5年後、10年後のモノづくり

[2007年09月号]

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 私の取材経験から、過去20年の間に「海外から学ぶことはもう何もない」と語る日本企業のトップ・エンジニアにお会いしたことが2度ある。1人は大型交換機を開発する通信事業部の技師長、そしてもう1人は放送機器の事業部長だった。振り返ってみると、それほど長くもない間に、その通信事業部はIP(インターネット・プロトコル)化の潮流に押し流されて、今やかつての面影はない。放送機器のほうはまだ踏ん張っているが、ここにも放送と通信の融合の波が押し寄せている。

 イノベーションの漣はいつどこから立ち上がるか分らない。国内外を問わず「学ぶことはもうない」と思ったら負けだ。

 「グローバル情報でモノづくりの未来を拓く」を標榜して機械設計エンジニア、生産プロセスエンジニア向けに発行している月刊誌『Design News Japan』はこのたび、2つの動機からこの別冊『モノづくりイノベーションOUTLOOK』を発刊することにした。ひとつは、親雑誌にあたる米国の『Design News』誌が創刊60年を迎えたこと。今春発刊した60周年記念号は、米国のモノづくり業界のイノベーションの歴史を振り返るばかりでなく、航空宇宙や、医療エレクトロニクスなどの未来を展望する興味深い内容だ。ひるがえって、日本には日本の5年後、10年後のモノづくり展望があるから、これを紹介しようと考えた。

 もうひとつは年初に発表されたSiemensによるUGSの買収。モノづくりのモノの中身がソフトウエア化するばかりでなく、モノの作り方でもソフトウエアの果たす役割が拡大する傾向が顕在化する好例と思われた。

 この趣旨に沿って、DNJ編集スタッフは別冊を編むにあたり「バーチャル・リアル・ファクトリ統合」「カーエレクトロニクス」「クリーンエネルギー」の3つのテーマを抽出し、取材した。また米国『Design News』誌記念号で掲載されたEngineer of the Year受賞トップ・エンジニア8人の未来予測を一部紹介している。

 読者は5年後、10年後にどのようなモノをどのような方法で開発しているだろうか。この小誌の1頁、1節でも何かのヒントになれば幸いと思う。

Design News Japan 編集長 甲斐 真一郎
s.kai@reedbusiness.jp

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