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TEST/MEASUREMENT

設計期間を短縮するグラフィカル開発環境

[2007年09月号]

NIWeek 2007に見る最新組み込みソリューション


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 アイデアを実際の製品とするのに多くの工数と時間がかかる一方で、設計者はさらなる開発サイクルの短縮を求められている。この問題に対して米National Instruments社(NI)が提案するのが、設計工程の並列化と統合開発環境としてのグラフィカル開発環境「NI LabVIEW」である。

 例えば、設計工程でシステムの制御を行う電気設計と制御設計をLabVIEW上にグラフィカルプログラミングとして入力する。並行して機械設計をSolidWorksで行って物理モデルを作成し、LabVIEW上で物理モデルとグラフィカルプログラムを連携させて、システム全体のシミュレーションを実行する。LabVIEWにより直感的にシステムを設計することができ、試作レスでメカと電気を統合したシステム全体のシミュレーションが可能になる。初期工程での高精度の検証と後工程での問題発生リスクの低減も実現できる。

 2007年8月米テキサス州オースティンで、NIが主催する仮想計測システムとグラフィカル開発環境のイベント「NIWeek 2007」が開催された。

 今回のNIWeekで各社が展示した、設計/開発/検証を短期間で実現するための手法と実例を紹介する。

自律倒立する一輪車
NIが展示した自律倒立する一輪車
NIが展示した自律倒立する一輪車

 NIは、自律倒立する一輪車(補助輪付き)も展示していた。CompactRIOとモータードライブユニットの「NI 9505」、加速度センサー、電池を組み合わせたもので、自律的に転倒を防止するよう車輪に接続されたモーターが制御されている。いわば、「セグウェイ」の一輪車版である。補助輪があるのは、1つの車輪による前後1軸の制御であるため、横方向への傾斜に対応できないからだ。

 LabVIEWのシミュレーションによってアルゴリズムの設計/検証を行い、CompactRIO上で制御プログラムを実行している。NIの製品を用いれば、アルゴリズムの開発/検証と試作品の製作を迅速に行えるとうたっている通り、開発/設計の期間は約2週間だったという。

人型ロボット
バージニア工科大学 RoMeLaの人型ロボットDARwin
バージニア工科大学 RoMeLaの人型ロボットDARwin

 バージニア工科大学のRoMeLa(Robotics and Mechanism Lab)が製作した人型ロボット「DARwin」。このロボットは、04年時点ではフィードバック機構もなく、人間の動作をまねするだけのものであった。そのため、すぐに転倒してしまったという。その後、PC104プラットフォームにLabVIEWリアルタイムモジュールを搭載したことで、モーションジェネレーションや画像認識が可能になった。同ロボットは、07年に行われているロボットによるサッカー大会「RoboCup 2007」に参加した。

 RoMeLaの教授であるDennis Hong氏は、ロボットに搭載されたカメラが撮影した画像からボールを検出するプログラムを記述した例に挙げ、「LabVIEWについて知らない学生がLabVIEWの画像認識モジュールを用いて2時間でプログラムを作成した」とLabVIEWプログラミングの容易さについて説明した。

神経信号による車椅子制御
 米Ambient社は、のどの神経信号をセンシングして音声合成と車椅子の制御を行うシステムを紹介していた。実際に声を発生しなくても、声を発するために動かす筋肉への神経信号を検出/解析して音声を合成したり、車椅子を操作したりするものだ。同社はこの技術を「Audeo」と呼ぶ。脊髄の麻痺などで移動能力や声を出す能力を失った数百万の人を助ける可能性がある技術だという。その仕組みは、のどに巻きつけたセンサーから人間の神経信号を検出し、コンピュータにそのデータを転送して解析することで音声合成と車椅子の制御を行っている。NIのLabVIEWは、このアルゴリズムの設計に用いられたという。車椅子の映像は、Ambient社のウェブサイト(http://www.theaudeo.com/tech.html)で閲覧できる。開発期間は3年だが、「LabVIEWを用いなかったらまだ完成していなかっただろう」(同社)とのことだった。

医療機器への応用
 米Sanarus Medical社は、乳がん治療のための医療機器「Visica2」について発表を行った。この機器は、小さな針を腫瘍のある患部に挿し、腫瘍を冷却して除去するものである。

 この機器には、冷却部分が腫瘍のサイズに成長するように制御することと、サイズを入力するなどのユーザーインターフェースを開発する必要があった。同社は小さな会社であるため、電気回路エンジニアとメカトロニクスのエンジニアしかおらず、制御やソフトウエア、ソフトウエアテスト、QAなどのエンジニアがいなかった。しかし、LabVIEWとComapctRIOを用いることによって、4人のチームでプロトタイプを4ヶ月で完成させたという。

設計をさらに容易に
 NIは、グラフィカル開発環境によるシステム設計をさらに容易にするための取り組みを行っている。例えば、会場で発表されたLabVIEWの新バージョンである「NI LabVIEW 8.5」においては、状態遷移図によってプログラミングを入力するステートチャート入力に対応した。

 さらに、将来への取り組みとして従来のデータフローに基づいたグラフィカルプログラミングの上位に位置づけられる「LabVIEW System Diagram」を提案した。これは、ハードウエアの接続を入力するもので、システム全体の設計を容易にするものである。それによりさらに設計者の視認性/操作性を向上させ、システム設計の生産性を高めることが可能になるという。

(EDN Japan小野明久)

LabVIEWもLabVIEWで開発
NIのTruchard社長兼CEO
NIのTruchard社長兼CEO

 NIのJames J. Truchard社長兼CEOにLabVIEWの展開や同社の開発環境について聞いた

——LabVIEWが設計ツールであることを強調している理由は。
 2つ理由がある。1つ目は設計が可能であり、設計と計測を統合することによって生産性の向上を図るというメリットがあるから。

 2つ目は、学校で教育のために使って欲しいと思っているからだ。教育現場では設計ツールを用いて学習を進めることが多い。教育現場でLabVIEWに触れることで後に社会にでてから問題の解決にLabVIEWを用いるようになり、ユーザーの獲得にもつなげることができるだろう。

——NIのイノベーションを作り出す環境とは。
 イノベーションは社員がバラバラの方向を向いていたのでは生まれない。例えば、会社が今後100年間継続するためのプランを立案して、そのために何が必要であるかを社員の共通認識として明確にしている。これにより方向性を一致することができる。

——ハードウエアとソフトウエアの設計者の割合は。
 比率は1:2。ハードウエアは選択肢が少ないため開発のエンジニアが少ない。ソフトウエアは、自由度が高いため開発が難しくより時間を要する。

——LabVIEW自体の開発方法は。
 LabVIEWの機能の約半分は、CやC++を用いて開発されている。しかし、残りの半分は、実はLabVIEWによって開発している。今後のLabVIEWの進化によってその割合は増えると考えている。例えば、マススクリプトであるMフィルをLabVIEWのダイヤグラムに取り込む機能はLabVIEWを100%使って開発されている。もし、LabVIEWの開発にLabVIEWを使っていなかったら、今のLabVIEWは完成していなかっただろう。LabVIEWのプログラム容易性を自社で実証している。

(聞き手:EDN Japan小野明久)

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