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離陸前に燃費を改善
[2008年01月号]新しいWheelTugシステムは、高トルクの交流誘導モーターを駆動源として、
エンジンを停止したまま、航空機の地上走行を実現する
Delta Airlines社はWheelTugシステムを地域路線用のBoeing社の航空機に導入する計画だ
提供:Delta Airlines
Chorus Motors社製のMeshcon交流誘導モーターが、WheelTugシステムの要である。この特許取得済みのモーターは多相で設計されていて、速度・トルク特性を電気的にその場で調整することができる。駆動部からモーターに送る高調波成分を変えることでこれを実現している
ジブラルタルChorus Motors社(http://rbi.ims.ca/5410-558)製の特許取得済みの交流誘導モーターを用いた、このWheelTugシステム(http://rbi.ims.ca/5410-559)は、航空機の補助電源装置(Auxiliary Power Unit:APU)から電源を取り、前車輪を直接駆動する。このシステムは、地域用航空機およびそれよりも大型の航空機を、最大速度32km/時(20mph)で地上を移動させるために設計されている。航空機のタービンエンジンを稼働させることもなく、空港の牽引車につなぐ必要もない。
これにより大幅な節約が可能となる。この可能性に魅了された米Delta Airlines社は当初Boeing737型機のためにこの技術に投資した。「所有機がそれほど多くない場合でも、年間数千万ドルの削減は可能だろう」と、Delta社の技術、品質およびトレーニング担当ディレクターWalt Klein氏は言う。Chorus Motors社の子会社であるWheelTug社のCEO、Isaiah Cox氏によると、WheelTug社の予測では、地域路線で使われる737型機1台で毎月6万ドルの削減が可能だという。
これらの節約はさまざまな理由によるものである。大きな理由のひとつは、タービンエンジンの推力で航空機を滑走路まで運ぶ必要がなくなったため、燃料を節約できるという直接的なものである。さらに、間接的な節約もある。地上走行の時間を考慮に入れて、航空会社は、飛行自体に必要な量より多くの燃料を航空機に搭載しなければならないことがよくある。この余分な燃料がすべて地上で燃焼されなくても、その重量が燃費を間接的に悪化させる要因になる。
さらに、地上で航空機を移動させている牽引車のコストも考慮しなければいけない。とくに狭いゲートでは、安全のために牽引車が必要となる。「牽引車は資本コストを必要とする」とCox氏は言う。また、航空会社は牽引車により、保守と労務コストを負担することになる。
WheelTugシステム据え付け後のコストと保守費用は、節約効果を若干低下させるかもしれないが、それは大幅なものではないだろう。システムはまだ開発中であり、経済的効果を完全に定量化するには早すぎる。しかし、Delta社の787型機のエンジニアリング・マネジャーであるRobert Cooney氏は、「WheelTugシステムの導入と運用のコストは燃料コスト削減に比べたら微々たるものだろう」と言う。なお、787型機はWheelTugシステムの最初のターゲットである。生産型のWheelTugシステムの重量は、737型機用でおよそ90kg(200lb)と予想されている。この重量増の飛行中の燃費にあたえる影響は無視できるほどであり、地上走行中の燃料削減効果のほうが遙かに大きい。
Cox氏はさらに、同システムによる様々なメリットを列挙した。そのメリットは、温室効果ガス、ブレーキの摩耗、牽引車による航空機への損傷などが削減されるとともに、地上要員が近くで作業を始める前にエンジンが冷えるのを待つ必要が無くなり、作業時間が短縮されることなどである。
では、直接駆動がなぜいままで採用されなかったのだろうか。このアイデアは何年も前から存在していた。しかし、近年になるまで、重量のある航空機を動かし、かつ前輪の狭いスペースに納まるような走行モーターにはトルク密度が不足していた。「モーター技術の進歩によって、この概念が実現に近づいてきたのだ」とKlein氏は言う。このモーター技術の進歩は、航空機産業だけでなく、大きなトルクを必要とするが、電気駆動装置の実装スペースに限りがあるような車両用途に取り組むエンジニアにとっても、嬉しいニュースである。
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