太陽電池を進化させる
パワー・ポリマー

[2007年12月号]

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成形による方法

スイスの Société d’Energie Solaire 社の新規プロセスは一連の太陽電池と接続ボックスとの電気接続を改善する。回路の下地は、Tedlarポリフッ化ビニル製フィルムをポリエステルフィルムに積層したものである

 Bayer社は、透明な熱可塑性ポリウレタン樹脂製のフロント面を持った、太陽電池パネルの製造方法の特許を有している。スペクトラム透過率90〜92%、厚さ3〜4mmのガラス板を置き換えるものである。この構造に通常用いられる接着剤はエチレン酢酸ビニール(EVA)である。接着剤は150℃の真空積層プロセスで溶解し、はんだ付けされた太陽電池の間のすき間に流れ込み、熱重合する。

 気泡の発生を防止するため、真空が必要になる。パネルのバック面は、環境的および機械的保護のために、ポリフッ化ビニル−ポリエチレン・テレフタレートのフィルムで覆われることが多い。これらの材料は電池を保護し、20〜30年の経済寿命を実現しなければならない。モジュールの材料はパネルの総コストの30%を占め、パネル製造の速度を低下させる要因にもなっている。手作業による組み立てと真空積層プロセスでは、製造サイクルタイムが30分を要するような場合も多い。

 Bayer社の発明の主な目的は、製造時間を加速することである。最も重要な材料は透明ポリウレタン樹脂である。層厚1mmで、波長400nm〜1,150nmの範囲の透過率は85%以上をしめす。透明ポリウレタン樹脂は脂肪族ポリイソシアネートから製造される。この組成に銅を添加することにより、熱伝導率を向上させ、電池の変換効率も向上することができる。


柔軟な、樹脂封止した太陽電池が外洋用のカヤック上で試験された
提供:Bayer MaterialScience社

 Plextronics社の提案するような薄膜システムでは、電導性高分子材料を基板の上に印刷してから、透明ポリウレタン樹脂で完全に埋め込む。

 モジュールはRIM成形(反応射出成形)によって作られる。光に反応する面は、金型のキャビティに面する側になる。反応性のウレタン材料が高圧下でキャビティに射出され、太陽電池を封止する。

 Bayer社は、多くのさまざまなプロセスと材料のテクノロジーを研究した。他の方法では、機能性の材料をポリイミドフィルムの表面に析出させる。この構造では前面が、熱可塑性のウレタンとフッ素系ポリマーのフィルムからなり、ロール・ツー・ロール・プロセスでフィルムを貼り付ける。

 また、1人乗りの外洋用カヤックの上で試験を行ったシステムもある。電力供給用のシリコン太陽電池は、ドイツDietenheimのEtimex Primary Packaging社が製造した可塑性ポリウレタン樹脂フィルムで封止されている。太陽電池パネルは独SunWare Solartechnik社製である。製造のサイクルタイムは10〜20分まで短縮されたと、太陽電池モジュールの樹脂封止の専門家、Bayer MaterialScience社のGunther Stollwerck博士は言う。

 多くの会社が、いままでとは違った太陽電池の実現方法を追い求めている。例えば、米カリフォルニア州パロ・アルトのNanosolar社は、ベンチャーキャピタルから1億ドルの資金を調達し、新しいプロセスを開発しようとしている。セレン化銅インジウム・ガリウムのナノ粒子を充填したインクを用い、ロール状のフィルムの上に太陽電池を印刷しようというプロセスである。Plextronics社と同様にインクの組成は秘密である。Luz IIという会社は、太陽熱を収集する放物面鏡技術を用いた商用発電所を数カ所建設している。合成油を流した管に太陽光を集光させる技術である。

 太陽光技術には、確からしいことがいくつかある。異なる問題を解くためにいくつかの技術的解法が用いられることになる。技術に対する支援もさまざまである。例えば、バルト海沿岸では太陽光にさほど恵まれないというのに、ドイツはかなりの勢いで開発を促進している。太陽電池のコストは改善されるだろう。しかし、炭化水素燃料と比べて、太陽光にどれだけの競争力があるのだろうか。1970年代からの進歩を振り返ってみると、いまもって信じられないほどの僅かな進歩しかしていないのだ。

太陽光発電の歴史
 最初の実用的な太陽電池は、米国ニュージャージー州のBell Labs(ベル研)で1956年に発明された。それから1年も経たないうちに、太陽光で動くラジオが、開発製品として製造された。「このような素早い開発が、いまはできていない」と、米コロラド州ゴールデンの国立再生可能エネルギー研究所(The National Renewable Energy Laboratory:NREL)の太陽光発電国立センター(The National Center for Photovoltaics)の所長、Lawrence Kazmerski氏は言う。「製品化までの時間は長すぎる。現在は8年間もかかっている。急がなければいけない」

太陽光発電の歴史において、他の画期的な出来事には次のようなものがある。
1878年:パリの万国博覧会で、フランスの数学教師が太陽光で動く蒸気機関を展示した。イギリスの石炭への依存を減らそうという試みであった。しかし石炭の値段の低下によって、彼の仕事は未完に終わった。このテーマは、太陽光エネルギーでは常に繰り返されている。
1960年:Hoffman Electronics社は効率14%の太陽電池を作り出した。
1983年:世界中の太陽光発電量が21.3 MWを突破した。
2004年:電気化学光電池が開発された。
2006年:California Solar Initiative計画が開始され、太陽光エネルギーの開発に28億ドルが投入されることになった。



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