SCF REPORT

CC-Link IE構想で産業用イーサネットに名乗り

[2008年01月号]

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 国際的に産業用制御・オートメーション領域でイーサネット規格の勢力が強まる中、CC-Link協会(CLPA、会長:関口隆横浜国立大学名誉教授、幹事会社:IDEC、ウッドヘッド、デジタル、NEC、三菱電機)はSCF2007展を、FAネットワークをイーサネットベースで垂直統合する「CC-Link IE」構想発表のキックオフイベントとして活用した。同構想の第一弾は、高速1Gbps通信速度と、各機器内に最大256Kbyteの大容量ネットワーク型共有メモリを備えるコントローラネットワークの仕様公開だ。

ネットワーク型共有メモリ通信

「CC-Link IE構想発表記念セミナー」で講演する楠和浩部会長

 CLPAはSCF展の会期中に開催した「CC-Link IE構想発表記念セミナー」で、国内外からユーザーを含む約130人を集めた。CLPAテクニカル部会の楠和浩部会長(三菱電機)による「統合ネットワークCC-Link IEコンセプトとコントローラネットワーク仕様」の基調講演に続き、海外ユーザーゲスト講演として台湾奇美電子社が台湾の第6世代FPD製造業におけるPLCプログラムおよびネットワーク構成の課題を、また韓国LG CNS社が液晶製造分野でのネットワークシステムの課題を報告。機器ベンダからデジタルと三菱電機が登壇して、CC-Link IEへの期待を述べるなど、総じて日本とアジアに普及地盤を持つネットワーク規格を印象付ける構成だった。

 半導体製造分野における集積高密度化や、FPD製造におけるマザーガラスの大型化の進行にともない、これらの製造設備では膨大化する製造レシピ(指示データ)の転送や増加するトレーサビリティデータに対応できるコントローラネットワークへの要求が強まっている。自動車製造における塗装ラインでも、大量の製造情報の高速収集、各車種に対する大量の位置決めデータの高速送信などの要求とともに、信頼性、耐環境性、柔軟性のあるネットワークへの要求が増している。

 これらの業界ニーズに応えるコントローラネットワークの基本通信機能として、CC-Link IEはネットワークに接続する装置間でリアルタイムに大容量の制御情報を共有し、各機器が連携しながら分散して制御することを実現するネットワーク型共有メモリ通信(サイクリック通信)と、メッセージ通信(トランジェント通信)を同時に実行できる機能を備えた。

 すなわち、CC-Linkで採用している制御データのサイクリック通信方式を継承し、最大256Kbyteの共有メモリをサイクリック通信でリアルタイムに更新する。またメッセージ通信によるトランジェント通信(非リアルタイム通信)が発生しても、サイクリック通信速度には影響しない方式のため、安定した制御が確保できる。

 また超高速へのニーズに対応して通信速度1Gbps、データリンク制御は物理層でIEEE802.3z(1000BASE-SX)のイーサネット標準規格に準拠し、ネットワークトポロジーはループを基本とする。データ転送制御方式には伝送路上でフレームの衝突が発生しないトークン方式を採用して通信のスループットを向上。また標準でデータ転送を二重化している。

 通信媒体にはマルチモード光ファイバ(GI)を、コネクタにはIEC61754-20 LCコネクタ(duplex)標準品を使う。1ネットワークあたり最大120台の機器が接続可能で、複数ネットワークシステムでは最大239のネットワークの接続が可能だ。マルチモード光ファイバ使用時の局間距離は最大550m、総延長は6万6,000mまで。

 統合ネットワーク「CC-Link IE」は、ネットワーク階層・境界をまたがってメッセージ通信が可能なシームレス通信を可能にすることで、情報の垂直統合を実現する。これによりユーザーは、ネットワークの階層を意識せずにCC-Link IEコントローラネットワーク、同フィールドネットワーク、同モーションネットワークおよびCC-Linkの全ての機器があたかもフラットな階層に接続されているかのようにプログラミングできる。また制御用途への適用に止まらず、機器管理(設定・モニター)、機器保全(監視・故障検出)、データ収集(動作状態)機能によるシステム全体の最適化を目的としている。

現行CC-Linkと絡む将来構想

CC-Link IEコントローラネットワークを構成する三菱電機製シーケンサーとインターフェースユニット

 CLPAの楠部会長によれば、IE対応の製品化は、まず三菱電機が開発した技術を12月から公開し、それに基づいて開発キット、ボードが開発供給され、それを用いてCC-Linkパートナーがモジュール、ゲートウェイ基板を作ってCC-Link IE対応機器メーカー向けに供給していく。

 CC-Link IE構想は基幹系ITネットワークからフィールドネットワークまでオープンなイーサネットベースで垂直統合することを骨子としている。このため将来、モーター制御などフィールドレベルでのモーションネットワークおよびフィールドネットワークでもCC-Link IE仕様を定めて公開するIEファミリ拡張計画を持っている。ただし、この公開時期に関しては現時点では未定だ。楠部会長は「(現行の)CC-Linkを止めるというわけにはいかない。CC-LinkもCC-Link IEも両方サポートして並存していくことになる。技術仕様が問題なのではなく、現行のシステムとどうシステムとしてまとめるか、移行のためのツールをどうするか、など仕様を公開する以前に取り組むべき課題は多い」と語る。

 また「CC-Linkからイーサネットベースに移行すること自体は簡単だが、顧客はネットワークの仕様がどうかではなく、自社が作りたい製品に対してその選択が良いのかどうかが関心の中心だ。だからまず顧客毎のヒアリングが必要になる」と楠部会長。CC-Linkは07年9月末現在でパートナー会員数が939社(国内403社、海外536社)、その接続対応製品は累計878機種、接続対応製品出荷ノード数は477万ノードに達している。08年3月末までには会員数1,000社、915製品、528万ノードの目標を達成する見込みだ。このため楠部会長は「CC-Linkの資産の継承に軸がある」と強調する。

 コントローラネットワーク規格で先行するProfinetやEtherNet/IPに対抗してCC-Link IEをどうプロモートするかが課題だが、「日本文化ともいえるPLC通信に特徴的な大容量共有メモリ通信をサポートしており、1回使ってみると使いやすいという評価をいただくようだ」(楠部会長)。

 展示会場のCLPAブースでは「CC-Link IEデビュー」を大きく掲げ、三菱電機製シーケンサーQシリーズのユニバーサルモデルQO6UDHCPUとCC-Link IEインターフェースユニットQJ71GP21-SXの組み合わせでCC-Link IEのコントローラネットワークを構成した。

 またCC-Link IEと、フィールドネットワークCC-Linkおよび省配線ネットワークCC-Link/LTを接続し、製造現場で使用する入力・表示器の画面上で、強化されたRAS(信頼性・可用性・保守性)機能によるネットワーク接続状態の「見える化」を実演。賛同社にはデジタルがプログラマブル表示器Pro-faceで接続したほか、安川電機、不二越がアームロボット制御で「開発検討中」とパネルで表示していた。



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