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AUTOMOTIVE

素材が変えるエコカー開発

−東京モーターショー2007レポート−

[2007年12月号]

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トヨタのコンセプトカー1/X。プリウスと比べて重量は3分の1となる420kgでありながら、車室容積はほぼ同等を維持している

 二酸化炭素の排出量増加による地球温暖化問題が話題となる中で、自動車メーカーの開発テーマである「環境」「安全」「快適」のうち「環境」の比重が高まっている。10月26日から11月11日まで千葉・幕張メッセで開催された「第40回東京モーターショー2007」でも、環境負荷の小さい「エコカー」関連を中心に数多くの新技術が紹介された。


CFPR採用で重量3分の1
 エコカーでは、クリーンディーゼル、ハイブリッド、燃料電池、電気など二酸化炭素の排出低減に直接貢献する新しい駆動源に注目が集まり易いが、車両重量を軽減するなど素材に関する技術開発も大きな課題である。

 トヨタ自動車が出展したコンセプトカーの中でも、素材が大きな開発要素となっているのが「1/X」である。ボディ骨格に炭素繊維強化プラスチック(CFPR)を採用して高い剛性と軽量化を両立させながら、プリウスのパワーユニットの4分の1の重量となる500ccのエンジンとリチウムイオン電池などを使ったコンパクトなプラグインハイブリッドシステムを搭載して、プリウスの3分の1となる約420kgの車両重量を目指している。軽量化することで燃費効率も2倍に向上する。「ボディ骨格を軽くすれば、その分パワーユニットの出力も小さくできるし、パワーユニットも軽くなる。車両重量が軽くなれば衝突安全に対する剛性要求も緩和され、ボディ骨格に使う素材を減らしてさらに軽量化できる。1/Xは、軽量化がさらに軽量化を生むというエコカーの新しいコンセプトを示している」(トヨタ自動車)という。

 1/Xは、パワートレイン部分はモックアップなので実際には走行できないが、CFPRによるボディ骨格は420kgという車両重量を前提に設計・製造されている。CFPRは、レースカーや航空機に採用されているが「車体の製造に日単位の期間が必要になるので、自動車の量産という意味ではまだ実用的ではない」(同社)ようだ。

90kgの樹脂を使用

Hyundai社のQarmaQ。バンパー、ボンネット、フェンダー内に樹脂製のエネルギー吸収体「Elastic Front」を内蔵しており、グローバルの歩行者保護規制に適合する

 軽量化の実用的な方策として採用が始まっているのが、金属・ガラス部品の樹脂素材への代替である。韓国Hyundai Motor社のコンセプトカー「QarmaQ(カルマック)」には、サウジアラビアSABIC Innovative Plastics社(旧GE Plastics社)の最新の材料技術が30以上採用された。フェンダー、フード、バンパーには使用済みPETボトルからリサイクルした「Xenoy IQ」、ワイヤーハーネスにはケーブル重量を大幅に低減する電線被覆材料「Flexible Noryl」、複雑な曲面を持つサンルーフパネルやC字型の窓などデザイン性の高いガラス部品を可能にするポリカーボネート樹脂「Lexan」などで、使用した樹脂の量は90kg。また樹脂を使用しない場合に比べて60kg軽量化できているという。またバンパー、ボンネット、フェンダーにXenoy IQ製のエネルギー吸収体「Elastic Front」を内蔵しており、走行可能なSUV車としては、世界で初めて日米欧にわたるグローバルの歩行者保護規制に対応したとしている。

 両社は、樹脂を多数採用した実現可能な「新技術実証車」を目指して2005年からカルマックの開発を進め来た。Hyundai社では、2008年〜2014年の新車に順次これらの技術を採用して行く方針だ。SABIC社も「部品単体では金属やガラスよりも樹脂の方が高コストだが、金属部品で必要な治具が不要になることや一体成形などの効果により、システム全体としては同等以上の価格競争力を実現できる。Hyundai社以外にも採用を広げて行きたい」(SABIC社)という。


トヨタ車体のCOMS BP。ボディのバイオプラスチックは、07年ダカールラリーに参加したランドクルーザーの内部部品にも一部採用されている

 トヨタ車体は、植物資源から製造した軽量・高剛性のバイオプラスチックをボディに採用した「COMS BP」を出展した。COMSは、インホイールモーターや鉛蓄電池で駆動システムを構成する最高速毎時50kmの一人乗り小型電気自動車で、食品宅配やメンテナンスサービスなどの社用車に採用されている。今回のCOMS BPでは、マオから作った繊維にケナフから抽出した熱硬化性樹脂「リグニン」を含侵したシートを熱成形した部品を採用している。繊維径が30μmと細いマオを使用することで、一般的な強化繊維プラスチックよりも高い強度、軽量性、平滑性を実現した。

 また、熱硬化性樹脂は一般的にリサイクルが困難で、環境性能は低い。しかし、植物由来のリグニンは焼却処理しても製品サイクルに関わる二酸化炭素の量が一定な「カーボンニュートラル」なので、焼却時に熱エネルギーを回収する「サーマルリサイクル」を適用できるという。

 ダンロップファルケンタイヤは、石油外天然資源の使用率を97%にまで高めた「ENESAVE 97」を展示した。2005年に発表した70%が石油外天然資源の「ENESAVE ES801」と比べて、空気抜けを防ぐインナーライナーや側面のサイドウォールも天然ゴム化することで比率を高めることに成功した。また性能面でも、タイヤ表面のトレッドに新しいパターンを採用して転がり抵抗を従来品に比べ35%削減しており、燃費向上にも貢献する。08年3月に発売する予定だ。



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