環境対策特集

モノづくりと有害物質規制:2ndステージ
飛躍的に拡大する有害化学物質対応の
分析機器、分析サービス市場

[2007年02月号]

RoHS指令をはじめ、製品内の有害化学物質を調べるには、対応した分析機器を導入したり、分析サービスを利用する必要がある。従来、これら化学分析の市場は、大学や企業の研究所などの研究開発分野が中心で限定的なものだったが、EUのRoHS指令公布以降は品質管理のため生産インフラとしての需要が飛躍的に拡大している。分析機器、分析サービスの有力企業の取り組みを聞いた。


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分析機器

島津製作所
島津製作所、分析計測営業部、若尾豪スペクトロ、X線・表面分析担当マネージャー
島津製作所、分析計測営業部、若尾豪スペクトロ、X線・表面分析担当マネージャー
島津製作所、分析計測営業部セールスプロモーション課(MS担当)、寺正成マネージャー
島津製作所、分析計測営業部セールスプロモーション課(MS担当)、寺正成マネージャー

 「RoHS指令の全規制物質の検査を総合的にサポートできます」——島津製作所のキャッチフレーズは、高シェアを持つ蛍光X線分析装置など、RoHS対象6物質のスクリーニング分析から精密分析に対応する製品を1社で提供できることを表している。さらに、RoHS指令を施行する欧州、中国をはじめ世界全域に拠点網を展開しており、工場のグローバル展開を推し進める国内メーカーへの対応力も高い。

 主力製品は、2005年12月に発売したスクリーニング分析に用いる蛍光X線分析装置「EDX-720」。新型フィルタと高計数のデジタル計数回路を搭載することで、従来比2倍の高感度化を実現しており、以前は困難だった金属試料中の金属系有害物質の分析にも対応した。処理速度についても、鉛の測定で目標精度まで約5分必要だったところを30秒で完了できる測定時間短縮機能を追加。価格も900万円と、1,000万円以下に抑えた。分析計測営業部の若尾豪スペクトロ、X線・表面分析担当マネージャーは「有害物質規制に対応した分析機器で、当社はパイオニアだという自負がある。従来、蛍光X線分析装置は専門家が使うものだったが、これからは生産ラインで使う『検査装置』としての機能が重要になる」と話す。07年1月には、顧客からの要望に応えて分析ソフトのアップデートを行った。新規メニューの追加で操作プロセスを削減し、分析結果の出力自由度も高めた。「顧客からの要望では、マウス操作のクリック数を減らして欲しいというのが圧倒的に多い」(若尾マネージャー)という。

島津製作所の蛍光X線分析装置EDX-720(上)とガスクロマトグラフ質量分析計GCMS-QP 2010 Plus
島津製作所の蛍光X線分析装置EDX-720(上)とガスクロマトグラフ質量分析計GCMS-QP 2010 Plus

 06年からは、微小部分析に用いる「μEDXシリーズ」の展開も強化している。独自開発のポリキャピラリレンズにより、直径50μmの領域に収束してX線を照射することで高感度分析を実現した。ステージを動かす高速スキャンで、試料上にある元素のマッピング測定も可能だ。RoHS指令対応では、部品を実装した電子基板上の鉛検査用途を中心に提案活動を行っている。

 臭素系難燃剤のPBB、PBDEなど有機系化学物質の精密分析に用いるガスクロマトグラフ質量分析計(GC-MS)では、06年6月に「GCMS-QP2010 Plus」を発売した。従来比3倍という高感度化を達成し、生産性、操作性も向上。分析計測営業部セールスプロモーション課(MS担当)の寺正成マネージャーは「前処理が煩雑な高精度分析だけでなく、熱抽出ユニットを使った簡易分析なども含めて提案している。GC-MSの市場は幅広く、現時点で有害物質規制関連は国内需要の10%にも満たないが引き合いは確実に増えているので、力を入れて行きたい」と語る。一般環境分析なども含めて、GC-MSの世界シェアを16%から25%に引き上げるグローバル戦略商品でもある。

エスアイアイ・ナノテクノロジー
エスアイアイ・ナノテクノロジー、営業統括部長、長沢寛治取締役
エスアイアイ・ナノテクノロジー、営業統括部長、長沢寛治取締役

 エスアイアイ・ナノテクノロジーは、前身であるセイコーインスツルの科学機器事業部門の時代から精密計測機器を開発して来た。有害物質規制に対応する分析機器では、蛍光X線分析装置や高周波誘導結合プラズマ(ICP)発光分光/質量分析装置など無機分析用途が中心だ。

 需要が急拡大している蛍光X線分析装置では、87年に第1号機を開発した「SEAシリーズ」がある。卓上型装置「SEA2000シリーズ」を中心に性能アップを重ねながら国内で実績を積み重ねて来た。そして04年には、有害物質分析に特化した「SEA1000A」を投入。液体窒素が不要の電子冷却式検出器を採用しながらも感度を維持し、680万円という低価格を実現したことから国内大手電機メーカーを中心に高い評価を得た。営業統括部長の長沢寛治取締役は「さらに松下電器と共同開発した有害物質判定ソフトを標準実装することで、より効率的で高精度な分析を実現した。これにより、05年からRoHS指令対応で一気に拡大した市場の支持を得ることができた」と話す。

エスアイアイ・ナノテクノロジーの高感度蛍光X線分析装置SEA1200VX
エスアイアイ・ナノテクノロジーの高感度蛍光X線分析装置SEA1200VX

 SEA1000Aは、05年度で500台、06年度は2倍以上となる1,000台を超える年間出荷を記録し、07年度以降も1,000台程度の需要を見込んでいる。「足元の受注では、中国などアジア地域の伸びが大きく、海外比率は50%以上になっている。この伸びる海外需要に応えるため、新たに中国・上海に工場を建設して06年初からSEA1000Aの生産を開始した」(長沢取締役)という。当初の生産比率は、御殿場工場(静岡県)80%、上海工場20%だったが、海外需要の急増に合わせて、現在は50%ずつとして上海工場の生産を引き上げている。07年以降はコスト要求の厳しい中国市場を視野に入れ、X線管や検出器など重要部材の現地調達とその品質管理に取り組んで行く方針だ。

 一方、御殿場工場では、生産を減らしたSEA1000Aの代わりに、06年6月に発表した高感度の蛍光X線分析装置「SEA1200VX」など、高付加価値製品の生産に注力している。SEA1200VXは、新開発のX線検出器「Vortex」を搭載することで飛躍的に感度、分解能を向上。測定時間は、ポリ塩化ビニル樹脂中の鉛で従来比30分の1となる10秒、金属中の鉛、カドミウムでは10分の1を達成し、検出下限も2倍から5倍程度にまで向上している。長沢取締役は「自動車に例えるなら、SEA1000Aが1,000CCのエンジンとすれば、SEA1200VXは5,000CC。それで価格は1000万円。さらに詳細な分析を求める国内電機メーカーを中心に展開して行く」と意気込む。



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