MAGAZINE ARTICLES
このページをホームページに登録リチウムイオンでEV実現なるか
[2007年11月号]安全性とコストの課題
Compact Power社の電気自動車用バッテリーには、温度管理システムと、バッテリーの電圧、電流、温度を監視するセンサーが搭載されている
GMのエンジニアは、電気自動車シボレー・ボルトを2012年に完成できるかどうかの鍵は、バッテリー開発の成否にあると言う
安全性については、リチウムイオンバッテリーの発火事故の危険性が問題となっている。この種のバッテリーでは、陽極で使われているコバルトが、温度暴走の原因になると言われている。
ある専門家は、匿名を条件として次のように言う。「携帯電話やノートパソコンのバッテリーが発火する事故についてはよく知られている。しかしこれらのバッテリーはサイズが小さいので、(自動車と比べると)問題の規模も小さい。問題は、自動車メーカーがどのような温度管理機能を搭載するかにかかっている。高速道路を突っ走る自動車が炎に包まれることがないようにするために、どのような緊急停止システムを搭載するかということだ」。
自動車メーカーとバッテリーメーカーは、こうした問題の解決に向けて共同開発を進めていて、バッテリーのコア温度を35℃以下に抑えることを目標にしているという。計画では、ウォータージャケットのような形で液体を使って冷却するか、あるいは大きなプレナムとチャンバーを使ってバッテリーパック周辺の空気を循環させるという。Compact Power社は、GMと共同して、バッテリーセルの電圧、電流、温度をセンサーで監視する、電子式のバッテリー管理システムの開発を進めている。
さらに、バッテリーメーカー各社によると、新しいリチウムイオンバッテリーは、化学的な改善によって発火しにくくなっているという。例えばCompact Power社では、陽極のコバルトの代わりに、より資源が豊富で価格が安く、安定性が高いと言われるマグネシウムを使用している。
Compact Power社の研究部門を率いるMohamed Alamgir氏は、「ノートパソコンや携帯電話のバッテリーに含まれているコバルトと比べて、マグネシウムは温度安定性が高い」と言う。
同様に、A123Systems社では、リチウムイオンバッテリーのコバルトをリン酸鉛に置き換えている。A123のエンジニアは、これによって温度暴走の可能性が低下したと言う。(A123社製バッテリーの釘貫通テストのビデオ:http://rbi.ims.ca/5401-591)。
それでもまだ、心配は残る。専門家によると、リチウムイオンは充電能力と出力が非常に高いので、注意深い制御が必要だという。コバルトに代わる材料の採用によって安全性が改善する見込みは高いものの、どのバッテリーメーカーも、大型のリチウムイオンバッテリーに関する経験は、十分に持ち合わせていない。
関係者の多くは、バッテリーメーカーが解決策を見出すのは可能だと考えているが、それが自動車メーカーの求めるコスト条件を満たせるかどうかは分からないと言う。マサチューセッツ工科大学のSadoway氏は、「問題は、技術的に可能かどうかではなく、指定された価格で実現できるかどうかだ」と言う。
しかし、ここにも希望はある。米国先進バッテリー・コンソーシアムが、新型の電気自動車には補助用の内燃エンジンが搭載されること(したがって、バッテリーパックが小型化すること)を考慮して、コスト目標を緩和したのだ。同コンソーシアムは、10年前には、電気自動車用バッテリーの長期的なコスト目標を1キロワットアワーあたり100ドルに設定していたが、現在では、長期的な目標で200ドル、短期的な目標では300ドルにしている。
A123社のChiang氏は言う。「技術の進歩の度合いと、プラグインハイブリッド側の要件緩和を考え合わせると、私自身は楽観的になっている。ただし結果は、見てのお楽しみだ。現状では、まだ目標には到達していないのだから」
新世代の電気自動車用バッテリーは何が違うのか?
出力密度-エネルギー密度比の適切な値
10年前の純粋な電気自動車用のバッテリーと現在のバッテリーとの最も大きな違いは、出力密度-エネルギー密度比の値にある。これは、バッテリーの出力密度(W/kg)をエネルギー密度(W-hr/kg)で割った値だ。バッテリーだけで走行する車両(開発中止となったEV1など)では、出力密度-エネルギー密度比の低いバッテリーを使用する。一方、トヨタ・プリウスのようなハイブリッド車では、この値が高くなる。シボレー・ボルトなどは、これらの間の中間的な値になる。
出力密度-エネルギー密度比
ハイブリッド車(例:プリウス)10
プラグインハイブリッド車(例:シボレー・ボルト)4-7
純粋な電気自動車(例:EV1)2
10年前の純粋な電気自動車用のバッテリーと現在のバッテリーとの最も大きな違いは、出力密度-エネルギー密度比の値にある。これは、バッテリーの出力密度(W/kg)をエネルギー密度(W-hr/kg)で割った値だ。バッテリーだけで走行する車両(開発中止となったEV1など)では、出力密度-エネルギー密度比の低いバッテリーを使用する。一方、トヨタ・プリウスのようなハイブリッド車では、この値が高くなる。シボレー・ボルトなどは、これらの間の中間的な値になる。
出力密度-エネルギー密度比
ハイブリッド車(例:プリウス)10
プラグインハイブリッド車(例:シボレー・ボルト)4-7
純粋な電気自動車(例:EV1)2
要件の緩和
達成しやすくなるコストとエネルギー要件
新世代の電気自動車用バッテリーは、1990年代のものと比べて成功する見込みが高い。シボレー・ボルトをはじめとする航続距離延長型の電気自動車には、補助用の内燃エンジンが搭載されるからである。米国先進バッテリー・コンソーシアムは、補助エンジンの存在を前提に、電気自動車用バッテリーのコストとエネルギー密度に関する要件を緩和している。
パラメータ 変更前 変更後
エネルギー密度 200W-hr/kg 150W-hr/kg
コスト(短期目標) $150/kW-hr $300/kW-hr
コスト(長期目標) $100/kW-hr $200/kW-hr
新世代の電気自動車用バッテリーは、1990年代のものと比べて成功する見込みが高い。シボレー・ボルトをはじめとする航続距離延長型の電気自動車には、補助用の内燃エンジンが搭載されるからである。米国先進バッテリー・コンソーシアムは、補助エンジンの存在を前提に、電気自動車用バッテリーのコストとエネルギー密度に関する要件を緩和している。
パラメータ 変更前 変更後
エネルギー密度 200W-hr/kg 150W-hr/kg
コスト(短期目標) $150/kW-hr $300/kW-hr
コスト(長期目標) $100/kW-hr $200/kW-hr
Sponsor Links
Partner Solutions
EVENTS
-
品質向上セミナー 『「誰でも」「どこでも」高品質の実現に向けて』
2008年12月11日ー2008年12月11日
UDX GALLERY -
Automotive Electronics Forum 2008 『欧州エコカー技術の最前線』
2008年12月09日ー2008年12月09日
ベルサール西新宿 -
第1回 アナログセミナー 『アナログICを選ぶ、使う』
2008年12月03日ー2008年12月03日
東京コンファレンスセンター・品川













