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第9回
3次元図面 普及の課題
[2007年09月号]
これまで本連載では、設計情報の見える化をテーマとして、設計情報の在り方や3次元設計の現状、そして3次元設計の課題をまとめた上で、その答えは3次元図面構想にあることを述べてきた。その内容は、3次元設計で作成された3次元データをモノづくりの全ての工程で有効利用するために、3次元図面構想の普及が必須であることを示している。
ここからは、3次元図面の普及のための課題について触れてみる。主な課題は以下の三つとなる。(図1)
ここからは、3次元図面の普及のための課題について触れてみる。主な課題は以下の三つとなる。(図1)
図1 3次元図面の普及への課題
製造業界に望まれる普及への意識
各製造業界は、3次元図面が設計の3次元データをモノづくりの全ての工程で有効利用するための要件と捉え、これを積極的に実践し普及させることが望まれる。
3次元図面構想は日本自動車工業会(JAMA)で具体的活動が始まり、この動きに遅れまいと電子・電気機器メーカーを主とする一部のCADユーザー会が追従しているのが現状である。
JAMAの活動はJAPIA(日本自動車部品工業会)とともに3D図面標準化WGを形成して業界で一体化され、さらに世界各国の自動車工業会の集合体であるSASIGによる国際的活動と連携した動きがとられている。この活動で整備される「SASIG 3DAスタンダード」と「JAMA 3DAガイドライン」(SASIG版を基にJAMAの推奨と解説を加えたもの)は、3D表記の国際規格であるISO16792を参照としながら、あくまで自動車産業向けを意図した業界標準であるが、自動車産業に限らず、必然的に多くの産業分野で適用可能となる標準に位置づけられる。
この自動車業界の活動で注目される点は、3次元図面の成立のためには、ツールベンダーの協力が必要と判断して、CAD及びビューワのベンダーとの連携をとっていることだ。具体的には、自動車業界で採用されているCADのベンダー及び、主なビューワのベンダーをWGの協力メンバーとして、ツールとしての要件機能の開発を同時に進行させている。(図2上)
3次元図面構想は日本自動車工業会(JAMA)で具体的活動が始まり、この動きに遅れまいと電子・電気機器メーカーを主とする一部のCADユーザー会が追従しているのが現状である。
JAMAの活動はJAPIA(日本自動車部品工業会)とともに3D図面標準化WGを形成して業界で一体化され、さらに世界各国の自動車工業会の集合体であるSASIGによる国際的活動と連携した動きがとられている。この活動で整備される「SASIG 3DAスタンダード」と「JAMA 3DAガイドライン」(SASIG版を基にJAMAの推奨と解説を加えたもの)は、3D表記の国際規格であるISO16792を参照としながら、あくまで自動車産業向けを意図した業界標準であるが、自動車産業に限らず、必然的に多くの産業分野で適用可能となる標準に位置づけられる。
この自動車業界の活動で注目される点は、3次元図面の成立のためには、ツールベンダーの協力が必要と判断して、CAD及びビューワのベンダーとの連携をとっていることだ。具体的には、自動車業界で採用されているCADのベンダー及び、主なビューワのベンダーをWGの協力メンバーとして、ツールとしての要件機能の開発を同時に進行させている。(図2上)
図2 3次元図面の運用への活動
自動車業界以外のスタンス
業界とその関係のツールベンダーが一体となって、いわば磐石な体制で3次元図面の整備を推進している自動車業界に対し、その他の業界の動きはそれほど活発ではない。少なくとも、業界単位で活動している公表事実はなく、CADのユーザー会単位で活動を公表しているに過ぎない。具体例の一つは、電子・電気業界のメーカーを主メンバーとした日本PTCユーザー会の3D単独図フォーラムがあり、ここでは特定のCADを想定しない「3D単独図活用ガイドライン」を策定し、ユーザーサイドの3次元図面の普及を意図している。フォーラムメンバーの使用CADであるPTC社のPro/EはJAMAの活動の中で、その対応が進むところからJAMAの活動とも連携を持っている。もう一つの具体例は、情報・精密機器業を主なメンバーとするCoCreateユーザー会の「3次元図面協議会」である。このユーザー会メンバーが使用するCADはCoCreate社のOneSpace Modelingであり、このCADはJAMAのWGの活動には係わっていない。そこで、CoCreateユーザー会は自らの3次元図面の推進のためにOneSpace Modelingを3次元図面に対応できるCADにするべく、ベンダーと連携した活動を起こしたのだ。つまり、このユーザー会の活動例は、JAMAのWGの活動に係わらないCADとそのユーザーの場合の、3次元図面への取り組み方の例と言える。
このように、3次元図面の普及には、この運用を推進する製造業者の意思とともに、使用するCADの3次元図面対応機能が必須であり、製造業者は自ら使用するCADの3次元図面対応化を意識する必要がある。(図2下)
このように、3次元図面の普及には、この運用を推進する製造業者の意思とともに、使用するCADの3次元図面対応機能が必須であり、製造業者は自ら使用するCADの3次元図面対応化を意識する必要がある。(図2下)
CADベンダーの意識
CADベンダー各社は、3次元図面が今後のモノづくりに必須の要件と捉え、3次元図面に必要な機能や利便性を高める機能の開発に努め、自社アプリケーションの3次元図面対応を推進することが望まれる。
CADの3次元図面対応化の主題は、3Dモデルが形状情報のみでなく、寸法などの製品特性を併せ持つリッチマスターモデルであることとその製品特性を画面内の擬似3次元空間で表現可能なことである。特に、設計情報の見える化の観点で、必要な製品特性をいかに利便性高く、画面に表現できるかが重要である。この点の機能の開発は、ユーザー側からの必要機能の要求、便利な機能の要求などへの対応のみに留まらず、ベンダー間の自由競争のもと、より良い機能の開発が積極的に行われることが望まれる。
CADの3次元図面対応化の主題は、3Dモデルが形状情報のみでなく、寸法などの製品特性を併せ持つリッチマスターモデルであることとその製品特性を画面内の擬似3次元空間で表現可能なことである。特に、設計情報の見える化の観点で、必要な製品特性をいかに利便性高く、画面に表現できるかが重要である。この点の機能の開発は、ユーザー側からの必要機能の要求、便利な機能の要求などへの対応のみに留まらず、ベンダー間の自由競争のもと、より良い機能の開発が積極的に行われることが望まれる。
3次元図面教育への意識
大学や高専等における設計教育は、設計情報の表現手段としては2次元図面の教育が主体である。今後は産業界の3次元図面の運用実態を捉え、必要に応じた教育の配慮を求めたい。
3次元図面の普及に係わる技術者のスキル(技能)という面では、幾何特性仕様の定義能力がクローズアップされることが予想される。第7回でも触れたが、昨年発行された3D表記の国際規格ISO16792や、幾何特性仕様の各GPS規格等による表記法が、今後のグローバルなビジネス展開において要件となる場面が多くなることは明らかである。SASIGやJAMAの標準化においてもISO16792の参照を重視している。ところが、わが国の幾何特性仕様に関する知識や必要性の意識等は諸外国に比べて低いと言われていることも重大な事実である。このような点から日本設計工学会等は、わが国におけるISO16792やその他GPS 規格等の適用、対応の重要性を教育界、産業界へ啓発する意図の活動をしている。
国際的な遅れが否めない、わが国のモノづくりに係わる人たちの幾何特性仕様に関するスキルアップを図ることは決して容易なことではないと予想できる。したがって教育機関における工学系学生への基本教育が重要であり、そのための教育者の育成等の体制づくりが必要と考える。
JAMA/JAPIAのDEVガイドライン
http://www.jama.or.jp/cgi-bin/download_3d.cgi
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