モノづくりと人材・技術経営

現場で磨く感度、
何でもやろうという意志

[2007年10月号]

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コマツ 大橋徹二執行役員 生産本部長兼e-KOMATSU管掌
コマツ 大橋徹二執行役員 生産本部長兼e-KOMATSU管掌

オオハシ・テツジ 77年東京大学卒業後、コマツ入社。82年スタンフォード大学院留学、89年KUK(イギリス)赴任、01年真岡工場長、04年コマツアメリカ社長、07年4月執行役員生産本部長・e−KOMATSU管掌、現在に至る。

 コマツグループは建設・鉱山機械、産業用機械・車両などの事業を中心に、コマツ親会社を含む188社(連結子会社145社、持分法適用42社)、従業員数約3万3,900人、売上高は連結で1兆8,933億円(07年3月期)の規模を持つ。建機業界で世界第2位、日本では第1位。

 とはいえ自動車産業と比べれば生産台数でも、売上げ規模でも桁違いの小規模な事業体であり、多種少量生産のなかで何が大事かということが問われる。ここは、何でもやるという強い意志が重宝され、特殊専門領域に閉じ込もらない挑戦的でオープンマインドな人が活躍する会社だ。またそのような人が何かやろうと思えば、結構何でもやらせてくれる規模の会社でもある。

現場が求めるものへの感度
 欧米の設計技術者は概念、論理が先行し、ファクト・ファインドに劣る嫌いがある。これに対しコマツ規模の会社では、現場が近い。現場が求めるものへの感度を磨くことが必要で、そのためには自分の仕事を規定してしまっては、仕事にならない。また日本の擦り合わせのモノづくりの強みは、次の工程あるいは工程全体との連携を見ながら自らの工程を仕上げていくところにある。全体プロセスのなかでの個の役割に対する理解があるかどうかだ。

 私自身も機械が専門ではなく、大学で計数工学の数理工学を学んで入社した。何でもやろうと思っていた。当初、機械設計を希望したがこれは果たせず、工場に配属され、生産技術研究所(現生産技術開発センタ)、米大学にエンジニアリング留学と歩んだ。留学から帰国するタイミングで欧米生産拠点立ち上げのプロジェクトに加えられた。場所探しに始まり、会社設立、生産立ち上げから黒字化する体制づくりまでの6年半を英国で過ごした。

 帰国して本社に戻ると、欧米以外のグローバル生産体制の再構築を手掛けた。また粟津工場に7年、真岡工場でも生産現場を歩いたあと、米国でマーケティング、製品開発を4年間経験し、今年4月から生産本部長となって戻ってきた。職歴の半分近くを海外で過ごしてきた計算になる。

1台も完成できなかった経験
 海外では会社と生産を立ち上げる貴重な経験をした。稼働1ヶ月目には、数十台の出荷計画を立てながら、1台も完成できなかった。製品の形はできたが品質的に合格しなかった。例えば、熱処理をしたピンを部品検査の初期段階では合格にしたものの、さらに工程を進めると焼き割れが出た。現地で調達した材料が日本の材料とこれほど違うのかということを思い知らされた。さらに現地で採用した人の、働くモチベーションをしっかり気遣う必要もここで学んだ。

 世界に44の生産工場を展開するなかで、組立て品質を日本のレベルに揃える努力を続けている。まず部品をA、B、Cの3ランクに分け、A部品は日本一極で設計生産し、B部品は設計を日本で、しかし生産は世界で2〜3社のパートナー・サプライヤに委託し、C部品はローカルで設計生産する体制としている。AとBに関しては、技術、品質、コストの作り込みをある程度制御できるが、溶接品が多いCランク部品に関しては、組立てとともにどのようにローカルで品質を確保するか拠点ごとに取り組んでいる。

 また設計の標準化を進めている。組立て上のミスを予防するために、組立て手順の違いによっては組み付かない設計構造を採用している。品質を作り込む上で、上流の設計配慮が組立てミスの歯止めをかける役割を果たしている。3次元CADツールはグループでPro/ENGINEERに統一している。

 またメカ系と電気系、ソフトウエア系が融合するコントローラなどの部品はAクラス部品として平塚のコマツエレクトロニクスで集中して開発している。そこではコマツの200機種ほどの機種揃えに対する、共通、非共通のソフトウエア・モジュールを階層化し開発している。

無人ダンプを走らせろ

 開発の一部はすでにグローバル化している。例えば、現在チリの鉱山で稼働している無人ダンプの場合には、傾斜角度、速度、回転数、振動などのセンサー情報を集めて車体に組込んだコンピュータを通じて司令部に送信する。司令部側では複数のダンプトラックの位置データなどを監視している。車載のソフトウエアやセンサー・メカトロニクスは日本側で開発しているが、鉱山全体の制御監視システムはコマツのアメリカの開発部隊が開発し供給している。このような先端開発の推進力となる、新しい人材を求めている。

(聞き手:甲斐 真一郎)




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