CONTROL ENGINEERING

MACHINE SAFETY

「機械安全」を推し進める

[2007年11月号]

06年4月に改正労働安全衛生法が成立して、ようやく職場における作業者の安全対策に注目が寄せられだした。安全後進国と呼ばれる日本のモノづくりの現場では今、労災のリスクを減らすために何をすべきかが問われている。業界団体と制御オートメーション各社の取り組みを聞く。


By 甲斐 真一郎
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 「法律がないうちは企業も人も動かない。日本でも欧州基準で労働災害と取り組めば、80%の災害をなくすことが可能という報告がある。日本では年間1,200人ほど労災による死亡事故があるから、その80%を救うことができる計算になる。06年4月に施行した労働安全衛生法の改正が、法律として実質的にリスクアセスメントの実施を規定したことは大きな一歩だった」−そう語るのはセーフティ業界20年のベテラン、ロックウェルオートメーションジャパン、セーフティ推進本部の三平律雄本部長。

 昨年の労働安全衛生法の改正によって、災害が起れば法律に基づいて処罰の対象となることがようやく認知されだした。改正の主要なポイントは3点ある。(1)機械の安全をリスクアセスメントにより確認し、修理など必要な措置をする。(2)対象範囲は全ての業種にわたり、1人でも雇用があれば製造業でも小売業でも対象となる。(3)安全管理者を選任すべきであり、その人が活動できる組織を作る。

 同改正を受けて、安全に関するリスクアセスメントの具体的な指針が07年7月末に改正発行され、都道府県労働局長、機械使用業界70団体、機械製造業界38団体に通知された。

欧州先導の規格
 安全規格で先行したのは欧州。1990年に立法化され、95年から安全対策が実施されている。欧州では法制化が生産設備の更新期にあたったというタイミングのよさもあった。生産力の刷新・増強への投資とともに安全規格対応の技術、機器類の開発と導入も進み、その結果安全思想の徹底が進むという好循環を生んだ。

 これに対し日本のモノづくりは安全の規格化と意識では遅れている。「一番大きな問題は設計者、購買担当、経営者に安全に対する感覚がないことだ。欧州から調達した機器に、安全のための装置がびっしり装備されていると『邪魔だから全て外してくれ』という。そういう会社は日本でかなりの数にのぼる」と三平本部長は語る。

安全は企業フィロソフィー
 1880年にベルリンで「事故を防止することは法規の問題とみなすべきではなく、むしろ我々の同輩に対する責務と経済感覚の問題である」と語ったのはシーメンスの創立者Werner von Siemens氏。同社自動制御ドライブシステム事業部のベルンド・シュットラー事業部長は、「創業時からシーメンスにとって労働安全の問題とは企業フィロソフィー」と語る。

 今日に至るまでセンサーからPLC制御機器、通信システムまで、多種多様な製品と技術を生み出してきた。シーメンスはいまでは安全技術を工場オートメーションとともに、プロセスオートメーション領域でも同一製品で安全技術を供給している。さらに生産性を追及する自動化設備と安全設備とをシームレスに統合し、ユーザーインターフェースも共通化している。

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