクス分野からきているコクリエイトを買収したことで、コクリエイトの強みをPTCの強みに追加することとなり、PTCはハイテクエレクトロニクス業界で優位性を確保することができる」(Heppelmann氏)。
コクリエイトは欧州、アジアで大きな市場シェアを持っており、「特に日本ではそのシェアは大きく、これはPTCにとってよいことである。また、この買収はPTCとコクリエイト両方の顧客にとってもよいことである」(同氏)という。Heppelmann氏はその理由について「コクリエイトの世界中の顧客数は5,700で、これらの顧客はコクリエイトの技術を好んでいる。しかし、小さなベンダーであるがゆえの将来性に関する心配があった。PTCが買収することで、この心配がなくなった」と語る。「我々は、CoCreate OneSpaceをPTC CoCreateに変名し、コクリエイトの全製品スイートを保持し、強化していく。これらの製品をなくす理由はどこにもない。コクリエイトは健全で有益な会社だからだ。」実際に、コクリエイトを買収後、PTCの成長率は6%上がり、1株当たりの利益は5%増えた。また、“Explicit Modeling”(ノンヒストリベースのモデリング)分野で、PTCに80%の市場シェアをもたらした。
コクリエイトの顧客の中には、コクリエイトがエンタープライズPLM製品を持っていないことに不満をもっている顧客があったという。CADデータを管理する製品Model Managerはあるが、WindchillやTeamcenter、Matrixなどのようなエンタープライズ製品がない。Heppelmann氏は「我々は、コクリエイトの顧客に総合的なPTC製品スイートを提供できる」と語る。PTCはコクリエイトの顧客にWindchillやMathcad、Arbortext、ProductViewなどを提供することが可能となる。また、その逆もあるという。
顧客は設計する製品によってパラメトリックモデリングとExplicit Modelingを使い分けることができる。「再現性を必要とする製品であれば、パラメトリックが適しており、“One-off Design”(1回限りの設計)であれば、Explicit Modelingが適している。また、機能が問題となる設計では、パラメトリックが適しており、フォーム(形)が問題となる設計では、Explicit Modelingが適している。たとえば、航空機のランディングギアは機能が重要となる。ランディングギアは、全体にかかる力や特殊な動きなどエンジニアリングに時間がかかる。携帯電話の場合は形が重要であり、スタイリングに時間がかかる」(Heppelmann氏)。
さらに、設計のサイクルタイムもパラメトリックモデリングとExplicit Modelingの使い分けの判断要素となる。「数ヶ月の設計サイクルタイムであれば、パラメトリックモデリングでもよいが、数週間であればExplicit Modelingの方が早く設計作業を終えることができる」と同氏は語る。
Pro/ENGINEER Wildfire 4.0
PTCデスクトッププロダクト プロダクトマネジメント シニアバイスプレジデントMichael M. Campbell氏
新版の新しい機能の1つは、Auto Round機能である。Campbell氏は、「鋳造部品やプラスチック部品を製造する顧客は、複雑な形状をともなった製品を作るようになっている。見た目や製造性などの理由から形状がかなり複雑になっており、鋳造部品やプラスチック部品にラウンドをつけるのに時間がかかっている」と言う。Auto Round機能は、このラウンド付け作業の多くを自動化し、このプロセスにかかる時間を削減する。「熟練ユーザーで20分かかるこの作業を40秒ほどで完了することが可能となる。あるギアボックスのメーカーでは、1年半の開発サイクルのうち25%がモデルのフィレット作成に費やされている。この作業時間を半分、70%、あるいは90%減らせれば、かなりの時間の節約になる」と同氏。
Auto Round機能。鋳造部品やプラスチック部品のラウンド付け作業の多くを自動化し、このプロセスにかかる時間を短縮する
大規模アセンブリの機能を改善。大規模アセンブリを簡略表示することで、従来に比べメモリの消費量を40%削減し、モデルの読み込み時間を60%短縮した
メカトロニクスの分野にも注力している。Campbell氏は、「多くの顧客は、プラスチック部品や板金だけでなく、組み込みソフトやPCボード、チップ、ケーブルなど、すべての部品を含んだ製品全体のバーチャルプロトタイプを作り、解析やシミュレーション、動作検証を行おうとしている」と言う。「PTCのPDS(製品開発システム)では、Windchillに米Cadence Design Systems社(ケイデンス)や米Mentor Graphics社(メンター・グラフィックス)などとのインターフェースを持たせ、ECADデータを扱えるようにしているが、顧客の課題の1つは、Electromechanical co-design(エレメカ連携の設計)である。」
MCADとECADの連携をスムーズにするPro/ENGINEER ECAD-MCAD Collaboration Extension。MCADとECADの間のリアルタイムの連携が可能で、メカ設計者はPCボードの設計とPCボードのレイアウトを同時に見て、ボード上のコンポーネントの移動をエレ設計者に提案できる
この課題に対し、Wildfire 4.0では新モジュール「Pro/ENGINEER ECAD-MCAD Collaboration Extension」を追加した。「このモジュールは、MCADとECADがより効果的に連携できるようにするメカニズムを提供する。MCADとECADの間のデータのやり取りを日常的に行えるようにし、設計開発時間を短縮できるようにする。IDFファイルをECADからMCADへ渡すことが可能」とCampbell氏は語る。「我々はメカ設計の提案とエレ設計の提案を比較したり、各提案に同意したり、反対したりするのをより身近に行えるようにするべきだと考えており、これをWildfire 4.0で実現した。」MCADとECADの間のリアルタイムの連携が可能で、メカ設計者はPCボードの設計とPCボードのレイアウトを同時に見て、ボード上のコンポーネントの移動をエレ設計者に提案することなどが可能となる。
Wildfire 4.0ではJT Openコンソーシアムの軽量のデータ表示フォーマットJTフォーマットをサポートする新しいモジュール「Pro/ENGINEER Interface for JT」も追加した。顧客はPro/ENGINEERで作成した部品やアセンブリデータをJTフォーマットに変換し、そのデータをPro/ENGINEERにインポートすることができる。
公差解析拡張モジュールPro/ENGINEER Tolerance Analysis Extension powered by CETOL Technology。設計の初期段階で幾何公差を変化させたときの製造品質のばらつきなどを調べることができる
Wildfire 4.0では、新機能としてデジタル著作権管理(Digital Rights Management:DRM)をサポートするモジュール「Pro/ENGINEER Rights Management Extension」も追加した。これは、顧客のIP(知的財産)保護を目的に追加された機能である。設計データが会社内部から出たときにデータを保護するというもの。デジタル情報の暗号化、個人の管理、認証管理により、部品やアセンブリデータを保護する。4段階の認証レベルを設け、データへのアクセス、データの閲覧や変更、保存、コピーなどに制限を与えるようにしている。
Wildfire 4.0は、2008年の第二四半期にPro/INTRALINK 3.xと、2008年2月にWindchill 8.0と、同4月にWindchill 9.0、同第三四半期にWindchill 9.1と互換性を持たせる予定である。「Windchill 10.0とは2009年に互換性を持つようになる予定だ」とCampbell氏は言う。
Pro/ENGINEER Wildfire 4.0は2008年1月末に出荷を開始する予定である。Pro/ENGINEER Interface for JTの価格は9,995ドル、Pro/ENGINEER Tolerance Analysis Extension powered by CETOL Technologyは1,495ドル、Pro/ENGINEER ECAD-MCAD Collaboration Extensionは4,995ドル、Pro/ENGINEER Rights Management Extensionは1,000ドルである。
(大村 泰憲)
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