モノづくりと人材・技術経営

SEに求める経営的感性と専門性

[2007年11月号]

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ニコンシステム 第4システム本部
高寺康之本部長

タカデラ・ヤスユキ 青山学院大学理工学部経営工学科卒。外資系コンピュータメーカー勤務を経て92年ニコンシステム入社。業務系、制御系システム開発部長、営業部門長を歴任後、07年4月より現職。
(聞き手:甲斐 真一郎)

 ニコンシステムはニコンの100%出資会社として86年に設立された。ニコンの半導体・液晶の露光装置(ステッパー)やデジタルカメラのファームウエア開発、業務システム構築などを手掛ける。

 私自身は大学を卒業後、外資系ハードベンダーの汎用機のオンライン系SEとして経験を積んだ。主として製造業と問屋・小売を含めた販売会社の業務を対象とした。当時は、モノづくりとシステムが全く切り離されていた。業務システムは主としてトップの経営判断のためにだけ構築され、生産現場では入力作業の煩わしさが作業に加わるだけの意味しかなかった。

比重増すモノづくりのソフトウエア
 その後ニコンシステムに加わり16年になる。それまでニコングループ内に混在していた各種データベースをオラクルに統一する作業を手始めに、ファームウエア系の営業、開発なども手掛けた。

 ニコン内ではステッパーを作るための製造装置を一部内製しており、そのファームウエアを開発した。外販では、宇宙空間における人工衛星を追尾してこれがいつどこで落下するかを観測するためのレーザービームを飛ばすハードのファームウエアと、取得したデータを解析するシステムの一部を請け負ったことがある。

 業務系システムを専業的に担当したのは4〜5年前からで、以後ニコンの情報システム部門と共同している。

 翻ってみると、モノづくりの中でソフトウエアの比重が格段に大きくなった。ニコンではかつてメカ、エレキ、実装、ソフトウエアの序列は、士農工商にも例えられた。しかし今やソフトウエアが一番上位に立っている。とりわけデジカメではソフトウエアへの依存度が顕著に高まっている。

 設計、製造エンジニアの現場では作業を効率化するツールが求められ、加えてCRM、SCM、PDMなどのソフトウエアの需要が拡大している。財務会計、販売管理、生産管理、購買管理などの基幹系業務システムの隙間には、Webを利用した情報公開システムや、顧客アンケートを吸い上げて製品企画・開発・設計に反映させる仕組み、技術情報などナレッジを共有化し3D設計に取り込む仕組み、3D部品データの購買活用による欠品率の改善システムなどが織り込まれて機能する。

経営的感性で構想設計
 さらに基幹系とサブシステム、隙間システムを連携融合させる仕組みとして品証・生産に絡むPLMと財務に絡むPLMの2種類のPLMが要求されている。第4システム本部では、ニコンのなかで基幹系ERPシステムの修正を手掛けながら、PLMの拡張にも取り組んでいる。

 開発生産の現場から経営判断に直結する情報領域を開拓することで、ソフトウエアが果たす役割は大きく変貌してきた。かつてSEはシステムの構築だけを求められた。今はグループ内では、基幹系と開発生産の現場を連携させるためにはどうしたらよいかという全体構想の提案まで求められることがある。ここでは業務の改善まで含めた提案力、経営的な思想の理解、経営的感性でシステムを構想設計していく力が求められる。

 業務は急拡大している。半導体・液晶ステッパーが堅調なほか、デジカメも好調な一眼レフ系に加えコンパクト系が上向いてきた。これらファームウエア開発では人材不足が続いている。これに加えてJ-SOX法への対応が急務となり、グループ内の業務系システム開発の仕事も伸びている。2000年前後に導入が進んだCRM、SCM等の更新や設計ナレッジ共有化のシステム作りなどでも忙しい。

 生産管理の統合といっても、受注対応型ステッパーと量産アセンブル型デジカメでは全くシステムは異なる。このため増員が追いつかず、残念ながら第4システム本部では外販に振り向ける力が不足する状況だが、他の本部では外販拡大へ対応を準備中だ。

総合的な視野と専門性
 我々はニコンシステムマンであり、ニコンマンではない。とはいえ、Nikonブランドを大事にしたいという想いで一致する。日本から出て世界で通用するブランドはそんなに多くはない。翻って、競合の激しいデジカメの開発設計チームに強力なツールをわれわれは供給できているかと問われれば、やり残している仕事はまだ多い。

 業務システム開発も、現場に入り、モノづくりを覚え、その一方で経営層の求めるものを肌で学びながら仕事を覚えるしかない。自分の仕事を勝手に決め付けるのでなく、総合的な視野から仕事を進める人材を求める。将来的にはSEが相談を持ち込めるようなOSやミドルウエア、ネットワークの専門家部隊を作っていきたい。



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