▼モノづくりFORECAST

武井 孝憲 氏 
富士電機機器制御 生産本部技術企画部長

単体から分散型アセンブルシステムへ

[2007年09月号]

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タケイ・タカノリ
76年九州大学工学部卒。同年富士電機製造入社。77年富士ファコム制御出向。97年富士電機に復職。03年富士電機機器制御に転社。自動化システム機器、器具の技術企画に従事し現在に至る。

 富士電機機器制御はインバータ、サーボシステム、配線用遮断機などフィールド機器と生産フロアの情報を扱うPLC(プログラマブル・ロジックコントローラ)などの単体機を扱うのが基本ビジネスだが、そこに、ネットワーク化が大きな課題になってきている。

 業界では工場内のそれぞれのライン、ショップ、セルで最適なネットワークとしていろいろな規格がつくられてきた。かつてはベンダ独自規格だったので、どのメーカーが強かったか、ということで普及差が出て、オープン、デファクトになってきた経緯がある。地域による普及差もある。

イーサネットの浸透
 これまでもネットワークのMESから上位情報系はイーサネットだった。他方MESから下流の工場フロアの情報を扱うコントローラレベル層がこれまでベンダー独自規格だったが、これからはイーサネット化してくるだろう。イーサネットが浸透してくると、既存のネットワークを統合吸収できる可能性があると見込まれている。

 とはいっても、そのイーサネット統合を欧州PROFIBUSグループがリードしたり、米国DeviceNetグループがイーサネット化を図ったりするため、結果的にマルチスタンダードになる可能性が濃い。この層のイーサネットで自動車工業会がスポンサーとなり日本発の規格FL-netも立ち上がった。これが日本での標準だが、日本の規格はコントローラレベルのみで、センサレベルでは各社ばらばらであることが課題だ。

PLCの標準プログラム化
 PLCのプログラムはこれまで製造者ごとにことごとく違っていた。しかしネットワークがまず先に標準化して成功した例を受けて、PLCのプログラミングについても1993年ごろIEC61131-3標準ができた。富士電機機器制御はライフサイクルで顧客のプログラミング資産を保護することが顧客の利益になると判断し、その標準に準拠してプログラムできる最初のPLC製品を開発し97年から生産している。

 現在でもPLCとしてはその標準プログラム1本の体制を続けている。自動車メーカーの少量混流生産に対応して、現場のスタイルとニーズに合わせた動作記述というプラグミングを研究してきたが、このプログラミングもこのPLCで可能だ。

分散システム
 FA機器で注目される傾向は、単品から付加価値化を実現する製品の分散システムへの展開だろう。従来、端子、ブレーカなどを単品で売ってきた。これが段々機能的に複合化して分散型・省配線ユニットボックス化している。複合ユニット化することによって、FB(ファンクション・ブロック)などネットワーク・プログラムの世界が入ってくる。オープンネットワーク接続が、既存機能の機器内へ組み込まれてくることで、自律的分散志向のシステムに移っていくだろう。

プラグインと透過性

 オープンな機器相互接続によるシステム構築が、分散したマルチベンダの機器を自在に用いて構成できるようになると、プラグイン性と透過性を実現できるようになる。すなわち、FBを組み込んだPLCに対して、デバイスレベルのユニットの中にソフトウエアが入ると、インバータやサーボモーターユニットをネットワークに接続した瞬間に、デバイスとPLCが物理的につながり、デバイスの機能もプロファイル形式でPLCとつながるようになる。

 デバイスのソフトウエアとPLCプログラムのソフトウエアをプラグインでつなぐ。これによりネットワークを介して、上位情報系と生産フロアのデータが透過的につながる。われわれはここまですでに開発している。

 さらにネットワークが複数になっているので、今後は他の異種ネットワークと接続できるような技術開発が必要になる。ここも標準化しようという動きがある。この自動化システムにおけるプラグイン接続と、上位情報系システムにおけるつなぎ込みが、今後10年で同時に進むだろう。

 制御盤業者がサプライヤの単品機器を組込んで配線し、セットメーカーに納めるような中間価値層を付加したモノづくり形態を日本型と呼ぶなら、自動車、組立加工機械、鉄鋼などの投資の継続が見込まれる今後5年間は、日本型モデルの成功が持続するだろう。しかし10年後には、日本は単体から分散アセンブルシステムへ転換を遂げていなければならないだろう。

(聞き手:甲斐 真一郎)




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