モノづくりと人材・技術経営

「モノづくり立社」:
グローバル化で加速

[2007年06月号]

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パナソニック コミュニケーションズ
是久洋一取締役

コレヒサ・ヨウイチ 85年九州松下電器(現パナソニック コミュニケーションズ)入社。99年開発研究所所長、02年イギリス九州松下電器(現PCCUK)社長を歴任。2005年6月から取締役人事・総務担当となり、現在に至る。
(聞き手:朴 尚洙)

 パナソニック コミュニケーションズ(PCC)は、2003年に旧九州松下電器を中心にして松下電器グループの通信機器事業を再編して設立された。

  大分出身、九州大学卒と九州で生まれ育った私にとって九州松下は親しみ深い企業だったが、新卒時から入社している生え抜きではなく、いわゆるUターン転職組になる。

  九州松下は、東京、大阪で若い時を過ごして地元に戻って来る九州生まれの技術者の受け皿であり、PCCになってもその役割は変わっていない。

  キャリア採用は積極的に継続して行っており、3,000人強の技術者のうち約3分の1がキャリア採用だ。

顧客理解の重要性
 私は理学部で化学を専攻していたが、オイルショックの影響で化学系の就職が難しかったこともあり、東京でシステムエンジニアとして働くこととなった。約9 年間、銀行のオンラインシステムの開発に携わったが、銀行毎の個別仕様の専用端末を開発する中で、顧客を理解することの重要性と、プロジェクトマネジメントの醍醐味を知ることができた。

 九州に戻ったのは1985年。当時九州松下が立ち上げ始めていたPBX(電話交換機)事業のソフト開発のプロジェクトマネージャーを担当することになった。その後は国内でUNIXベースの電子組版システム、PHS基地局、米国研究所で衛星通信端末、実装機のアルゴリズム開発などを担当してから、要素技術開発を行う開発研究所の所長も務め、開発マネジメントに関わる様々な経験をすることができた。

  PBX事業は、海外の回線ベースでシェアトップになるなど大きく成長し、PCCの中核事業の一つになっている成功例だが、当初は市場への浸透に大変苦労した。

  一方で、通信キャリアと共同開発したPHSや全地球規模でのプロジェクトだった米国での衛星通信端末開発は、ビジネスとしては終息したが、そこで培った経験はPCC全体に息づいている。

効率経営もシステム開発の一環
  2002年に英国の現地法人(現PCCUK)の責任者として赴任し、これまでの開発中心のマネジメントではなく、会社経営に携わることになった。当時英国ではPBXとコードレス電話の製造・販売を行っていたが、利益率の高いPBXに対して民生向けのコードレス電話は利益を取れずにいた。そこで構造改革と同時に欧州市場向けPBXに事業を絞り込むなどのリストラを進めて、売上高は縮小したものの黒字経営を確立することができた。

 英国では、欧米と日本の経営スタイルの違いを認識できたし、グローバル対応のためには欧米的な経営に学ぶことも多いと実感した。また経営に携わったことで、PBXなどの機器システムを開発することと、会社経営において効率的なシステムを開発することが、同じシステム開発の一環であると考えるようにもなった。

海外売上高比率80%
  PCCの海外売上高比率は約80%と極めて高い。ビジネスの実態がほとんど海外にある以上、従来の以心伝心的な日本流経営から、はっきりと意志が伝わるグローバル対応のマネジメントに切り替えて行くのは当然であり、モノづくりについても生産だけでなく研究開発機能などを海外に展開していく「モノづくりのグローバル化」を推進している。

 例えば、地域、顧客で多種多様な仕様になるPBXは現地で個別に対応する方が良いことも多い。また大量生産品でも商品価値が技術ではなくデザインなどになっている製品であれば、現地で開発する価値はある。一方で、技術集約型である商品については国内に研究開発を集中する必要がある。

  現在はマレーシアにある開発拠点の人員を、数百人規模にまで増員する計画で、人材確保に努めている。またモノづくりのグローバル化の一環として、他の海外拠点にも同様の取り組みを広げて行くことを検討している。

製造に閉じないモノづくり

  松下電器の大坪文雄社長は、製造だけでなく開発、企画からマーケティング、サービスまでを含めた「製造に閉じないモノづくり」による「モノづくり立社」の実現を目指している。海外売上高比率の高いPCCにとって、率先して取り組むべき指針になるだろう。

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