ゼネテックは米CNC Software社のCAD/CAMソフトウエア「Mastercam」を日本に持ち込み日本語化、教育、サポート、拡販を行っている。Mastercamの販売を始めてから17年目に入り、最新版のMastercam X2 MR2を11月に出荷し始めた。X2はバージョン11を表す。
CAD/CAMは大きくカテゴリ分けすると、専用のCAD/CAM、汎用のCAD/CAMと大きく2つに分けられ、Mastercamは汎用の方に入る。ツールパスなどは顧客の経験とノウハウによって作る。
ゼネテックのエンジニアリング・ソリューション本部野中博文本部長は、「自動化された専用のCAD/CAMでは、誰が使っても同じようなツールパスが出てくるが、そこには顧客のノウハウや経験は生かしづらい。一方、汎用のCAD/CAMは、誰にでも容易にすぐに使えるものではないが、熟練した職人のノウハウや経験を投影していくことができる」と語る。
Mastercamは、全世界で販売され、多くの顧客が全世界に存在している。この利点について野中本部長は、「バグフィックスのないソフトウエアは存在せず、いかに多くの顧客でバグを発見してこなれていっているソフトウエアなのかというのが、顧客の選択肢の一つのファクターになる。実績ユーザー数が100社と10,000社では、出てきている問題の数などが圧倒的に異なる。そういう意味ではMastercamは、世界中でさまざまな加工の中で使われており、かなりこなれているソフトウエアだと業界の中では認知されている」と語る。
CAD/CAMが使われる加工を大別すると、マシニング、旋盤、放電の3つに分けられる。Mastercamにはマシニングに対応したモジュールが3種類ある。Mill Level 1(2軸加工)、Mill Level 2(単面3軸加工)、Mill Level 3(複合面3軸加工)である。オプションとしてMulti-Axis(多軸加工)というモジュールを用意している。これらのラインナップで2軸加工から同時5軸など多軸加工までのすべての加工をカバーできる。
旋盤加工は、Latheというモジュールで対応可能。複合加工には、MillとLatheを組み合わせて対応できる。「一般的に、マシニングの画面と旋盤の画面を切り替えて融合しながら使うソフトウエアが多いが、同じインターフェースの中で、マシニングと旋盤を複合して使えるソフトウエアは数少ない」(野中本部長)。ワイヤー放電加工についても、Wireというモジュールが用意されている。このため、ほぼすべての加工機にMastercamは対応する。
最近では、各工作機械メーカーは、同時5軸、複合加工に注力しており、そこにいかにフィットしたソフトウエアを提供できるかというのがCAD/CAMメーカーの課題となっている。CNC Software社とゼネテックは、同時5軸、複合加工に5、6年前から着目しており、さまざまなノウハウの集積や開発を行ってきた。
野中本部長は、「割り出しレベルでの4軸、5軸加工はできて当たり前である。ソフトウエア上でできるというのと、実際の加工でできるというのは別問題である」と語る。実際の加工では工具の種類や工具の突き出し量、工具の角度などさまざまな蓄積されたノウハウが必要になる。CAM上で一方的に出されたパスは、こうした実際に必要となるノウハウに沿ったものではないことが多い。「こうしたところにいかに対応していくのかが、5軸加工の中では大きなポイントとなっている。そのため、Mastercam X2では、高速加工向けツールパス作成機能HST(High Speed Tool)や多軸ツールパス作成機能(アドバンス多軸)などの機能があり、こうした機能を複合させて熟練のオペレータでなくても簡単に5軸加工用のツールパスを出せるようにしている」(野中本部長)。
Mastercam X2 MR2は、X2のメンテナンスリリース版で、いくつかの機能を強化している。
トロコイド加工は、全刃切削を避けるために螺旋を描きながら材料を切削する加工で、従来からMill Level 2、Mill Level 3には標準搭載されていたが、このほどMill Level 1にも搭載した。トロコイドを描きながら加工することで片刃による加工が可能となり、工具負荷の減少、送り速度の向上、工具寿命の延長という効果が得られる。MR2では、トロコイドによる溝加工専用のツールパス「トロコイドスロットツールパス」を搭載した。1つの輪郭を選択し、溝幅を指定することでツールパスを作成できる。
今後について野中本部長は、「多軸加工、複合加工を追求していく。工作機械メーカーがいろいろな機能を機械に盛り込んでくるため、こうした新しい機能にいかにCAD/CAM上で追随して、機械の持っている能力を120%出せるようなパスを作るソフトウエアを開発していくことを忘れてはならない」と語る一方で、「新しい機能で加工している顧客というのは一握りで、ベーシックな部分で加工している顧客がほとんどである。今の国内全体の加工をみても、5軸、複合加工は1〜2割しかいない」とも言っており、2軸、3軸などのベーシックな加工の重要性も指摘している。
野中本部長はまた、「金型産業ではこのあいだまで、3軸で十分だという評価がほとんどだったが、5軸が求められるようになってきた。今は5軸を使っていなくても、いずれ5軸が必要になるため、中長期的に考えた場合、システムの選定としてどれが正しいのかということが重要になる」と付け加えた。
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5軸・複合加工機を生かすCAM
[2007年12月号]工作機械の複雑化にともない、CAMに求められる要求も増大する
モノづくり業界でここ数年、トレンドとなっているのは、同時5軸加工、複合加工である。こうした最先端の工作機械の加工能力を使いこなすには、CAMソフトウエアが重要となる。工作機械の動作が高精度化、複雑化するにつれて、ますますCAMの役割は拡大する傾向にある。
今回、CAMの最新機能を中心にソフトウエアベンダーおよびその販売代理店を取材した。同時5軸・複合加工機対応を含めここでは、各社CAM製品の新機能および強みを紹介する。
今回、CAMの最新機能を中心にソフトウエアベンダーおよびその販売代理店を取材した。同時5軸・複合加工機対応を含めここでは、各社CAM製品の新機能および強みを紹介する。
NX CAM Express
ユーザーはまず画面上に絵で表示されている金型加工(Die Mold)、旋盤加工(Turning)、2.5軸加工(Machinery)など5種類の加工環境から1つを選択する
旧バージョンのNX CAMはNX CADとセットで販売されていたが、NX CAM ExpressはNX CAMと同じ機能をベースに持ちながら、単体でも販売するようにした。同社のCADソフトウエア「Solid Edge」との相性がよく、Solid Edgeとバンドルしたパッケージもある。ParasolidやIGES、STEPなどの中間ファイルに対応し、Solid Edgeをインターフェースとして利用することで、SolidWorks、CATIA V4およびV5、Pro/ENGINEERなどからも直接データを読み込める。
また、同社の製品データ管理(PDM)システム「Teamcenter Express」のManufacturing機能と連携し、CAMの定義付けのために使ったモデルやNCデータ、加工に使った工具データなどの情報を管理できる。このため、これまで職人が行っていたような特殊な加工のノウハウを自動的に蓄積し、それを再利用することが可能となり、未経験者でも職人と同じような加工を行えるようになる。
NX CAM Expressは、未経験者に優しいCAMとなっている。熟練者がある程度の基本設定を行えば、ウィザードを使って未経験者でも簡単にツールパスを作成できる。ユーザーはまず画面上に絵で表示されている金型加工(Die Mold)、旋盤加工(Turning)、2.5軸加工(Machinery)など5種類の加工環境から1つを選ぶ。そうすると、ウィザードが立ち上がり、手順に従ってクリアランスやツール番号など各種設定を行えばよい。各種設定は、ウィザードを使わなくても行える。
また、新製品は切削点制御が可能である。切削点を認識することで、部品の形状によって工具軸を傾けて加工する。工具シャンクホルダーのワークなどへの衝突を避けた加工が可能で、周速がほとんどゼロとなるボールエンドミル先端の中心部でワークをひっかくようなことを避けられるようになった。これは、ソフトウエアだけでなく、加工機とコントローラがこのような加工に対応することが必要となる。ファナックや安川シーメンス、ハイデンハインのコントローラがすでに対応済みである。
このほか、工作機械メーカーから機械の情報提供が得られれば、工作機械のすべての部品の動きをシミュレーションできるようにした。また、コントローラによって機械の動きが異なるため、Sinumerik 840DやHeidenhain TNC、Fanuc 30iシリーズのコントローラの情報をもとに、シミュレーションを行えるようにしている。
Siemens PLM Software 社のウェブサイトでは、224 タイプのポストプロセッサを無償でダウンロードできる。
Mastercam
Mastercam X2 MR2では、トロコイドによる溝加工専用のツールパス、トロコイドスロットツールパスを強化した
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