▼モノづくりFORECAST

John McEleney 氏 
SolidWorks 前CEO

3D設計の普及加速とコラボレーション

[2007年09月号]

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ジョン・マッケレーニイ
20年以上の豊富なCAD業界での開発経験をRaytheonからスタートし、Computervisionを経て96年に極東販売の副社長としてSolidWorksに参加。01年にCEO。07年7月、COOのJeff Ray氏にCEOを譲り退任。

 技術革新のスピードが速くて5年後、10年後に起ることに関して誰も正確な予見を語れないほどだが、マクロの傾向を掴んでおくことが大事だろう。

 過去5年を振り返ると、SolidWorksの事業規模は3倍以上となり、今日ほぼ世界の75万人の設計者がSolidWorksのCADを利用している。かつては2D ツールや旧式の3Dツールを使用していた設計者も最新式のツールで設計を素早く実行し、同時に設計上で間違いを犯すのも早くなった。ただし間違いは実際の物理的部品を組み立てる以前にスクリーン上で、と言う条件付だが。設計者は実際の部品生産の前にモデルを作ることで意思決定できる。最新の3Dツールで、設計者は自ら組み立てている対象をより簡便に理解できるようになった効果は大きい。ユーザーが拡大するにつれ、SolidWorksの3Dツールをメカニズムの動作検証に使う設計者が増えている。

日本でも3Dが主流に
 日本では2Dツールの使用者数が依然多いとはいえ、設計者がいつも何らか独自性を好む市場だ。SolidWorksが最初のバージョンを日本語と英語の2ヶ国語でリリースしたのもそのためだった。私が強く主張したいことは、機械設計する以上、いずれ設計する限りのものは3Dで実行される。設計変更を加える必要が生じたときに、3Dの最新モデルの優位性は明らかとなる。欧米で3Dは世界の競合環境における優位性に着目して使い始められたが、日本では優勢であり続けるために3D利用が必要だ。

 設計者の仕事のやり方は変遷する。10年~15年前には、設計の作業は製図の作業とは別々だった。それから徐々に設計者が自らモデル設計を手掛け、詳細設計を手掛けるようになった。いまや、製図部門が設計部門から別れてある方が例外的だ。

検証まで含むエンジニアリング
 さらに今後は、設計評価の作業が設計者の仕事に加わりそうだ。いまや設計の最適化の要求は、設計者自身に向けられつつある。そうは言ってもFEA専門家は当時も今も必要であり、設計者がその専門家になり代わることもない。ただし必要とされるタイプの解析をやりやすくする手法が試みられている。文章や文法を自動的にチェックしてくれる「スペルチェッカー」「文法チェッカー」のような機能を設計領域で実行できないか。CosmosWorks、CosmosExpressの供給はこの筋に沿う。エンジニアリングの作業領域はモデル構想から、設計、詳細設計から検証までを包含するようになるだろう。

 かつての機械設計エンジニアの中からエレクトロ・メカニカル・エンジニアと自称する人が増加している背景には、電子系と機械系の境界があいまいな領域が拡大している事情がある。しかし、メカ設計者が電子系のエンジニアリングもやっている、と言うわけではない。例えば一眼レフ型デジカメを設計する際に、メカ設計者はCCD画像センサ回路や信号処理系統を設計してはいない。しかしこの電子系は不可分離的に機械系に統合されている。従って、機械系エンジニアは電子系エンジニアと共同することで内部接続や電気的障害の問題を理解していく。このような協調領域の拡大に対して、大学や産業界で取り組みが始まっている。

情報コラボに課題
 いかにデスクトップ上に集約的に構築されたCADのコンピューティング構造をネットを活用して通信し情報共有するかは、次なる課題だ。PDM Work Enterpriseをはじめ、多くのソリューションが提案されているが、いわゆるコラボレーションのためのシンプルなキラーアプリが必要で、我々の業界はまだそれを持たない。

 SolidWorksはメインストリームのCADとして、より使いやすく、シンプルにするためのリエンジニアリングを強めていく。SolidWorks2008ではグラフィックスの品質基準を引き上げた。また基本的な機能性の改良にあらためて立ち戻り、操作や機能をよりシンプルに実現するリエンジニアリングの成果を一連のSwiftとして導入している。次の5年間、SolidWorksのチームは顧客に張り付いてそれぞれが日々抱えている問題点の理解吸収につとめ、問題を突き止め、我々自身で改良開発し、技術を取得することを通じて、設計者の課題解決を積み重ねていく方針だ。

 私自身の20年以上に渡るCADを巡っての経験から確かに言えることがある。それは、処理速度とパワーと使いやすさにおいて、これで十分ということはありえない、ということだ。

(聞き手:甲斐 真一郎)



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