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開発の“見える化”
[2007年09月号]
プロジェクト管理
NEC第一製造システム事業部CPCソリューショングループの松原芳明シニアマネージャー
東芝ソリューションソリューション第四事業部製造ソリューション部製造システム第二担当の甲斐武博グループ長は「2001年に独自にアンケート調査したところ、その当時顧客がPDMで最も欲している機能がプロジェクト管理だと分かり、開発を始めた。2年前ぐらいから提案や引き合いが多くなり、今年その成果が出てきている」と語る。
NECは、プロジェクト管理機能をこの1年で強化した。この機能は、製品開発の進捗や開発人員や設備などのリソース、各種製品データを関連付けて一元管理するというもの。「複数の開発プロジェクトが進行している時に、会社では開発者の人数は決まっているため、それを有効活用するためにプロジェクト管理を使うことが多い。また、売り上げ見込みや導入コストなどのROIに関わる指標を決めて関所を設け、開発プロジェクトの継続の有無を決定するのにも使う。開発は以前縦割りで行っていたが、今はチーム制、クロスファンクショナルチームで動かすようになり、プロジェクトマネージャは開発や製造、マーケティングのメンバーを見る必要がでてきた。このため、縦と横のリソースを見たいというニーズがあり、リソース管理を強化した」(松原シニアマネージャー)。
以前はこのような管理を人が行っていたが、現在は、グローバル化やサプライチェーンが進み、国内外の設計部隊やパートナーと協業するなど1社だけではモノづくりは出来なくなり、開発プロジェクトの管理がITを使わないと処理できないほど複雑になってきた。
東芝ソリューションは、設計者が設計に専念できる仕組みを備えたプロジェクト管理ソリューション「ProjectMeister」を提供している。この仕組みというのは、ナビゲータを使って設計者が欲しい情報を見せるというものである。「2007年に入ってからまわりでベテラン技術者が退職しており、2007年問題のまっただ中にあるというのを身に染みて感じている。技術伝承が大きな課題となっており、若手の技術者をナビゲートする仕組みなどを構築した。ここ1年でこうしたニーズはさらに大きくなっている。規定やマニュアル、インターネットなどの情報はあふれているので、必要な情報を必要なときに必要なだけプッシュ型で見ることができるようにしている」(甲斐グループ長)。
グローバル化に対応
また、カスタマイズ機能も強化した。同社は、大手の顧客が情報システムの要員を使ってシステムを内製で構築するようになったことに対応。
具体的には、ユーザーインターフェースの定義ツールがある。顧客は、ユーザーインターフェースの画面レイアウトや利用可能なメニューを定義できる専用画面を見ながら、レイアウトやメニューを変えられるようになった。
松原シニアマネージャーは「製品側で提供している機能を、コアのところに手を入れずにカスタマイズできる。フルカスタマイズすると、カスタマイズ後の動作確認に時間がかかるなどの問題がある。また、当社では、Obbligatoのバージョンアップ時にデータベースの構造が変わる場合は、その移行プログラムを用意するなどのサービスを行っている」と説明する。
さらに、セキュリティも強化している。セキュリティ専用のエディタであるACLエディタ(アクセスコントロールリスト定義ツール)により、組織や役割、ユーザーに応じたアクセス制御などを設定できるようにした。また、「中国にサーバーを置く場合、中国は国が暗号化を禁止しているため、ファイルの持ちだしを制御するセキュリティ製品と組み合わせ、権限のない人はUSBにファイルをコピーできないようにすることも可能」(松原シニアマネージャー)となっている。
セキュリティ管理では、RFIDとの連携もある。機密文書ファイルや物にICタグを付けて、Obbligatoで管理することもできる。たとえば、棚にICタグ付きのファイルがあり、ファイルが棚から離れると検知し、棚に取り付けたアンテナから天井にある仕掛けを通じて、サーバーにその情報を収集することも可能になる。「中国では、金型管理などに使われている」と松原シニアマネージャー。
業種別ソリューションで効率化
NECは、業種に合わせてベースで提供する機能を多くすることでカスタマイズの必要性を減らしている。また、アプリケーション毎に選択し、導入できるため、初期投資を抑えられる。最小構成の価格は275万円(税別)となっている。
松原シニアマネージャーは「業種別でみると一番伸びているのは工作機械や建機などの産業機械である。こうした業種は個別受注が多い。Obbligatoでは、以前から個別受注の顧客が多かったため、そのノウハウを体系化してソリューションとして提供している」と言う。
松原シニアマネージャーによると、毎回図面を引いていた顧客も少しでも標準化やモジュール化して、使えるところは使い回せるようにするため、情報共有の器としてPDMやPLMを使って標準化を加速させているのだという。「個別受注は、開発も製造も調達も同時に始めるため、仕様の変更などを含め難しいが、情報共有するとその分効果が生まれやすい。そういうところに、顧客がチャレンジし競争力を上げようとしている」(松原シニアマネージャー)。
NECは、このほかにも電気ハイテク向けや、半導体向けなど、業種別のソリューションを整備しており、今後こうしたソリューションをObbligatoの標準機能の中に盛り込んでいく。「次のバージョンでは、今我々が強い業種別の新たなソリューションをObbligatoの標準機能の中に盛り込む」と松原シニアマネージャー。
東芝ソリューションソリューション第四事業部製造ソリューション部製造システム第二担当の甲斐武博グループ長
NECでは、食品や飲料、日用雑貨品などのCPG(Consumer Packaged Goods)市場、特に、食品や飲料業種向けにもソリューションの提供を始めている。松原シニアマネージャーは「製造業以外の業種展開のまず第一弾として、CPGから始める。ここ半年、食の安全向けのソリューションを提供している。我々の強みはBOMであり、BOMは食品ではレシピや配合表に展開できる。日本ではこれからだろう」と語る。
これに対し、東芝ソリューションの甲斐グループ長は「食品や消費財でPLMのデータベースを使った管理にはニーズがある。材料や原料、レシピなどの管理である。しかし、PLMは高額なソリューションが多いので、CADがつながってこない食品関連では投資対効果が出にくいだろう」と語る。
東芝ソリューションのプロジェクト管理ソリューション「ProjectMeister」は、設計者が設計に専念できる仕組みを備える。そのナビゲーション機能により、設計者は必要な情報を必要なときに必要なだけプッシュ型で見ることができる
(出典:東芝ソリューション)
NECのPLMソリューションObbligatoでは、各業種に向けたソリューションを提供し、カスタマイズを最小限に抑える
(出典:NEC)
組み込みソフトをシミュレーション
「PLMで製品全体を見るのであれば、ソフトは無視できない。ソフトに対するソリューションはまだ十分に発達していない。これまでは3次元CADを使って、製造性や保守性、材料コストを作り込んできたが、ソフトはビジュアル化しにくく、上流で作り込むのは難しい」(甲斐グループ長)。同社は、試作をしなくてもソフトのバグをある程度つぶすような取り組みを行っている。
バーチャルな基板上で、In/Outなどの電気信号を仮想的に見立てて、ソフトが正しく動くかを試し、デバッグする。そうすれば、基板が出来てきて、ソフトを組みこんでデバッグする期間が短くなる。「こうした取り組みをしていかないと、製品開発リードタイムのこれ以上の短縮は難しいだろう」と甲斐グループ長。
同社は、組み込みソフトのソリューションをPLMの領域の中に入れて提案していく予定である。甲斐グループ長は「2008年ごろから組み込みソフト開発・検証用のエンベデッドシステムとPLMとの一体化が進んでいくだろう。個別では、すでに始まっている。東芝内で使っている組み込みソフトのシミュレーションを行う仕組みがある。それと、仕事も受けられるノウハウもあるので、それらを生かしてソリューション化していく」と言う。
SOAの可能性
現在、PDMやPLMは、ほとんどの大手企業が導入しおり、それを全部作り直すというのは難しいだろう。「個別に最適化した図面管理や配布、部品マスター、工数管理などのシステムがあり、それを全部PLMで置き換えるのはリスクが高い。そのため、今ある仕組みを生かしてどうやって早くつないでいくかが重要となる。ビジネスモデルや業務プロセスも変わるため、それにITがどのように追従するかがキーワードとなっている。そこはSOA(Service Oriented Architecture)の世界」と甲斐グループ長は言う。
東芝ソリューションは現在、PLMのSOAへの連携を検討しており、製造業にフォーカスしたSOA基盤を考えている。甲斐グループ長は「これはもしかしたら、PLMの領域より、サプライチェーンやCRMを含めたもっと広い領域に及ぶ可能性がある。業務の流れに対するサービスという単位でバラバラになっているシステムをつないでいくのがSOAである。PLM上のテンプレートというよりは、いろいろな仕組みに対して、サービスという単位で呼び出し、つないでいく。呼び出す順番を変えれば、変化する業務モデルに追従する可能性もある」と説明する。
顧客の中にはバージョンアップしたくてもカスタマイズが多くてバージョンアップできないという顧客がいるという話しをよく聞くが、「その問題に対しても、製造業向けのSOAのソリューションで何か解決できないか考えている」(甲斐グループ長)という。「カスタマイズするにしても、パッケージに依存しないような層でカスタマイズしたり、システム間をつないでいくことで、パッケージへの依存度をさげるものができないか検討している」と甲斐グループ長は言う。
今後の課題と目標について甲斐グループ長は「PLM市場が今後どれだけ大きくなるのかわからないが、我々ソリューションベンダー側でSOAなどにより領域を拡げていく必要があるだろう。領域を拡げることで、顧客により大きなメリットを提供できるかもしれない。直近では、組み込みの部分をどうやってPLMという全体最適の中に組みこんでいくかというのが課題。目標は、設計領域だけでなく、調達、生産、営業系もふくめ、広い領域でソリューションを提供できるようにしていくことである」と語る。
(大村 泰憲)
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