Dr.Morishita's Corner

Excelで簡単に実践できる!! 流体力学

第10回 まとめ
各種分野への適用と業務での活用

[2007年02月号]

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各種分野への適用
 Excelなどの表計算は各種分野に適用されている。工学の入門分野では材料力学への適用が典型である。荷重を図1中のボタンによって変化させながら、片持ばりの変形の様子を実感できる。さらに進んで有限要素法などを扱うテキストも出版されている。

 電磁気学や電気工学もExcelによく馴染む分野である。そもそもラプラスの方程式の表計算による解法は電磁気学の分野で始まったのではないかと推測される。図2は水色の電極が0V、赤色の電極が1000Vの場合の電界を計算したものである。

図1 材料力学—片持ばりの変形
図1 材料力学—片持ばりの変形


図2 電磁気学—電界の計算
図2 電磁気学—電界の計算
(Filby, G.(Ed.), Spreadsheets in Science and Engineering, Springer,1998より改題)


設計業務での活用
 表計算はGoogleのように機能は制限されるが、ウェブ上でも活用できるようになっているので、業務上での技術情報の共有にも効果を発揮する。

 大規模で高度な解析には各種市販ソフトが活用されているが、ちょっとした設計計算などにはExcelの出番が大いにある。

 流体関連の計算は変数が多いため、計算が複雑になりがちではあるが、すべり軸受け油膜圧の計算などは表計算で扱い易いテーマである(図3)。また設計現場でも需要の多いテーマであり、実際に活用しているというお話を伺ったことがある。

図3 軸受け油膜圧
図3 軸受け油膜圧
(Filby, G.(Ed.), Spreadsheets in Science and Engineering, Springer,1998より改題)


まとめ
 Excelなどの表計算による流体解析について、概要の解説を行ってきた。

 表計算には事務処理的な機能のみでなく、科学技術計算に関する各種の機能が装備されている。ベッセル関数など、普段あまり利用しないが、工学や理学では重要なものが多く含まれている。複素数、ベクトル、逆行列、フーリエ解析など、枚挙にいとまが無い。

 流体や電磁界の計算などでは、繰り返し計算を利用して、図2のようなラプラス方程式、オイラー方程式、ナビエ・ストークス方程式等を解くことができる。元数が少ない場合は、ソルバー機能でも解くことができることは興味深い。

 ソルバーに関する学生のレポートには時々目を見張るものがある。保育所で必要な栄養素を確保しつつ、食材の購入費を最低限にする問題をソルバーで解いてあったのには感心した。日々このような要求は多い。

 Excelは広く普及して、初心者にも扱い易く学習者に最適である。技術者や研究者にとっても優れたツールで、設計や研究用の計算にも素晴らしいパワーを発揮するものである。各種業務での益々の活用が見込まれる。



森下悦生(モリシタエツオ)
 1949年三重県生まれ。東京大学工学部航空学科卒、同大学院修士課程修了、ケンブリッジ大学工学部修士課程修了。1974年三菱電機に入社、スクロール圧縮機の研究開発などに携わる。1993年より現職、東京大学大学院航空宇宙工学専攻、教授として教鞭を取る。

●著者連絡先
tmorisi@mail.ecc.u-tokyo.ac.jp
●表計算流体力学 森下研究室(参考ウェブ)
http://user.ecc.u-tokyo.ac.jp/~tmorisi/sfd/sfd.htm

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