Calamities 本当にあった事故例

ガタガタになった
ディーゼル車両の訴訟

[2007年03月号]

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 あるアルミニウムリサイクル業者の代理人である弁護士が、5台のディーゼルエンジンフォークリフトを調査するために私を雇った。フォークリフトのリース会社(ディーラーでもある)と借り主であるリサイクル業者の間の争議を解決するためである。ディーラーの最も新しい明細には、通常の損耗を超える磨耗や損傷が生じた品物に対する大きな費用が含まれていた。この高額な費用に驚いたリサイクル業者は、支払いを拒否した。ディーラーはすぐにフォークリフトをリサイクル工場から引き上げたため、リサイクル業者は急きょ、他からフォークリフトを調達した。目に見える妥協のないまま、サービス代金と彼らの言うところの壊れた部品代を回収するために、ディーラーは訴訟を起こした。

捜査内容
 ディーラーの作業場で私は5台のフォークリフトを調査したが、私がこれまで見た中で最も悲惨な外観のフォークリフトであった。程度は異なるが、それぞれのフォークリフトで、硬いゴムタイヤからは大量のゴムがなくなっていた。シートは破れてすり減り、ハンドルは曲がり、昇降機能は損傷し、その他もろもろの問題があった。私は、1人の整備士と共に1台の荷物集配用のバッテリーカートを使用し、それぞれのフォークリフトの作動状態と物理的な状態を調べることで、双方の主張に対する一つの回答を用意した。

 最後の2台に対する請求費用が最も大きかった。4台目は始動しないばかりでなくクランクを回すことさえもままならない。整備士と私はお互いの顔を見合わせ、声を揃えて「エンジンが死んでいる」と言った。オイルの点検棒は乾ききっていることがわかった。私の依頼者には日常点検を実施する責任があり、これにはオイル点検も含まれるが、そうしなかったためにエンジンが動かなくなってしまったのである。

 最後のフォークリフトのクランクは容易に回ったが、始動したのはエーテルアルコール類を入れたときだけで、しかもやっと走る程度であった。タンクには大量の燃料があった。整備士がそれぞれの噴射器のところで燃料ラインを割って緩め、エンジンをクランクしてみた。燃料がそれぞれの噴射器から勢いよく出たので、インジェクタポンプが作動していることは確認できた。整備士がグロープラグを引き抜いてそのポートに圧縮計を接続した。圧縮計の針はわずかに振れただけで、発火するには全く圧縮が足りないことを示した。なぜ、この車両のエンジンは基本的に他の4台と同じ運用時間なのに壊れてしまったのだろうか。

動かぬ証拠
 私は、リサイクル業者がそれぞれの車両を改造していたということに気が付いた。排気系統は配管ルートが変えられ、サイドブレーキは取り替えられていた。フォーク及びキャリッジにはビットやブラケットが溶接されていた。このフォークリフトには、何かものを入れておくための箱が、運転席の隣にある平らなエンジン室カバーの上に取り付けられていた。私が手がかりを得るために箱をはがしてみると、エアフィルタとインテークマニホールドの間にあるパイプに穴が開いていた。さらに、この箱をとめるための長いボルトがインテークパイプにできた磨耗による穴に一致していることもわかった。十分に大きな荷重がかかるとグラスファイバー製のカバーがたわんでボルトのねじ部がやすりのように作用し、インテークパイプに穴を作ったのは明らかであった。フィルターを通していない、研磨性を持つ粒子を含んだ空気がエンジンシリンダの壁面およびピストンリングをむしばみ、圧縮力と性能を猛烈に損なって行くのにそれほどの時間はかからなかっただろう。この問題に関する私の意見は2つに割れた。つまり、私のクライアントは非承認の改造を行ったが、原告であるディーラーの整備士は整備点検の際にインテークパイプに穴があることを見つけそこなったわけである。

 私の意見報告書では、最終的な金銭的責任を原告と被告でほぼ50対50で負担することとした。それでも、どちらの側も法廷で争うことを選択した。私は証人として呼ばれたが、訴訟資料を手に持って法廷のホールで座っていると、休廷中に私の担当弁護士とクライアントが出てきて、私を家へ送っていった。後に私は、裁判官の勧告により、賢明な処置がとられ、訴訟が調停になったことを知った。そしてその負担割合が私のまさに予想通りであったことも。

Myron J. Boyajian氏、エンジニアリング・コンサルタント社の社長
Myron J. Boyajian氏、エンジニアリング・コンサルタント社の社長 Myron J. Boyajian氏(ntesla@ieee.org)はエンジニアリング・コンサルタント社の社長。彼らは設計と法律に関するコンサルティングサービスを行っている。今回紹介したケースは彼のファイルより引用した。

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