モーション・メカニズム特集

「動き」を伝達する軸受・直動機器の技術開発

自動車、工作機械中心に市場は拡大基調へ

[2007年04月号]

 近年の日本の好調な産業といえば、自動車と工作機械が挙げられる。この2分野とも、内部の複雑な「モーション(動き)」をいかに制御するかが、その製品の競争力に直結する。例えば、エンジンからの動力をタイヤに伝えるトランスミッションや、マシニングセンターの加工主軸など、動きは意図通りに伝達されることで初めて「機能」になる。そして軸受・直動機器は、動きを伝達する「モーション・メカニズム」の中核製品であり、顧客の好調さを受けて市場は拡大基調にある。好況の中で次の一手となる技術開発の方向性について、有力各社を取材した。 (取材担当:朴 尚洙)


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軸受と直動機器は、各製品に合わせて大きさはさまざま。ミネベアの直径3mmの玉軸受(左)、日本トムソンのミニチュアリニアウェイ(レール幅1mm~5mm)。

NTNの風力発電機用大型軸受(左)とTHKのLMガイドを使った免震システムの工事のようす

 「産業のコメと言えば?」と問われた場合、思い浮かべるものは何だろうか。おそらくその答えは、自身の所属する業界によって異なってくるだろう。もし電機業界での経験が長ければ「半導体」と考えるだろうし、素材産業であれば「鉄」と答えるかもしれない。「産業のコメ」というのは、産業の基盤を成し、かつ海外輸出による外貨獲得が期待できるような製品のことを指すので、答えは一つとは限らない。そして軸受も産業のコメと呼ばれる製品である。


軸受の国内生産は7000億円へ

 回転運動を伝達する軸受は、転がり軸受とすべり軸受に分かれるが、市場の中核に位置するのは転がり軸受である。転がり軸受は、外輪と内輪の間に、玉やころなどの転動体と、その転動体を分離する保持器の4要素で構成されている。単純な構造ではあるが、用いられる製品分野や用途により、大きさ、形状、転動体の種類、素材、潤滑のためのオイルやグリース、加工精度を変更する必要があり、技術開発の課題は多い。

 転がり軸受の国内生産額は、2006年が前年比6.5%増の6996億円とほぼ7000億円の大台に到達した(経済産業省機械統計による)。02年を底に 4年連続で市場は拡大しており、07年も自動車、建設機械、工作機械が牽引して前年比プラスとなる可能性は高い。世界全体の軸受市場は2兆数千億円規模と言われ、国内生産額はその3分の1近くに達する。また国内メーカーの海外工場での生産額は現時点で約3000億円で、コスト競争力を高める最適地生産を行うため今後も増えていくことは確実だ。

  転がり構造を直線運動に応用した直動機器の歴史は1972年に、創業間もないTHKが開発した「LMガイド」から始まる。半導体製造装置などを中心にその需要は拡大しており、現在の世界全体での市場規模は約3000億円とも言われる。






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