新技術を最大限に生かす製造プロセスと企業文化
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SIMULATION MANAGEMENT
新技術を最大限に生かす製造プロセスと企業文化
[2007年01月号]ロッキード、トヨタに見る
シミュレーション技術によってロッキード社のパトリオット・ミサイルの設計および製造方法が変わりつつある
異なる所在地の間でデータを集約して保存するか現場で保存するかなどの問題や、通信帯域幅、更新の問題すべてを何度となく検討した。しかし、それよりも既存の技術に満足している技術者文化を変えることが管理上の焦点となった。
ロッキードのダラス工場における製造シミュレーションを担当するGlen Oliver氏は、「技術的な問題は他の問題に比べれば容易に解決できた」と語る。文化面の問題を解決するため、Oliver氏達は経営側にシミュレーションの採用を受け入れさせると同時に、技術者たちが参加できるような取り組みも開始した。各工場が持つ特殊性も認識していたので、全社をこの取り組みに巻き込むことができた。
このように企業文化に対する取り組みに重点を置くことは、会社が生産性を向上し続けるうえで重要になってきている。トヨタはこの運動を主導する企業の1つであり、良好な結果を生む経営上のアクションを決定するために詳細なプロセスを用意している。
トヨタでは一般的に、新しい管理者は自身のアイデアを持ち込まないことになっている。ケンタッキー州アーランガーにあるToyota Motor Engineering社の車両製造技術を担当するゼネラルマネジャーのKenneth Kreafle氏は、「誰かがある職務を離れた場合、後任者は同じプロセスを用いることでシステムを正しく維持する必要がある」と語る。
航空機産業は自動車産業ほど生産規模は大きくないが、この分野のメーカーも、組織のあり方を変えずに新技術を採用しても効率は向上しない、ということに気付き始めている。例えば、米Bell Helicopter(ベル・ヘリコプタ)社では現在、いくつかのシミュレーション・ツールの評価を行っており、同社では業務全般に展開する計画を持っている。
このテキサス州フォートワースのヘリコプタ製造会社がこのソフトウエアを採用する場合の重要な利点は、製造部門が設計部門に対して容易にフィードバックできる機能である。しかしこの双方向コミュニケーションを実現するには、「製造シミュレーション・グループを編成する必要がある」とBell社の製造開発技術者であるMike Wilson氏は語る。
これらの会社が生産性を向上するために購入した開発ツールを作っている会社でさえも、そのツールを使用する組織を変えることで大きな利益が得られるということを認識している。米Delmia社のマーケティング/ビジネス開発担当バイスプレジデントのPeter Schmitt氏は、「紙に代わってコンピュータで仕事すれば5~10%の節約になる。その上に正しいプロセスを用いれば、30~40%の節約ができる」と語る。
今日成功を収めている企業が採用しているプロセスの一つは、製造および設計チームが彼らの決定が他のグループにどのような影響を与えるかについて確認することである。「設計変更が製造に与える影響を考慮することは重要である。あらゆる観点から変更を考慮しなければならない」(Schmitt氏)。
工程管理により、トヨタはAVALONの製造で不具合を最小に抑えている
このようなプロセス方針は、日本の自動車メーカーがコストを大幅に削減するのに役立っている。設計部門と製造部門の相互作用に関心の多くが置かれているが、プロセスの変更は生産現場にも伝えられる。企業が工場資産の効率を最適化するためのサービス・ソリューションの開発を支援しているスウェーデンSKF社のSKF Reliability Systems事業では現在、「オペレータ・ドリブン・リライアビリティ(作業者による信頼性向上)」という手法に注目している。
この手法では設備を毎日使用するオペレータが単純な整備を実施し、あるいは設備に何か明らかな違いがある場合に整備要員に注意を促すようにしている。このような予防整備は予期せぬダウンタイム(工程の停止)を削減する上で大いに効果がある。SKF社のビジネス開発マネジャー、Dave Staples氏は、「我々はこれをhidden plant(隠れた工場)と呼んでいる。全て最良の設備を使用するように考えれば、会社は生産性を25~35%向上できる」と語る。
トヨタでは33万米ドルを費やした試験プログラムが終えようとしている。このプログラムでは、シミュレーションを用いて、生産ラインの取り付け作業者の姿勢を調べる。このプロジェクトによって、姿勢に関連する負傷に関して180万米ドルを削減することになるだろう。また、同時に生産ラインが完成する前から取り付け作業者の訓練を開始できるため、生産初期の生産性の向上に一役買うことになる。
多くの会社では、工場要員が製品をどのように組み立てるのかを確認したり、その任務にどんなツールが必要であるかを知るために、タブレット・コンピュータを使用し始めている。技術者と同様、生産現場の作業者に仕事の仕方を変えさせることは容易ではないとの指摘がある。CIMdata社(米ミシガン州アンアーバー)の社長であるEd Miller氏は、「工場の人間がすぐに使いたくなるようなシステムを用意することは、非常に難しい」と語る。
製品の設計および製造プロセス全体において、標準プロセスを使用するもう一つの利点は、作業の進行状況を判断するのがより容易になることである。関連するグループ間で多くの異なる手法を使用している場合、何が完了していて何が未完であるのかを判断することは難しくなる。
(Terry Costlow)
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