最近のテレビのニュースや、ドキュメンタリー番組、新聞、雑誌、インターネットなどでは、頻繁に石油高騰などのエネルギー問題や、世界各地で起きている異常気象、気候の変化、生態系の破壊などの地球温暖化問題が取りあげられている。
こうした問題に対し、産官学が力を合わせ石油などの化石燃料の使用量削減やCO2排出削減のためのクリーンエネルギーの研究開発に日々取り組んでいる。
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明日の環境エネルギー
[2007年09月号]化石燃料の使用量およびCO2のさらなる削減を目指した取り組みが加速する。
日産自動車の燃料電池車「X-TRAIL FCV」05年モデルのコックピット
ガソリン車に近い燃料電池車
ホンダが開発している家庭用水素供給システム「Home Energy Station III」(出所:本田技研工業)
現在、実用化する上で重要となっているのは寿命や信頼性、航続距離、コスト、インフラなどである。
日産自動車の燃料電池車では、燃料電池の劣化のメカニズムを調べ、劣化の反応を抑える使い方や材料の開発を行うことで、03年から05年の間に燃料電池の寿命を倍に延ばした。
燃料電池車の航続距離を延ばすための1つの方法として、燃料の水素を多く搭載することが重要となっている。現在、水素タンクに水素ガスを高圧で充てんする方法や、液体水素を搭載する方法、水素吸蔵合金に水素を吸収させて搭載する方法などがある。水素ガスを搭載する方法では、水素ガスの充てん圧を上げて多く搭載しようとしているが、圧力に比例して水素の搭載量が増えないという課題がある。
日産の萩原部長は「現在は、35MPaと70MPaの2種類の水素容器がある。70MPaにするとコストが上がり、重くなる割に、水素の搭載量が比例して増えないために、どこまで水素容器の圧を上げたらよいのか自動車業界とエネルギー業界の間で議論になっている」と言う。
一方、独BMW社が開発した水素エンジン搭載車「BMW Hydrogen 7(ハイドロジェン・セブン)」では、液体水素を搭載している。BMW社によると、同じスペースを占め、同じ容量を持つ燃料タンクを使用した場合、液体水素は70MPaで貯蔵した水素ガスより75%以上多くのエネルギー量を含むという。水素を液体の状態で保つには-253℃の冷却状態を維持する必要があるが、これに対してBMW社では、厚さ2mm、ステンレス鋼製のインナータンクとアウタータンクから成る二重壁構造の真空式高断熱タンクを採用している。両タンクの間には厚さ30mmの真空式高断熱層が組みこまれ、空気からの熱伝導を遮断する。この中間層にはアルミ製反射膜とグラスファイバー層を挟み込んでいる。両タンクの外側には炭素繊維強化樹脂でできたバンドを採用した。BMW社によると、この中間層は、厚さ約17mの発泡スチロール製断熱層に匹敵し、もしこの水素タンクに沸騰したコーヒーを入れた場合、飲みごろの温度になるまでには80日間かかるという。しかし、熱の侵入を完全に遮断することはできないので、液体水素が気化してタンク内の気圧が上昇すると、5.1気圧で自動的にボイルオフバルブが開き、少量の水素ガスを車外に放出するようにしている。
燃料電池車のコストについては、燃料電池の触媒に使われる白金の量がよく引き合いに出される。新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)燃料電池・水素技術開発部網治登主任研究員は「現在、燃料電池車は1台1億円すると言われている。自動車メーカーはその価格を材料で1/10、量産で1/10、合わせて1/100にすると言っている。材料では、主に触媒に使う白金の量を減らそうとしている。現在、車1台あたり100gの白金が使われている。白金が現在1gあたり4,000から5,000円するので、1台あたり白金だけで40~50万円してしまう」と言う。
これに対して本田技術研究所四輪開発センター企画室の藤本幸人上席研究員は「白金などのレアメタルは、回収する技術や流通の仕組みを構築することで市場内を何度も回転するようになるだろう。レアメタルがなくならず、逆にそれより早くなくなる鉱物資源が気になり出す時代がくるのではないだろうか。それよりも燃料電池車のコスト自体で白金が気になるぐらいにならなければ」と語る。
燃料電池車を実用化するためには、水素ステーションなど水素を供給するためのインフラが整備されなくてはならない。本田技研工業(以下、ホンダ)では、燃料電池自動車だけでなく、水素の製造や供給の研究も合わせて行っている。
ホンダは天然ガス、都市ガスから水素を取り出して燃料電池で発電し、お湯と電気を家に供給し、夜間など発電が不要なときには余った水素を車に供給できる家庭用水素供給システム「Home Energy III」を開発している。
電解質膜構造が燃料電池小型化のカギ
米MTI MicroFuel Cells社Juan Becerraビジネスデベロップメント及びマーケティング担当バイスプレジデント
100%濃度のメタノールを直接燃料電池の正極側に供給できるようにする燃料電池の中の特別な複数の層を開発した。この層により、発電時に負極側で生成される水は直接正極へ押して移動させることができる。
水を正極に直接押すことができる疎水性の層のような電解質膜の構造を作った。正極に押す水の量と外へ排出する水の量のバランスをとっている。これは、一種の物理化学的なソリューションである。電子技術や化学、物理学でもない。
一般的な燃料電池では、生成される水蒸気を蒸気凝縮器で液化し、その水をポンプで回収してメタノールと混ぜ、正極に戻さなくてはならない。しかし、我々の燃料電池では生成される水蒸気のうち、一部を大気に排出し、残りを負極から直接正極へ押すことができるため、蒸気凝縮器や水を回収するためのポンプが不要となり、一般的な燃料電池よりも小さくすることができる。また、蒸気凝縮器やポンプで消費する電力がなくなるため、メタノールの力を一般的な燃料電池と比べ多く利用できる。
燃料効率は1.3wh/ccを達成しており、一般的な携帯電話は3whを必要とするため、20ccのカートリッジをこの燃料電池に補給すれば、26whとなり、携帯電話を8回充電できることになる。
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