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エンジニアに不可欠な並列処理コンピュータ
[2007年01月号]パーソナルスーパーコンピュータがより身近に
lya Mirman氏は米Interactive Supercomputing(ISC)社、マーケティング担当バイスプレジデント
これはおそらく、ムーアの法則がシングルプロセッサのコンピュータの進歩に、うまく当てはまらなかったためだ。最も飛躍的な演算能力の進歩は、プロセッサの高速化ではなく並列に機能する複数のプロセッサによってもたらされる。つい最近までコンピュータの贅沢品であった並列処理が、今や必需品となった。マルチプロセッサワークステーションであれ、グリッドであれ、クラスタや、あるいは企業規模のスーパーコンピュータであれ、科学者やエンジニアが数値演算を行うには並列処理コンピュータがどうしても欠かせない。
しかし、並列プログラミングは依然としてほとんどの科学者やエンジニアの能力を超えた難題である。これにはC言語やフォートランでの難解なプログラミングやMPI(プロセッサ間の通信を行う「メッセージパッシングインターフェース」)が必要となり、通常、オリジナルのモデルやアルゴリズムを開発したユーザーではなく、それに特化したプログラマーによって行われる。皮肉なことに、コンピュータの高度化と低価格化が進んだのに対して、プログラミングはすでに何十年も遅れを取っている(C言語はすでに30年間、フォートランは50年間使用されている)。
技術計算におけるこの課題は国レベルの問題として認識されている。並列プログラミングにおいて最後に実質的な革新があったのは、ベクトル化コンパイラが登場した1980年代である。それ以来、進歩と言えるものはほとんどない。大統領情報技術諮問委員会報告書2005年版に、「システムのプログラミングは困難で、実現した性能は理論上可能な範囲のほんの一部に過ぎない。新しいプログラミングモデルや言語、また高度でより多彩な表現機能を持つツールによって設計の詳細や並列性を隠蔽する必要がある」と述べられていることは驚くに値しない。
幸いにも、デスクトップと並列高性能コンピュータ、両面の利益をもたらす新しい並列プログラミングモデルが登場しつつある。科学者やエンジニアはこれを利用して、“宗教家”のような高度なプログラムの専門家や複雑な並列コーディングなしに、使い慣れたデスクトップツールで作業を行いながら、強力な並列システム上でインタラクティブに問題を処理することができる。つまり、並列プログラミングと格闘することなく、好みの環境(“改宗”不要)でより手軽に並列コンピューティングの威力を実感することが可能となるのである。並列コンピューティングのリソースをその存在を意識せずに利用しながら、アルゴリズムとデータをきめ細かに制御することで、試作モデルをリアルタイムで作成することもできる。
また、このプログラミングモデルではアプリケーションを追加しながら洗練させることが可能なため、実際のデータでテストを開始する時点で必要なだけのアプリケーションを書けばよい。並列アプリケーションをまずプログラムすることに数カ月も数年も要していた時とは異なり、このインタラクティブなワークフローではわずか数分で“最初の計算”までに要する時間を算出できる。これには科学的発見を劇的に加速する未曽有の可能性が秘められている。カスタムコードは数カ月や数年ではなく数日または数週間で開発され、高性能コンピュータは現在のデスクトップPCと同様、インタラクティブに使用される。
過去1年間に、ソフトウエアベンダ数社が両分野をつなげる並列ソリューションを持って市場に参入した。これによって選択肢が広がり競争が増すことは、エンドユーザーにとって朗報である。
この新たなパーソナルスーパーコンピューティングの世界へようこそ。
米Interactive Supercomputing社
米Interactive Supercomputing社は、インタラクティブな並列処理コンピューティングのプラットフォーム「Star-P」を開発している。同社の共同創立者でマサチューセッツ工科大学(MIT)の教授でもあるAlan Edelman氏は、今日のパソコンが持つ大容量メモリや複数のプロセッサと米The MathWorks社のMATLAB言語によるシンプルな拡張を使うことで、データを効率良く分散処理して、計算中の通信障害を減らすことができると結論づけた。同社は、Star-Pを商業化するために2004年に創業し、それ以降、この先進的な技術を市場に流通させるため、共同開発のパートナーである米Silicon Graphics社と密接な協力関係を築いてきた。
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