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MTI Micro、携帯電話に燃料電池を内蔵

[issued: 2008.02.28]

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MTI MicroFuel Cells社社長兼CEOのPeng Lim氏
MTI MicroFuel Cells社社長兼CEOのPeng Lim氏

 米MTI MicroFuel Cells社(MTI Micro)は2月27日、東京ビッグサイトで開催中の「FC EXPO 2008~第4回国際水素・燃料電池展~」においてポータブルデバイス向けの燃料電池「Mobion」の最新プロトタイプを発表した。同社はMobionを2009年に商品化し、出荷する。展示ブースでは、Mobionから市販の携帯電話やデジタルカメラ、デジタル一眼レフカメラに電力を供給し使用してみせた。また、現在市販されている携帯電話にMobionを内蔵したコンセプトモデルを展示し、実際に電源を入れ、使って見せた。MTI Micro社長兼CEOのPeng Lim氏は、「携帯電話に内蔵する燃料電池は、2009年よりも後に商品化する」と語る。「プロトタイプは、燃料を補給する(refill)タイプだが、2009年に商品として提供するものは、カートリッジタイプになる」

現在市販されているスマートフォンにMobionを内蔵したコンセプトモデルを展示
現在市販されているスマートフォンにMobionを内蔵したコンセプトモデルを展示

 同社は、ミニUSBを介して携帯電話やデジタルカメラ、PDA、MP3プレーヤーなどのポータブル電子機器に電力を供給するタイプ、デジタル一眼レフカメラの下に装着する駆動時間を伸ばすためのリチウムイオンバッテリを置き換えるタイプ、さらに、携帯電話のバッテリパック部分を置き換えるタイプを展示した。デジタル一眼レフカメラに装着するタイプのものは、同じパッケージサイズのリチウムイオンバッテリの2倍の時間、電力を供給できるという。また、携帯電話搭載型の燃料電池は、既存のバッテリパックより少し厚いものであり、携帯電話本体の厚さより約1~2mm出っ張る程度である。

Mobionのプロトタイプ。左から順に06年8月に発表した最初のプロトタイプ、同年11月に発表した2番目のプロトタイプ、07年5月に発表したプロトタイプ。生成する電力は3つとも同じ
Mobionのプロトタイプ。左から順に06年8月に発表した最初のプロトタイプ、同年11月に発表した2番目のプロトタイプ、07年5月に発表したプロトタイプ。生成する電力は3つとも同じ

 MTI Microは、2006年5月に韓国Samsung Electronics社(サムスン電子)と、携帯電話などポータブル機器市場向けの燃料電池を作るためのパートナー契約を締結し、その後の2006年8月に同じパッケージサイズのリチウムイオンバッテリに比べより多くのエネルギーを作り出す最初のプロトタイプを発表した。また、同年11月には最初のプロトタイプを40%小型化したプロトタイプ、2007年5月にはさらに40%小型化したプロトタイプを発表した。これらプロトタイプはすべて同じ量のエネルギーを作り出す。

Mobionの3つの用途
ミニUSBを介して携帯電話やデジタルカメラ、PDA、MP3プレーヤーなどのポータブル電子機器に電力を供給する。展示ブースでは、Mobionから電力を供給し、現在市販されているスマートフォンを使用したデモが行われた
ミニUSBを介して携帯電話やデジタルカメラ、PDA、MP3プレーヤーなどのポータブル電子機器に電力を供給する。展示ブースでは、Mobionから電力を供給し、現在市販されているスマートフォンを使用したデモが行われた

 現在、Mobionには3つの用途がある。1つはユニバーサルチャージャー(充電器)としての用途。「今日、多くの人は携帯電話やMP3、デジタルカメラなどのデバイスを持ち歩く。問題は、多くのデバイスには多くの充電器が必要となり、それら複数の充電器を持ち歩かなくてはならない。また、外国へ行く時には、異なるアダプタを持って行かなくてはならない。それらは、多くのスペースを取り、忘れてしまった場合などはかなり不便である。将来多くのデバイスがUSBで充電できるようになり、このMobionを搭載した充電器はUSBケーブルがあれば、いろいろなデバイスを充電できる」(Lim氏)。メタノールを補給、再充填すればすぐに電力を得ることができるため、壁面コンセントから電力を供給したり、充電のために何時間も待つ必要がなくなり、いつでもどこでもポータブルデバイスを使用できるようになる。「すべてのブランドのカメラ、デバイス、携帯電話などに電力供給することが可能。既存のポータブルデバイスにも電力供給でき、デバイス側の設計変更などは不要。ただつなげる、もしくは、搭載するだけでよい」とLim氏は語る。

デジタル一眼レフカメラ用の外付けのリチウムイオンバッテリと同じサイズ、同じパッケージに燃料電池を内蔵したものを、デジタル一眼レフカメラに取り付け、写真を撮った。リチウムイオンバッテリに比べ、同じサイズで2倍の駆動時間を実現する
デジタル一眼レフカメラ用の外付けのリチウムイオンバッテリと同じサイズ、同じパッケージに燃料電池を内蔵したものを、デジタル一眼レフカメラに取り付け、写真を撮った。リチウムイオンバッテリに比べ、同じサイズで2倍の駆動時間を実現する

 2つめは、バッテリの駆動時間を伸ばすためのアタッチメント(付属品)としての用途である。展示ブースでは、デジタル一眼レフカメラ用の外付けのリチウムイオンバッテリと同じサイズ、同じパッケージに燃料電池を内蔵したものを、デジタル一眼レフカメラに取り付け、写真を撮った。リチウムイオンバッテリに比べ、同じサイズで2倍の駆動時間を実現する。「プロトタイプではリフィル型だが、カートリッジタイプを商品として提供する。カートリッジを交換すれば、何時間でもカメラを使えるようになる。カメラ自体の構造を変更する必要がない」(Lim氏)。

Mobionの心臓部であるエンジン
Mobionの心臓部であるエンジン

 3つめのアプローチは、燃料電池を携帯電話などに内蔵するというもの。展示ブースでは、燃料電池を完全に内蔵したスマートフォンの電源を入れ、使用して見せた。「内蔵型では、我々は市販の携帯電話のオリジナルのバッテリを取り除き、そこに燃料電池を搭載しただけである」(Lim氏)。

0~40℃で使用可
 Mobionの強みは、燃料のメタノールと酸素の反応によって生成される水を再利用する構造にある。Mobionのカソードで生成された水はメンブレンを通過しアノード側に移動するため、燃料のメタノールを希釈するための水をアノード側に供給するために必要となる水のコンテナやコンデンサ(液化装置)、ポンプが不要となり、その分小型化が可能である。また、Liquid Conditioning Technology(液体状態調整技術)によって、気温や湿度の変化にも対応し、0~40℃の温度範囲で使用できる。この技術は「湿度の変化に対し、アノード側に移動する水の量と大気から得られる水分の量がバランスするように自己調整(Self Adjust)する」(Lim氏)という。このメンブレンや液体状態調整技術などにより、希釈したメタノールと100%のメタノールを使用できる。

 Mobionに関してMTI Microは全部で92のパテントを持っている。「キーとなるパテントには、Passive Water Management Technologyという技術があり、この技術によりカソードで生成された水蒸気を液化するコンデンサ(液化装置)や、アノード側にその水を供給するためのポンプを不要にしている。また、100%のメタノールを使用するための技術に関するパテントを持っている。家電製品と同じ0~40℃で使用できることも重要である。高い湿度や低い湿度でも使えるのが特長。これを可能にするLiquid Conditioning Technologyと呼ぶ技術に関してパテントを持っている。この技術により、高温、低温、高湿、低湿の環境でも、燃料電池が自己調整し、稼働することができる」とLim氏は語る。

燃料電池とLi-ion電池のハイブリッド
 リチウムイオンバッテリは瞬間的に大きなパワーを供給することができ、燃料電池は長時間電力を供給することができる。携帯電話やカメラなどの起動時やカメラのフラッシュに必要となる大きな電力を供給するため、Mobionは燃料電池とリチウムイオンバッテリの両方を内蔵するハイブリッド構造となっている。「小さいリチウムイオンバッテリを使用している」とLim氏。「リチウムイオンバッテリに燃料電池で生成した電力を蓄え、放電することが可能である。リチウムイオンバッテリに蓄えた電力を、携帯電話やカメラなどの起動時やカメラのフラッシュに使用し、それ以外の時には燃料電池から電力を供給する。この小型リチウムイオンバッテリはバッテリメーカーから供給され、我々が燃料電池に組みこんでいる」

 Mobionのエンジン部分(電力を作り出す部分)は、量産に対応するため、射出成形技術を利用して生産している。射出成形機でメンブレンや、温度や湿度を受け入れ、水分管理を行うLiquid Conditioningエンジンなどすべての構成部品を一緒に成形しているため、接着剤やクリップ、ねじなどを使わずに済んでいる。最初のプロトタイプに比べ、最新のプロトタイプではこのエンジンの部分の厚さを1/2にしており、今後さらに薄型化していくという。

カートリッジ
 MTI Microは、米Duracell社ともパートナーシップを締結しており、カートリッジデザイン(設計)について共同で8つのパテントを取得している。「カートリッジをDuracellなどのバッテリメーカーと共同開発しており、2009年の商品化を目指している」(Lim氏)。「カートリッジは複数のパートナーから供給されるものを使えるようになる」

 カートリッジタイプを商品化することについてLim氏は、「リフィルタイプにはいくつかの問題がある。1つは、不便である。ユーザーが再充填するのは簡単ではない。煩わしい。カートリッジであれば、ただ使い切ったカートリッジを取り出し、新しいカートリッジを挿入するだけで済む。2つめは、現在、再充填用の容器(リフィルタンク)は、飛行機に持ち込むことが許可されていない。カートリッジは許可されている。国際民間航空機関(ICAO:International Civil Aviation Organization)は、2006年にメタノールカートリッジを持ち運びするのは問題ないと承認した。英国、カナダ、中国、日本では、メタノールカートリッジの飛行機への持ち込みが許可されている。米国では、2008年には米国運輸省(DOT:U.S. Department of Transportation)のメタノール燃料カートリッジの飛行機への持ち込みについての提案が承認されると考えている。2009年には米国でもカートリッジであれば、飛行機にも持ち込めるように法律が改定されるため、商品化が加速すると思われる」と語る。

 Lim氏によるとMobionでは、約20ccのカートリッジを使えるようにするという。Mobionは、メタノール1ccで1.4whの電力を作り出すことができる。「リチウムイオンバッテリは、1ccで0.4whぐらいだろう。Mobionでは2ccで約3whとなり、これは一般的なカメラのバッテリと同等である。携帯電話であれば、1回の燃料補給で8~10回充電できる」(同氏)。

今後の展開
 09年にユニバーサルチャージャータイプのものと、バッテリ駆動時間を伸ばすタイプを生産する。「内蔵タイプのものは、09年よりも少し先になるだろう。完全に内蔵されたものとなる。1つのブランドの携帯電話だけでなく、どのブランドの携帯電話にも内蔵できる。現在、異なる家電メーカーとパートナーシップを締結することに焦点を置いており、1つのブランドにフォーカスすることはない。我々自身のブランドとして市場に参入しようとは考えていない」(Lim氏)。

 MTI Microは、Mobionをサムソンなどの家電メーカーにOEM供給する。Mobionは、初めて外販される燃料電池となるだろう。現在、テストのためにプロトタイプを入手することが可能となっている。「米国エネルギー省(DOE:Department of Energy)は現在、プロトタイプのテストを行っている」とLim氏。

(大村 泰憲)

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