自動車に用いられた初期の電子素子はパワートランジスタであり、現在も多くのパワー系ICがスイッチング素子として高電圧・大電流を要求するモーター、ソレノイドなどの駆動系、ランプやイグナイタなど放電系のカーエレクトロニクス機器に用いられている。おおまかに100V以下の低耐圧系、約200Vの中耐圧系、500V以上の高耐圧系に分けられており、低・中耐圧系はパワーMOSFETを、高耐圧系はIGBT(絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)を使用する。
パワー系ICに求められる性能は、導通の損失を限りなくゼロにするための低オン抵抗と高速スイッチングであり、これは自動車用途でも変わらない。しかし自動車に大小合わせて約100個のモーターが採用されるようになり、次世代自動車であるハイブリッド車、燃料電池車、電気自動車では高パワー密度のインバータ回路なども必要で、自動車用パワー系ICの需要はマイコン以上に拡大しているとも言われる。また電動パワーステアリングなど電動系自動車部品では、省スペース化を目的にパワー系ICとロジックなど他機能を合わせたIPD(Intelligent Power Device)にも注目が集まっている。
半導体開発を行っている自動車メーカー、Tier1サプライヤの注力分野もパワー系ICに移行している。トヨタや日産は、シリコンカーバイド(SiC)やガリウム窒素(GaN)ベースのIGBTの開発を行っており、デンソーも独自技術を生かせるデバイスにパワー素子を使ったハイブリッドICを挙げている。
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半導体技術
[2007年09月号]
ソフトウェア
20年後には10億行?
マイコンを制御するためのソフトウエア量が急激に増大している。マイコンのメモリ容量は1980年の2KBから始まり、1990年に20KB、2000年に256KBとなり、現行の32ビットフラッシュマイコンはMB単位と10年で10倍になっている。今や自動車1台あたりの総ソフトウエア行数では1000万行に到達する勢い。アイシン精機電子系技術部の鈴村延保副部長は「今や新機能開発の80%にソフトウエアが関与している。さらにカメラ、各種センサー、通信デバイスも増えて、ITS社会が実現するようになれば20年後のソフトウエア量が10億行になることもある」と話す。
欧州では、増大する自動車のソフトウエア量に対して、品質要求基準の策定やプラットフォーム化による対応を進めている。品質要求では、ドイツの自動車メーカーが参加する「HIS」による開発プロセスの管理手法「Automotive SPICE」が2007年から運用開始段階に入り、自動車向けの機能安全規格「ISO26262」のドラフト案も近く公開される予定だ。プラットフォーム化では欧州の自動車関連メーカーが参加する「AUTOSAR」が標準策定を行う第1段階を終えて、2007年からは成果活用を行う第2段階に入っており、2008年にもAUTOSAR仕様の量産車が登場する可能性がある。
日本では「Tier1サプライヤが独自にソフトウエアを作り込んで対応して来たので標準化は必要なかったが、限界は近づいている」(鈴村副部長)こともあり、国内自動車メーカーが参加する標準化団体「JasPar」などによる取り組みが活発化している。
欧州では、増大する自動車のソフトウエア量に対して、品質要求基準の策定やプラットフォーム化による対応を進めている。品質要求では、ドイツの自動車メーカーが参加する「HIS」による開発プロセスの管理手法「Automotive SPICE」が2007年から運用開始段階に入り、自動車向けの機能安全規格「ISO26262」のドラフト案も近く公開される予定だ。プラットフォーム化では欧州の自動車関連メーカーが参加する「AUTOSAR」が標準策定を行う第1段階を終えて、2007年からは成果活用を行う第2段階に入っており、2008年にもAUTOSAR仕様の量産車が登場する可能性がある。
日本では「Tier1サプライヤが独自にソフトウエアを作り込んで対応して来たので標準化は必要なかったが、限界は近づいている」(鈴村副部長)こともあり、国内自動車メーカーが参加する標準化団体「JasPar」などによる取り組みが活発化している。
パワー系IC
自動車メーカーも開発
自動車用パワー系ICの負荷電流と電源電圧(出所:デンソー)
センサー
MEMS技術で複合センサーも
静電容量センサーによる人体検知の仕組み(出所:アナログ・デバイセズ)
ABSでは、車輪の回転を検出するのにホール素子を使った磁気センサーやMR(磁気抵抗)センサーを用いている。NXPセミコンダクターズジャパンオートモーティブ事業部の濱田裕之事業部長は「MRセンサーは磁界そのものではなく、磁界から生まれる電流でセンシングするので対応温度領域が広いのが特徴。電動パワーアシストステアリングの舵角や、スロットル制御の角度検知などで需要は拡大している」と話す。
MEMS技術により劇的な進化を遂げたのが、圧力、加速度、角速度センサーである。半導体プロセスを基礎に微細化が進んでおり、最近10年間でチップ面積は1/3~1/4にまでシュリンクし低価格化も進んでいる。圧力センサーは、燃料噴射、タイヤ空気圧モニター(TPMS)、サイドエアバッグ、加速度センサーはエアバッグとESC、角速度センサーはESCのヨーレート検知などに利用されており、一昔前は高級車にしか搭載されていなかったこれらの自動車機能の普及に貢献している。将来的には3軸加速度、3軸角速度などセンサー機能を集積した複合センサーの登場も予測されている。
他にも乗員検知などに静電容量センサーが提案されている。アナログ・デバイセズオートモーティブセグメントグループの藤崎賢一シニアマネージャーは「乗員の座っている位置を正確に検知できればエアバッグを安全に使用できる。取っ手に手を近づけるだけでドアを開けることも可能だ」と語る。
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