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第12回(最終回)
3次元図面で何が変わるのか
[2007年12月号]
最終回は、3次元次元図面構想を軸として、今後、何を変えようとしているのか、何が変わっていくのかについて、これまで述べてきた内容から6つに絞ってまとめよう。
1.設計情報の見える化手段を変える
これまで、3次元設計された設計情報の一部は2次元線画で「見える化」されてきた。これらをすべて3次元で「見える化」することが3次元図面構想の主題である。3次元で表現されることにより、モノづくりのプロセス全体、すなわち設計、試作、生産準備、部品製作、生産組立、販売、保守サービス等すべてにわたって、形状の理解の容易性、正確性、迅速性、表現力、訴求性の向上が見込めるのだ。
2.図面の概念を再確認する
従来、図面とは、2次元の線画で示した三面投影図と管理情報を示した部品明細書の構成に代表され、3次元設計で定義された3D形状データは、図面という概念に含むか含まないかは曖昧であった。さらに、図面レスという騒ぎにおいては、「図面」が設計情報そのものを示すのか、設計情報を2次元線画で表したものだけを示すのかも曖昧であった。
また多くの技術者は、「正しい図面」とは、形状を表す情報を全て網羅していなくてはならないと教えられてきたが、3次元データの出現で「正しい図面」の定義すら見かけ上崩れてしまった。このように色々な角度から曖昧となってしまった「図面」の概念を再確認しなくてはならない。
今のところ、3次元図面構想において、設計情報の三つの要素(製品形状、製品特性、管理情報)の集合体を3次元図面(3D図面)と称して、あくまで「図面」という言葉を用いている。
つまり、筆者が理解する限り、「図面」は設計情報の集合体である。したがって、見える化の手段は何であれ、また2次元から3次元に設計手法が変化しても、「図面」の概念は不変であり、設計情報の集合体を示すのだ。(第3回と第4回を参照)
また多くの技術者は、「正しい図面」とは、形状を表す情報を全て網羅していなくてはならないと教えられてきたが、3次元データの出現で「正しい図面」の定義すら見かけ上崩れてしまった。このように色々な角度から曖昧となってしまった「図面」の概念を再確認しなくてはならない。
今のところ、3次元図面構想において、設計情報の三つの要素(製品形状、製品特性、管理情報)の集合体を3次元図面(3D図面)と称して、あくまで「図面」という言葉を用いている。
つまり、筆者が理解する限り、「図面」は設計情報の集合体である。したがって、見える化の手段は何であれ、また2次元から3次元に設計手法が変化しても、「図面」の概念は不変であり、設計情報の集合体を示すのだ。(第3回と第4回を参照)
3.設計手法を変える
3次元図面の運用を始めると、寸法定義に代表される製品特性の定義を3次元空間のモデルに直接定義することになる。この場合、2次元投影線図の図形の端点をピックして寸法を定義する従来の感覚で、3次元モデルの形状の頂点をピックして寸法定義をしようとすると、はたしてこれで良いものか、面と面の関係やその形状のばらつきはどうなるのかなどの、2次元投影線図上の定義では意識しなかった点に違和感を覚えることになる。そこから、立体の形状、位置、姿勢などをより明確にする幾何特性の定義が必然的となる。この幾何特性仕様の表記法はわが国では今のところ馴染みが薄く、諸外国から遅れているといわれる。3次元図面の運用によって、この手法がわが国においても広げられる可能性がある。
4.CADの機能を変える
製品特性の定義を3次元空間で行なうためには、ツールとしてのCADの機能がこれを可能にしなければならない。そのためには少なくとも二つの大きな課題がある。まず、3次元モデルは製品形状と寸法情報等の製品特性を併せ持つ一元化されたモデルであり、これを誰でも、いつでも、必要なだけ参照できるように「見える化」された3次元モデルであること。そして、3次元空間で製品特性を入力・表現するCADの機能として、必要な寸法、公差、幾何特性情報等を網羅して入力・表現できるものでなくてはならない。これらの機能は今後の3次元CADの要件機能となり、利便性とそのパフォーマンスの優劣は3次元CADの重要な評価指標の一つになると予想される。(第7回を参照)
5.設計情報の閲覧手段を変える
3次元図面は、設計情報の見える化の改革であるから、その閲覧手段の変化は重要な要素となる。長い間この主役であった2次元紙図面による閲覧が、いよいよその主役の座を降りる可能性がある。代わって主役の座につく最有力候補が3Dビューワである。今のところ3次元図面構想における3Dビューワが備えるべき機能要件は以下の通りである。
(1)3Dモデルの確認・検証機能(2)アセンブリ編集機能(3)コミュニケーション機能(4)3D文書作成への支援(5)2次元図の作成と印刷(第8回を参照)
(1)3Dモデルの確認・検証機能(2)アセンブリ編集機能(3)コミュニケーション機能(4)3D文書作成への支援(5)2次元図の作成と印刷(第8回を参照)
6.技術者の教育を変える
3次元図面に係わる技術者のスキル(技能)の面では、幾何特性仕様の定義能力がクローズアップされると予想される。3D表記の国際規格ISO16792や、幾何特性仕様の各GPS規格等による表記法が、今後のグローバルなビジネス展開において要件となる場面が多くなる。
ところが、わが国の幾何特性仕様に関する知識や必要性の意識等は諸外国に比べて低いと言わざるを得ない。今後わが国のモノづくりに係わる人たちの幾何特性仕様に関するスキルアップを図ることは決して容易なことではないと筆者は判断する。設計する側と作る側との意識・知識が重ならなければならない。したがって、係わる人たちの柔軟性も必要となり、世代交代が一つの解決策ともなり、教育機関における工学系学生への基本教育にも大きく係わるであろう。そのための教育者の育成等の体制づくりも重要となる。
ところが、わが国の幾何特性仕様に関する知識や必要性の意識等は諸外国に比べて低いと言わざるを得ない。今後わが国のモノづくりに係わる人たちの幾何特性仕様に関するスキルアップを図ることは決して容易なことではないと筆者は判断する。設計する側と作る側との意識・知識が重ならなければならない。したがって、係わる人たちの柔軟性も必要となり、世代交代が一つの解決策ともなり、教育機関における工学系学生への基本教育にも大きく係わるであろう。そのための教育者の育成等の体制づくりも重要となる。
見える化への重要な配慮
見える化の手段を3次元に変えると一言で言っても、その利便性が高くなくては利用されないままで終わってしまう。2次元の紙図面はその場に広げれば、知りたい情報が何かに隠れて見えないといったことはなく、全ての情報がその場で読み取れる利便性を持っている。3次元図面は、この利便性を維持することが前提条件であり、さらにプラスアルファの利便性が望まれる。すなわち、
(1)3Dビューワで閲覧する場合、ひとつの静止画面ビューで全ての情報を表示することはできないため、画面をパンしたり回転したりすることになる。この場合、読み取り易さを最大限に配慮した様々な電子化ならではの表示機能が望まれる。
(2)3次元図面に網羅される設計情報は、モノづくりの全てのプロセスに係わる情報の集まりであり、これを一度に表現することは煩雑になる。一方でこれを閲覧する人はモノづくりの一部のプロセスに限って係わるところから、必要とする情報は全体の一部に限られる場合が多い。したがって、情報の見える化は、情報があらかじめ分類整理され、閲覧者が必要とする情報のみを効率よく、見やすく表現するのが良い。
これらの一部はISO16792の要求事項にも含まれるが、具体的解決はCADや3Dビューワの機能開発に委ねられることになる。今後、競争原理においてユーザーの利便性が高まることを期待すると同時に、ユーザー要求による改善が重要となる。ユーザーは、ユーザーの意見によってツールは改善されることを忘れてはならない。
(1)3Dビューワで閲覧する場合、ひとつの静止画面ビューで全ての情報を表示することはできないため、画面をパンしたり回転したりすることになる。この場合、読み取り易さを最大限に配慮した様々な電子化ならではの表示機能が望まれる。
(2)3次元図面に網羅される設計情報は、モノづくりの全てのプロセスに係わる情報の集まりであり、これを一度に表現することは煩雑になる。一方でこれを閲覧する人はモノづくりの一部のプロセスに限って係わるところから、必要とする情報は全体の一部に限られる場合が多い。したがって、情報の見える化は、情報があらかじめ分類整理され、閲覧者が必要とする情報のみを効率よく、見やすく表現するのが良い。
これらの一部はISO16792の要求事項にも含まれるが、具体的解決はCADや3Dビューワの機能開発に委ねられることになる。今後、競争原理においてユーザーの利便性が高まることを期待すると同時に、ユーザー要求による改善が重要となる。ユーザーは、ユーザーの意見によってツールは改善されることを忘れてはならない。
おわりに
一年間にわたり、設計情報の見える化と3次元図面をテーマに、モノづくりに係わる情報伝達の現状と在り方について、様々な切り口から整理を図ってみた。設計の手段のみで始まった3次元設計とその3Dデータは、3次元図面によってようやくモノづくりの全プロセスで活用されようとしている。これは同時に、モノづくりシーンに様々な変革の必然性が生まれることを示唆している。この変革の大きさは図に示す6項目だけでも生半可なものではない。
3次元図面は、自動車業界一丸の推進に続いて、電子情報機器産業界の動きも始まり、その具体的運用の動きはますます広がりを見せようとしている。この変革の中に入り込むか、それとも遠巻きに眺めるか。本誌を通して様々な技術情報を取込んでいる読者の皆さんが、自らこの変革に参加し、その推進と普及に携わることを強く勧めたい。どうせ変るのなら、自ら係わって変えるほうが楽しいものである。モノづくりの楽しさは尽きない。(完)
3次元図面は、自動車業界一丸の推進に続いて、電子情報機器産業界の動きも始まり、その具体的運用の動きはますます広がりを見せようとしている。この変革の中に入り込むか、それとも遠巻きに眺めるか。本誌を通して様々な技術情報を取込んでいる読者の皆さんが、自らこの変革に参加し、その推進と普及に携わることを強く勧めたい。どうせ変るのなら、自ら係わって変えるほうが楽しいものである。モノづくりの楽しさは尽きない。(完)
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