イベントレポート

ラピッドプロトタイピングで実生産

[2007年08月号]

第18回設計・製造ソリューション展から


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Zコーポレーション ジャパンのフルカラー3DプリンタZPrinter450。高精度450dpiのフルカラー造形が可能

 従来、造形機は部品の形状やデザインの確認のための試作用に使われていたが、製品開発期間の短縮などを理由に、その活用範囲が拡がってきた。現在では、実際に部品を組み付けて確認したい、実際の部品を製造したいというニーズが高まってきた。ここでは、6月末に開催された「第18回設計・製造ソリューション展」でラピッドプロトタイピング(RP)業界各社が展示した製品を紹介する。

フルカラー造形
 Zコーポレーションジャパン(横浜市)は、今年4月に発売したフルカラー3Dプリンタ「ZPrinter450」を展示した。高精度450dpiのフルカラー造形が可能。インクジェットのヘッドを2つ使い、インクと接着剤を石こうベースのパウダー材料に塗布し、造形する。造形後は、自動的に約80%のパウダーが除去され、造形部品に付着しているパウダーは、エアブロー処理で取り除く。造形・エアブロー後のパウダーのリサイクル率は95%以上と高い。新たに開発した石こうベースのパウダー材料により、造形物を水道水につけるだけで強度と発色性を高められるようになった。従来は、ワックスやボンドを含浸させ同様の効果を得ていた。接着剤はカートリッジ式になり、補充が容易になった。装置寸法は幅122×奥行き79×高さ140cm。電源は、AC100V、50/60Hzで済むため、電源工事は不要。

大型部品を一体造形
ZPrinter450で造形した3次元モデル
ZPrinter450で造形した3次元モデル

 アーク(大阪市)は、ベルギーMaterialise社の世界最大級の光造形装置「Mammoth(マンモス)」で一体造形した自動車のリアバンパーを展示した。同社によるとこのリアバンパーは、60時間で造形したという。この装置の最大造形サイズは幅2,050mm×奥行き700mm×高さ780mm である。最小積層ピッチは0.15mm。従来の装置では自動車のインパネなどの大型部品は分割して造形し、その後組み立てていたが、マンモスでは一体造形が可能となるため、造形時間を短縮できる。

試作だけでなく生産も

米Stratasys社のマルチ樹脂対応の3次元造形機FDM 400mc。製品の生産にも対応できるよう開発された

 丸紅ソリューションは、米Stratasys社の3Dプリンタ「FDM 200mc」を展示した。また、マルチ樹脂対応の3次元造形機「FDM 400mc」を参考出品した。FDM 200mcでは、ABS樹脂に比べ1.4~1.7倍の強度を持つABSplus樹脂を材料として使っている。「これまでは、試作部品を作るために利用されてきたが、現在、造形部品の強度を上げて試作だけでなく、小ロット少生産の製品を生産できるように取り組んでいる」(同社)。材料は自動供給カートリッジから供給される。カートリッジ内のドラムに巻かれた糸状の樹脂材料を加熱し軟らかくした状態で積層する造形のため、粉じんなどの心配がない。材料は7色用意している。

 FDM 400mcは、ABS-M30、PC-ABS、PC、PPSFなど複数の樹脂材料に対応している。ABS-M30は、従来のStratasys社製スタンダードABSと比べ、25~70%強度がアップしており、試作だけでなく3Dデータから直接実際の製品も生産する「ダイレクト・デジタル・マニュファクチャリング」に対応する。最大造形サイズは355×254×254mm。オプションで406×355×406mmの造形サイズに対応する造形サイズ拡張仕様も用意している。造形樹脂幅は、造形ヘッド先端のチップと呼ばれる射出部を変えることで0.2mmまで対応する。多品種、小ロットの製品の生産に向く。


米3D Systems社が新たに開発した材料DuraForm EX Plasticで造形した部品。PPで造形した部品と同等の強靭さを持つ

 米3D Systems社は、新たに開発した材料「DuraForm EX Plastic」を造形した部品と粉末造形システム「Sinterstation Pro 230 SLS」を展示した。同社は、欧州の自動車メーカーからの黒い造形材料はないかというニーズに応えこの新材料を開発した。この材料のパウダー直径は 50μmで、その一粒一粒が黒いため、造形物に色ムラが出ない。「汎用の材料PA12(ナイロン12)は白く、これまで顧客は造形した部品を黒く塗っていた」(同社)。また、顧客が造形部品を実際に組み付けたいというニーズに応えるため、同社は材料の色に加え、その物性をポリプロピレン(PP)と同等にした。「曲げの弾性および耐衝撃性はPPと同等。ナイロン系材料Duraform PAに比べ、衝撃性を4.4倍、伸びは3.4倍に高めた」(同社)。

 「Sinterstation Pro 230 SLS」は、HiQという温度の安定化技術を採用している。赤外線センサーを使い、粉面の温度を測定しているが、センサーが汚れてくると温度を正確に測れなくなるため、一層造形するたびにセンサーの測っている温度が正しいのかを確認し、温度を補正する仕組みを設けている。さらに、「逆回転ローラにより、パウダーを均等にフワッと敷くことができ、0.1mmの積層ピッチで安定的に造形できる」(同社)。パウダーを敷くときに下方向に材料を押すことがないため、Z方向の寸法がほとんどくるうことがない。最大造形サイズは、550×550×750mm(X、Y、Z)。

 アスペクト(東京都)は、まだ開発段階のポリプロピレン(PP)材料を06年に発売した粉末焼結積層造形装置「SEMplice」で造形してできた造形部品を展示した。

 この材料は従来のナイロンなどよりも伸びの性能が優れるという。同社の展示品の中には自動車のインテークマニホールドや17インチホイールの一体造形品、従来から使われているナイロン材料にカーボンの繊維やガラスビーズを入れて造形し、強度を増した部品、粉末のゴムを造形して蛇腹形状にした部品などがあった。「造形した部品は製品として使われることもある。ラピッドプロトタイピングだけでなく、ラピッドマニュファクチャリングが可能になってきた」(同社)。

(大村 泰憲)



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