3次元的な指構造をしたナノマニピュレータと、植物細胞内から単一の葉緑体を取り出すことに成功したフィルタリングツール。兵庫県立大学大学院 松井真二教授の研究室で博士課程2年生の米谷玲皇氏は、集束イオンビーム励起化学気相堆積法(FIB-CVD:Focused-Ion-Beam Chemical-Vapor-Deposition)を用いてこれらを作製した。このマニピュレータは、ナノ空間に構築した3次元配線内へ、LEDやピエゾ素子、ナノ構造部品をつかんで組み立てることを目指している。シンプルな構造にするために、静電反発力で駆動する単極駆動を採用した。一般的なMEMSでは、静電吸引力を主に利用するが、+電荷と-電荷をデバイスに与えるために少なくとも2極必要になる。しかし、静電反発力を利用する場合には、電極は1つだけで済む。マニピュレータがターゲットをつかんだ状態では、電気的な力が働いていないので、電気的な作用で損傷を与える心配がない。また、複数本の指がついているため、多方向からターゲットをしっかりとつかむことができる。一方、フィルタリングツールは、細胞内から葉緑体やミトコンドリアなどの細胞内小器官を取り出すことを目的としている。取り出しに時間がかかると、細胞の変質などの影響で、正確な生体情報を得る事ができないので、サイズ選別を行うネット構造を持ち、すばやく簡単な操作で細胞内小器官を取り出せるこの構造にたどりついた。細胞にこのツールを刺し入れることで、目的の細胞内小器官を毛細管現象によって吸引し、捕獲できる。
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