これからハード、ソフト込みで解析利用のHPC管理を立ち上げようと計画している設計チームでは、まず自ら運用ポリシーを確立する必要がある。HPCリソースの有効活用を目的にHPCのジョブ・スケジューラを導入する場合も、その投資の成否の判定は運用ポリシーとの関わりで決まる。設計チームが実現したい目標は何か、課題は何か、その目標達成のための優先順位はどうか、を管理者がまず明確に把握することが重要だ。
目標の明確化を行なわない限り、メニイコアの最新マシンやスケジューラを導入してHPC利用の体制を整えたとしても、本当の狙いから逸れることが起りうる。
海外大手企業の例になるが、Boeing社では、リース満了でコンピュータを3〜4年ごとに入れ替える際にも、システムを止めずにハードを入れ替えることを可能にするソフトウエアを運用ポリシーとして選択している。同社がPBS Professionalを使う理由のひとつがそこにある。
OSでは、世界的に断トツでLinuxの実績が大きく90%を超える。ただWindowsに対する問い合わせは増えてきている。WindowsもHPCリソースのなかに入っていくためにはスケジューラは必須だということからWindows CCSが導入され、アプリケーションとの連携も強化されている。 PBS Professionalは最新版9.0からライセンス価格を引き下げユーザーのコア数の増加に対応したほか、所有しているマシンをオン・デマンド型に変換するフローティングライセンス方式を導入。今後HPCリソースの活用状況を管理者にリポートする意思決定支援ツールHiQubeとの連携も計画している。
(聞き手:甲斐 真一郎)
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HPC利用はまず目標の明確化と運用ポリシーの確立から
[2007年11月号]
アルテアエンジニアリング
エンタープライズコンピューティング事業部
中村ひろみビジネスマネージャ
スーパーコンピュータ、ネットワーク、Javaコンポーネント等のベンダーを経て、02年アルテアエンジニアリング入社。主に新製品のビジネス開発、パートナー開拓に従事。また、チャネルセールスも担当。
構造、衝突といったメカニカルCAE事業を市場展開するなかで、ハイパフォーマンス・コンピューティング(HPC)の必要性を予見し、03年にはVeridian Systems社から企業内の複数コンピュータのリソースを最大限に有効活用するためのミドルウエアであるPBS Professionalの事業を買収。これにより、グリッドコンピューティングを事業化する体制を確立し、製造業、研究機関など向けに導入してHPC活用を推進してきた。
NASAでの大規模利用が端緒
グリッドコンピューティングは大規模なスーパーコンピュータ領域で開発が進んだ。PBS Professional も米航空宇宙局(NASA)における航空宇宙コンピュータリソース上でのワークロード管理システムとして開発されたPBS(Portable Batch System)をベースとしており、04年には10,240CPUのプロセッサ数を持つNASAのColumbiaプロジェクトに採用された。
PBS Professionalはいわばジョブ・スケジューラであり、ネットワークに接続されて利用可能なすべてのアイドル状態のマシンを有効活用する機能、複数の計算センターにジョブを分散することで全体の稼働率を上げる機能、全体のコンピュータリソースを部門やユーザーに対し適切に設定配分できる機能、投入されたジョブの大きさなどにより自動的に適切なキューへ割り振る機能、優先度の高いジョブから優先して実行するプリエンプション(優先実行)機能などを備える。
PBS Professionalはいわばジョブ・スケジューラであり、ネットワークに接続されて利用可能なすべてのアイドル状態のマシンを有効活用する機能、複数の計算センターにジョブを分散することで全体の稼働率を上げる機能、全体のコンピュータリソースを部門やユーザーに対し適切に設定配分できる機能、投入されたジョブの大きさなどにより自動的に適切なキューへ割り振る機能、優先度の高いジョブから優先して実行するプリエンプション(優先実行)機能などを備える。
1コア〜3,000コアに利用者層
私自身、HPCビジネスのなかで感じることは、4〜5年前はグリッドコンピューティングという言葉が流行り、企業全体としてグローバル規模のオペレーションでHPCに取り組む機運が高かった。が、最近ではブレイクダウンして事業部単位、あるいはさらに少人数設計チーム単位でHPCリソースを追及してきているようだ。この結果、日本ではPBS Professionalの顧客もコアあたりのライセンス数で最小1ライセンスから最大3,000ライセンスまでと幅広い層に受容が拡大している。
RADIOSSを含むHyperWorksの製品群は直販し、顧客との連携が強い。その信頼関係もあって解析利用を目的としたPBS Professionalの顧客が増えているようだ。ソルバによって流体解析のようなメモリインテンシブのアプリケーションもあれば、構造解析や衝突解析のようなCPUインテンシブのアプリケーションもある。基板上のコア数が増えつつあるなかで、例えばメモリインテンシブな処理ではデュアルコアの1コアを使い、メモリインテンシブのジョブのパフォーマンスを下げないように1コアを空けておく、同様にCPUインテンシブなジョブでは2コアとも使ってソルバのパフォーマンスを確保するといった設定がPBS Professionalでは可能だ。
RADIOSSを含むHyperWorksの製品群は直販し、顧客との連携が強い。その信頼関係もあって解析利用を目的としたPBS Professionalの顧客が増えているようだ。ソルバによって流体解析のようなメモリインテンシブのアプリケーションもあれば、構造解析や衝突解析のようなCPUインテンシブのアプリケーションもある。基板上のコア数が増えつつあるなかで、例えばメモリインテンシブな処理ではデュアルコアの1コアを使い、メモリインテンシブのジョブのパフォーマンスを下げないように1コアを空けておく、同様にCPUインテンシブなジョブでは2コアとも使ってソルバのパフォーマンスを確保するといった設定がPBS Professionalでは可能だ。
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