モーション・メカニズム特集

メンテナンスフリーと環境負荷低減

[2007年04月号]

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 軸受、直動機器が動くためにはオイルやグリースなどの潤滑剤が必要になる。この潤滑剤については、各社とも独立した部門を設けて研究開発を行うほど重要な要素技術ではあるが、顧客にとってみれば潤滑剤は消耗品でかつ、メンテナンスという無駄な作業を必要とするものでしかない。

 「JIMTOF2006で出展した世界最速軸受3機種で、最も引き合いが強かったのがグリース補給タイプ円筒ころ軸受だった」(日本精工中村精密軸受技術部長)という通り、工作機械や半導体製造装置のメーカーは、潤滑剤に関するメンテナンスを不要にする「メンテナンスフリー」への要求を強くしている。実際に、装置稼働時間が向上するだけでなく、メンテナンスのための人員が不要になり、環境負荷低減にもつながるなど、自身の製品へのメリットが明確だからだ。

 日本精工の開発したグリース補給タイプ円筒ころ軸受は、dmn値が160万、軸径70mmで毎分1万8,000回転を達成した。従来のグリース封入タイプの毎分1万3000回転を超えて、グリース潤滑で世界最高速を達成した。新開発のグリース補給装置「ファインループⅡ」との組み合わせで、外輪穴から補給されるグリースを保持器を介して軸受内部に導くことにより高速回転が可能になった。グリースの自動補給により、封入タイプのメンテナンスサイクル約300 時間に対して、2万時間のメンテナンスフリーを実現した。従来のアンギュラ玉軸受と合わせてグリース補給に対応する高速主軸として提案して行く。すでにスピンドルユニットと合わせて一部顧客への納入を開始しており、間もなく本格発売する。

  NTNは、完全メンテナンスフリーでdmn値200万の高速運転が可能な「新グリース潤滑システム」を発表している。軸受側面にグリース溜り部を設けて、運転に伴う温度変化により、グリースの増ちょう剤から分離した基油のみが自動的に軌道面に微量給油される機構を採用した。グリース補給装置が不要なので、メンテナンスフリー性能が高く、さらなるコスト低減にもつながるという。現在は、実時間で3年のエイジング試験を行っているところで、温度変化によるグリース供給が機械に組み込んだ場合どうなるかなど評価作業を進めており、商品化は早くても2008年の予定だ。


日本トムソンのCスリーブのグリース供給メカニズム


ボールリテーナとキャピラリー

 軸受は一般的に、転動体を保持する保持器(リテーナ)を持っているが、リニアガイドは1990年代前半まで、ボール循環部の中が全てボールで埋まっている「総ボール」があたり前だった。しかしTHKは96年に、樹脂のリテーナでボールを保持し循環させる「ボールリテーナ入りLMガイド」を開発した。「ボール同士の接触がなくなるので騒音が減り寿命も長くなる。そしてボールリテーナ部分にあるグリースポケットがグリースを保持してくれるのでグリース使用量が従来の数分の1~数十分の1になる」(THK舟橋取締役)など多くの機能向上をもたらした。さらにブロックに装着するグリース補給ユニット「QZ」と組み合わせることで、テストベンチによる試験で最大3万kmの走行をグリース無補給で実現している。

 日本トムソンは、ブロックに潤滑ユニットを装着することなく、メンテナンスフリーで5年または2万kmの走行を保証する「Cスリーブ」を2000年に開発した。Cスリーブは、特殊な微細樹脂パウダーを材料にして筒状に焼結成形して、毛細管現象(キャピラリー)を応用して樹脂に多量のグリースを含浸させたもの。これをブロック内部のボール循環部に組み込めば、Cスリーブ内部をボールが通過した時にボール表面にグリースが供給される。「まず98年にブロックに装着するCプレートから開発したのだが、ブロックの中に組み込むことで外形寸法が全く変わらないCスリーブは非常に高い評価を受けた」(山田専務)という。またミニチュアリニアガイドに注力していることから、最小でレール幅5mmの製品にもCスリーブを対応させている。







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