設計情報の見える化と3次元図面

第6回 3次元設計はここが課題だ

[2007年06月号]

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解決のための課題

  図1では、3次元の利点である視覚的パフォーマンスがアウトプットに生かされていないという3次元設計の問題点がお互いの連鎖を引き起こしていることを示している。その要因は次の2つである。

要因①製品特性の定義を3次元空間で行なうことができない。

要因②設計情報の「見える化」手段が2次元図面のみである。
 この2つの要因を排除することで、3次元図面の問題の解決が図れるのである。実はこの2つの要因も密接に連鎖している。設計情報の「見える化」手段を2次元図面以外に見出す前提であれば、製品特性の定義を3次元空間で行なえる機能の必要性が高まり、その開発が成されるはずだ。つまり、現状の3次元CADにこの実用的機能が無いのは、開発の技術的問題からではなく、開発の必要性がそれほど高くなかったからと理解される。

 では、この2つの要因を排除するための課題を考えてみよう。

 要因①は、製品特性の定義を3次元空間で行なうことができないのだから、これをできるようにすることが課題となる。つまり、従来は3次元形状モデルから2 次元投影された線図に寸法情報その他を定義・表現していた。この作業を3次元座標空間において定義・表現可能にすることである。この場合、これを実現する作業手法の確立と、CADの機能開発が必要となる。

 要因②は、設計情報の「見える化」手段が2次元図面のみであるから、2次元図面以外の手段で設計情報の「見える化」を実現することが課題となる。つまり、設計情報を3次元のまま表現して伝達可能にする新しい媒体を準備し、従来の2次元図面の優れた閲覧性(いつでも何処でも)を確保できる手段を実現することである。

  以上から課題を以下及び図2にまとめる。

課題1製品特性を3次元空間で定義すること。このために、3次元空間の3次元モデルに直接製品特性を定義する標準的手法を確立すること、そしてこれを実現する3次元CADの機能を開発すること。さらに、製品形状と製品特性を持つ3Dモデル構造を実現すること。

課題2設計情報を3次元のまま表現して伝達できる媒体を準備すること。この媒体は、いつでも何処でも利用可能となる配慮が必要であること、すなわち、2次元図面と同等以上の利便性を有すること。



図2 3次元設計の課題


3次元設計の本来の姿

  このように、現状の3次元設計の課題を3次元の利点を設計のアウトプット(川下工程)に生かすための課題と捉えて、これを解決できれば、図3に示すように3次元設計は3次元で作業され、その成果を3次元のまま表現し伝達する本来のあるべき姿に近づくことができる。

  次回は、課題の具体的な解決策となる3次元図面構想へ進む。


図3 3次元設計の本来の姿





成沢良幸
ナリサワ ヨシユキ 1954年東京生まれ。東京航空高専機械工学科卒、1974年リオン株式会社入社。世界初の防水補聴器の開発など補聴器の研究開発に携わり、1989年補聴器の小型高密度化のため設計の3次元化を推進。その後国内製造業各社の3次元CAD導入推進をサポート。現在同社技術統括部聴能技術部部長を務める。
●著者連絡先
yosiyuki@rion.co.jp

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