欧州連合(EU)の化学物質規制「REACH(Registration, Evaluation, Authorisation and Restriction of Chemicals)規則」が2007年6月1日に施行された。REACH規則は、既存の40以上の環境関連の法制度を統合する、EU環境規制の最終版ともいえる法制である。化学物質を登録が企業の義務となり、さらに化学品を使って製造された部品なども「成形品(Article)」として規制対象に加わるなど、従来法制と大きく異なる。特に、厳しい制限が予想される「高懸念物質(SVHC、Substances of Very High Concern)」については、国内エレクトロニクス企業の欧州展開にとって大きな影響が予測されている。リード・ビジネス・インフォメーションは9月27日、東京・青山ダイヤモンドホールで英国からエレクトロニクス、化学産業の専門家を招き、第4回環境規制セミナー「ここが危ない!—欧州REACH高懸念物質への対策」を開催した。同セミナーではREACH規則の最新動向について、化学産業の側面から英国化学ビジネス協会(CBA)のDouglas Leechテクニカル・マネージャーが、エレクトロニクス産業の側面から英ERA Technology社信頼性・故障解析担当のChris Robertson博士が講演を行った。以下各講演と質疑応答の概要を紹介する。
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欧州REACH規則の高懸念物質リスト化は08年末以降
——自社調査による予備登録が急務
[2007年12月号]
予備登録は無料
Leechテクニカル・マネージャーは、REACH規則の要件と化学業界の対応状況について講演した。「REACHは従来の化学物質規制と異なり、責任の主体が国家から産業界に移った。今後は登録のない化学物質は市場で流通させることができなくなる。そこで重要になるなのが08年6月1日から12月1日にある『予備登録』だ。08年12月以降の『本登録』には、料金が発生するが予備登録は無料。各企業は予備登録を積極的に活用するべく準備を進めるべきだ」と、予備登録の重要性を強調した。そのためにも、成形品(Article)を製造する部品・最終製品メーカーは、現在使用している化学品の用途情報や、その化学品に人間が曝される状況を想定した「暴露シナリオ」を、化学品メーカーなどサプライチェーン上流で登録しているかについて、質問状を送るなどして確認する必要があると指摘した。 REACH規則の運用方針は、産業界、NGO、欧州委員会などが参加する「RIPs(REACH Implementation Projects)」で決定される。Leechマネージャーは、予備登録やデータ共有のガイダンスとなる「RIP 3.4」の策定に携わった。しかしその作業は、全てが完了しておらず、未確定な部分も多い。「部品・最終製品メーカーが、サプライヤである化学品メーカーに化学品の登録状況を確認するための『質問状(Questionnaires)』をRIP 3.2で標準化しようとしたが、まだ合意が取れていない」という例を挙げ、REACH規則に関する新しい決定があることから、今後も積極的な情報収集を行うべきだと示唆した。
高懸念物質リストは未確定
高懸念物質については、厳しく規制されることが決まっているものの、その定義を決める会議が10月初旬に行われ、最初のリスト公開が08年末、正式な文書化が09年6月1日など、予備登録期間以降に作業が本格化することが分かっている。この事実に対して「すでに決まっている141種類の優先対策物質や、現時点で欧州各国の法令で有害とされる物質など、高懸念物質にあてはまる可能性のある化学物質に関する調査を早急に行って、予備登録しておく方が良いだろう」と説明した。
現時点で高懸念物質の候補として評価対象となっているのは約1,200物質。EU理事会規則793/93で決定された優先対策物質141種類が優先的に評価されるが、このうち半分程度はエレクトロニクス業界では使用されていない。他に発ガン性、変異原性、生殖毒性があるとされる「CMR物質」、難分解性、生体蓄積性の高い「PBT物質」「vPvB物質」も対象となっている。REACH規則の付属文書である「Annex XIV」内でリスト化される予定だが現時点では確定しておらず、対象物質が追加される可能性は高いという。「欧州委員会の指令『76/769/EC』やRoHS指令はもちろん、ノルウェーで規制対象として議論になっているテトラブロモビスフェノールA(TBBPA)など、今後規制の可能性がある物質についても対応を検討すべきだろう」とした。
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