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間瀬 俊明 氏
デジタルプロセス 社長
ソフト開発の切磋琢磨でモノづくり強化
[2007年09月号]
67年京都大学工学部機械工学科卒業後、日産自動車に入社。91年同社開発システム部部長。97年日産デジタルプロセス社長に就任。2000年に富士通出資により社名をデジタルプロセスに変更して現在に至る。
仮想化技術を活用したモノづくりの大きな傾向は今後も続くだろう。一方で、理想形を追いかけるITベンダが語る夢と、生産現場の仕事の現実との乖離幅が段々開いてきているという懸念もある。3Dデータが設計領域から生産プロセスに至るまで様々な価値を実現するという提案をしながら、その3Dデータを作るところの苦労はほとんど隠蔽されている。例えばボーイング787を完璧に3Dデータで作るという話を度々耳にするが、現場の人から聞いた話では、図面レスどころか、ひと頃減りかけた図面がまた戻ってきたという。製造業のトップは、夢を追うばかりでなく、もう一度現場を直視する必要を感じる。
私自身は過去25年間ほど日産自動車の内製ソフト開発側にいた経験を持ち、直近の10年間は、自動車業界を中心に機械製品の設計・開発・生産に至るエンジニアリング分野で主として欧米のソフト導入を進めてきた。その中で気付くことは、日本が育てた設計開発をはじめモノづくり手法のなかにも優れたものが数多くあることだ。その再評価を含め、私自身がたどった二つの道のハイブリッドによってさらに日本のモノづくりの強みを活かす道を構想している。
私自身は過去25年間ほど日産自動車の内製ソフト開発側にいた経験を持ち、直近の10年間は、自動車業界を中心に機械製品の設計・開発・生産に至るエンジニアリング分野で主として欧米のソフト導入を進めてきた。その中で気付くことは、日本が育てた設計開発をはじめモノづくり手法のなかにも優れたものが数多くあることだ。その再評価を含め、私自身がたどった二つの道のハイブリッドによってさらに日本のモノづくりの強みを活かす道を構想している。
モノと開発プロセスのソフト化
モノづくり立国を旗印に日本の将来を描くことに異論はない。一方でモノづくりがソフトウエア化しているという事実も大きい。モノづくりのモノとは何かを考えると、機械工学としてのメカにエレキが加わってメカトロニクス、さらに最近は組込みソフトの領域が拡大する流れにある。自動車も今や原価の相当部分がエレクトロニクス部品と組込みソフトで占められる。すなわちモノ自体がソフト化してきている。
一方、モノづくりの開発プロセス全体を支える仕組みもソフト化している。かつての金型を作るならい加工機や検査治具、マスターモデルなど様々なハードを使う手法から、今はCAD、CAMシミュレーションなどを使う。自動車産業では、リアリティの人為的な組み換えとしてシミュレーション技術をベースとするバーチャル・リアリティ活用が拡大している。日本はこのモノづくりのソフト化の価値に対して比較的に無頓着だ。この見えない流れをもっと重視する必要があるだろう。
モノづくりの強化を言うときにしばしば金型産業の重要性が強調される。しかし大事な産業だという割にはその実体のほとんどが、若者が就きたがらないで高齢化が進む零細町工場だ。その産業構造の犠牲ともいえる基盤の上に日本を立国させるのか、という疑問が湧く。
一方、モノづくりの開発プロセス全体を支える仕組みもソフト化している。かつての金型を作るならい加工機や検査治具、マスターモデルなど様々なハードを使う手法から、今はCAD、CAMシミュレーションなどを使う。自動車産業では、リアリティの人為的な組み換えとしてシミュレーション技術をベースとするバーチャル・リアリティ活用が拡大している。日本はこのモノづくりのソフト化の価値に対して比較的に無頓着だ。この見えない流れをもっと重視する必要があるだろう。
モノづくりの強化を言うときにしばしば金型産業の重要性が強調される。しかし大事な産業だという割にはその実体のほとんどが、若者が就きたがらないで高齢化が進む零細町工場だ。その産業構造の犠牲ともいえる基盤の上に日本を立国させるのか、という疑問が湧く。
3D活用の成果と課題
CADをはじめとする3Dデータ活用の強化によって日本はそのメリットを享受し、車両開発期間の短縮などに成果を収めてきた。試作車の台数も二十年前と比べれば半数以下になっている。初期品質も向上した。
一方で、かつての日本の優れた設計作業の仕組みを強制的に変更させられた側面もある。今や自動車の設計者は、自らはCADをほとんど使わず、設計子会社や外注先の専業モデラーがCADによる設計作業を行なう。設計者はその結果をもとに判断している。この分業は欧米から流入した仕事のやり方だが、日本の自動車の設計者には大きな変化を強いた。最近のCADの機能が設計者の要求に対して多すぎることが、分業化を進行させた一因だ。下流の生産プロセスでもバーチャルに使える設計データをすべて整えろという作業は、設計者の手に余る。
しかし本当は日本の設計者にとってもっと強みの発揮の仕方があるのではないか。モノづくりでは日本が追随するのでなく、自らの発想を取り込んだツールで自らが世界のモノづくりのトレンドを作る、日本でモノづくりを再認識し欧米の優れたツールと切磋琢磨し継承するという意思が必要だ。そのあり方を追求していくのは私自身の夢でもある。
一方で、かつての日本の優れた設計作業の仕組みを強制的に変更させられた側面もある。今や自動車の設計者は、自らはCADをほとんど使わず、設計子会社や外注先の専業モデラーがCADによる設計作業を行なう。設計者はその結果をもとに判断している。この分業は欧米から流入した仕事のやり方だが、日本の自動車の設計者には大きな変化を強いた。最近のCADの機能が設計者の要求に対して多すぎることが、分業化を進行させた一因だ。下流の生産プロセスでもバーチャルに使える設計データをすべて整えろという作業は、設計者の手に余る。
しかし本当は日本の設計者にとってもっと強みの発揮の仕方があるのではないか。モノづくりでは日本が追随するのでなく、自らの発想を取り込んだツールで自らが世界のモノづくりのトレンドを作る、日本でモノづくりを再認識し欧米の優れたツールと切磋琢磨し継承するという意思が必要だ。そのあり方を追求していくのは私自身の夢でもある。
はたらく喜びと産業展望
モノづくりの現場が日本から中国へとシフトするなかで、多くの団塊の世代のエンジニアも中国で活躍している。そこで技術移転と人材教育に力を注いで、帰国すると自分の工場はなくなっている。その後の展望は何か、を問うときに、日本全体の産業展望が弱くぼやけていることに思い至る。
産業の将来展望が弱いことは、モノづくりの輪郭をぼかし、そこで働く人々のモチベーション、働いて目標を達成する達成感や喜びにも響いてくる。将来のモノづくりの方向を構想するときに、働くひとの喜びや達成感がひとつの指標となるだろう。
(聞き手:甲斐 真一郎)
産業の将来展望が弱いことは、モノづくりの輪郭をぼかし、そこで働く人々のモチベーション、働いて目標を達成する達成感や喜びにも響いてくる。将来のモノづくりの方向を構想するときに、働くひとの喜びや達成感がひとつの指標となるだろう。
(聞き手:甲斐 真一郎)
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