▼モノづくりFORECAST

Richard Harrison 氏 
PTC President & CEO

設計、生産のグローバル水平分業が加速

[2007年09月号]

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リチャード・ハリソン
ペンシルベニア大卒業後、Burroughsに2年、Prime Computerに6年とコンピュータ営業畑を歩み、87年PTCにSales Distribution VPとして入社。その後、President &COOとしての6年を経て現職。

 グローバル規模に拡張する開発生産と流通インフラ、オープン化の進展など、製造業のなかで過去3~4年に成長してきたトレンドは、今後5年間でさらに大きな影響力を世界各地域の開発製造の現場に及ぼすだろう。グローバリゼーションでは、欧米企業が中小規模の事業者でも開発設計の海外アウトソーシングなどを積極的に進めているのに比べて、日本企業の動きは総じて慎重に見える。

日本企業のグローバリゼーション
 しかし日本企業のなかでも自動車産業は、グローバリゼーションへの対応で先駆しているし、エレクトロニクス業界でも、ある大手は開発設計の海外分担を一段と拡張するパイロットプロジェクトを進めている。価格や納期、品質のプレッシャーが更に厳しくなり、内部的に財務上の圧力が増すと、ある時点をターニングポイントに、日本の製造業も、海外拠点と連携した分散設計や生産委託のパートナー作りに活発に乗り出していくかもしれない。

 グローバリゼーションで要求される基本要件に関しては、大企業と中小企業の間に大きな差はない。市場ニーズの動きに敏感に反応して、製品のコスト、品質競合力を維持しながら新製品の投入機会を逃さないために、設計開発拠点の分散と連携、最適生産拠点の選択と配置が戦略として重要になる。

水平分業の拡大
 独Siemens社によるUGSの統合は、Siemens社がファクトリ・オートメーション(FA)システム及び製造機械ツールをPLMとプリ・パッケージして統合拡販することを可能にする。その意味で興味深い動きだが、われわれの顧客の声を聞いてみると、顧客は工場内で使用するツールの選択の幅を制約されたくない、と考えている。米国、バンコク、ムンバイなどの地域生産パートナーと連携するような製造業者は、マシンツールのサプライヤをオープンに選びたい、と言うのが本音だ。

 PTCはこれと対照的に、水平分業展開を容易にするためのシステムのオープン性、柔軟性に軸足を置く。市場で勝利するのはこの柔軟性だ。顧客の製造業の企業の多くは、内部で垂直統合型の構成を何らかの程度で保ちながら、一方では調達、生産、コスト管理のしくみを、グローバルなパートナー連携による水平分業へと切り替える選択を行なってきている。航空機大手の米Boeing社は大規模な設計・製造拠点を中国やインドに開設し、日本でも多くのパートナー企業と連携を深めてきた。

 他方、SOA(サービス志向アーキテクチャ)が市場にすでに多数混在する様々に異なるシステムを、緩い結合によって統合化するサービスの方向を示唆している。しかしSOAが何にでも通用すると約束することは、どの約束も十分に果たせない結果になるのではないか。これに対してPTCは、唯一のデータベース、シングルデータモデルを設計開発から製品ライフサイクル管理に展開するPLM Windchillを提供することが、顧客の抱える複雑な統合化の問題を最もよく解消できると確信している。なぜならそこには統合作業の必要のないintegralがあるだけだからだ。

生産プロセスへのアプローチ
 PTCが高度な協調連携を提供している領域ではMathcadとPro/ENGINEERの連携、CAMのPro/TOOLMAKERとPro/ENGINEERの連携、Arbortext技術ドキュメンテーションなど他社に実現できない広がりがある。

 生産プロセス設計、デジタル・マニュファクチャリング領域に対するPTCのアプローチもシングルソースの一貫した産物だ。今年導入したMPMLinkは生産プロセス情報を設計段階で取り込まれた情報や知識と直結する。まず生産プロセス計画としてリリースした。

 工場内のプロセスシミュレーション技術は有用なものと思うが、現時点でこれを活用できる製造業者は数的にもきわめて絞り込まれた大企業にとどまる。しかし、一度設計情報が更新されれば、生産プロセス計画もアソシエイティブに、自動的に更新される。このような設計と生産の高度な協調連携は今後確実に市場を拡大するだろう。

リーン・デザイン
 設計領域では、エレ、メカ、組み込みソフトの統合ソリューションがまだどのベンダからも提案できておらず、各社競い合っての開発テーマとなる。また、リーン・マニュファクチャリングと同様に、徹底的に無駄をそぎ落とすリーン・デザインの開発もMIT、ミシガン大などと共同で進めている。

(聞き手:甲斐 真一郎)



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