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ENERGY MANAGEMENT

バッテリーの充電量、健全度を検出するIVTセンサー

[2007年10月号]

電流、電圧、温度データが重要なパラメータになる


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IVTからのデータは車体またはエンジン制御部に送られ、電圧制御やエネルギー管理に使用される(左図)。バッテリーの充電量や健全度の算出には何種類かの電流データ、電圧データ、温度計測データを利用する(右図)

 自動車メーカーは燃料効率を何とか数マイルでも伸ばす方法の開発に拍車をかけているが、エネルギー管理システムは燃料節約のための1つの選択である。車両のエネルギー管理システムにセンサー機能を付加したいという需要に応えて、米Delphi社は、電流(I)、電圧(V)、温度(T)の統合型センサー(IVTセンサー)を開発した(http://rbi.ims.ca/5401-545)。このセンサーは、エネルギー管理の改善に必要なバッテリー充電量SOC(state of charge)と健全度SOH(state of health)のデータを精密に計測できる。

 同社Delphi Packard Electrical/Electronic Architecture事業部Advanced Engineering部門担当ディレクタDavid Wright氏は「充電システムの発展段階の次のステップに入った」と言う。

 しかし、燃費向上がエネルギー管理の唯一の目標ではない。「バッテリー寿命の問題が重要性を増しているという調査がある」と同氏。事実、欧州最大の自動車連盟である全ドイツ自動車クラブADAC(Allgemeiner Deutscher Automobil-Club)によれば、2000年における全車両故障の15%がバッテリー切れまたはバッテリー故障だったという。その頃から車両の電気的な負荷は劇的に増え続け、バッテリー管理システムの純正搭載が増えた。

 正確なSOCとSOHを測定し、エネルギー管理システムへ入力することにより、最適なバッテリー・サイズの決定や、エンジン始動時の機能の維持、平均電圧を低くすることによるライトの寿命向上、安全上重要な電気機能の動作保証も可能になる。


Delphi社のIVTセンサーの取り付け位置例。バッテリーのマイナス端子に取り付けられる
Delphi社のIVTセンサーの取り付け位置例。バッテリーのマイナス端子に取り付けられる

 バッテリー充電量の決定には電流、電圧および温度の測定が必要である。「私が引き合いに出したいのは計器パネルの燃料メーターのようなものだ」とWright氏。「使えるバッテリー充電量が表示され、フル充電、3/4、1/2、1/4、ゼロのように充電量を目で見られるようにする。」一方、バッテリーの健全度SOHによってバッテリーの最大充電量が決まる。

 健全度が良好で、ほぼ放電状態のバッテリーは再充電すればよい。しかし、健全度の低いバッテリーはフル充電であっても要求通りに動作しないし、改善する見込みはない。

 バッテリーに関するこれら2つのパラメータを決定する方法は他にもあるが、どの方法も温度と電流、電圧のデータを組み合わせる必要がある。「我々は、演算アルゴリズムをセンサーに直接実装した。」SOCとSOHの演算アルゴリズムは、Delphi社のIVTセンサーの小型マイクロコントローラのメモリーに格納されている。

 センサーはデータや診断情報をLIN(Local Interconnect Network)やCAN(Controller Area Network)インターフェースを介して通信する。

IVTセンサーの仕様

Delphi社のIVTセンサーにはマイクロコントローラが搭載されており、センサーの未加工データ、SOCおよびSOHの演算アルゴリズムが格納され、シリアル通信が可能である

 電流測定は精度に対応して3通りの動作領域がある。低レンジは-1〜+1A、精度は±10mAである。測定範囲-300〜+300Aの読取精度は±1%あるいは±80mAの大きい方の値である。始動時には-1200〜+300Aの範囲の電流を測定でき、読取精度は±3%か±400mAの大きい方の値である。電圧測定範囲は6〜18Vで、精度は±30mV、温度測定範囲は-40〜+85℃、精度は±2℃である。

 高精度の電流測定を行なうための課題の1つはデータの範囲である。「100μΩの分路を流れる数10mAを測定しようとする人がいるが、我々は電圧増幅器を使ってそれを実現している」とWright氏は語る。

 「これらの電流測定範囲を設けてエンジン始動時の最大電流を測定可能にすることで、バッテリーの内部抵抗を得るためのいくつかのデータが得られる」と同社のIVTセンサー開発の統括者John Caputo氏は語る。

 エネルギー管理システムの一環としてのSOC測定によって、SOCが例えば75%以上であれば車両は普通に走行する。SOCが75%を下回る場合には、例えば、車両停止時に、オルタネータ(交流発電機)の電流出力を高めるためにアイドリング回転数を上昇させるのが1つの選択肢である。SOCが60%を下回ると、座席のヒーティング・システムやリアウインドウの曇り除去装置など、特定の電気的負荷を制限することもできる。すなわち50%しか動作しないようにしたり、同時動作を禁止したりする。重要でない電気的負荷のスイッチを切り、車両の安全走行に欠かせない重要な負荷の動作を保証する負荷削減の決定は、SOCおよびSOH測定に基づいてバッテリーの状態に依拠したものであるべきだ。

 充電の面から見ると、オルタネータの出力電圧を制御するそれらのシステムでは、バッテリーがフル充電されていたならばオルタネータの出力電圧を下げられる可能性もある。「今日のシステムの多くは、バッテリーを常に確実にフル充電するように偏っている」とCaputo氏は言う。

 「フル充電されれば排熱になるし、使用できる電解液の蒸発損によりバッテリー寿命が縮まる可能性もある。」

 「そのほかの利点は燃費の向上だ」とWright氏。フル充電されたバッテリーを充電することはエネルギーを浪費することに他ならないからだ。通常小さなエンジンを搭載している中型ないし小型車では0.2km/l(0.5マイル/ガロン)の節約になるだろう。

IVTセンサーの実装
 センサーの自然な実装位置はバッテリーのマイナス端子のケーブル内である。技術的にバッテリー電流の総量を測定可能な位置でなければならない。

 「おそらく、バッテリー直近にプレヒューズボックスを置くというアイデアが最も興味を引くものだろう」とWright氏は語る。

(Randy Frank氏、コントリビューティングエディター)



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