MOTION CONTROL

離陸前に燃費を改善

[2008年01月号]

この記事を :  印刷する プリントする ブックマーク  はてなブックマークに登録 この記事をクリップ! Buzzurlにブックマーク Yahoo!ブックマークに登録 メールで送る メールで送る
<<12 PAGE 2/2   目次に戻る
モーターが 可能にすること

WheelTugシステムの中心は多相交流誘導モーターで、一体化した遊星ギアを通じて車輪を直接駆動する。全システムが、既存の前輪ハブの中にほぼ完全に収まる

WheelTug社の主張によると、同社の内蔵型牽引システムは環境面で大きなメリットを生むという。温室効果ガスの削減がそのひとつである。この推定値は世界中で使用しているボーイング757型機に基づいたものであり、空港の牽引車からの排出の除去分は含まれていない

 WheelTugシステムを実現させたのはChorus社製の特許取得済みMeshcon多相交流誘導モーターと駆動装置(http://rbi.ims.ca/5410-560)である。特許取得は2000年であったが、モーターが商業的に入手可能となったのはつい最近である。最初の一般用途向きの装置は1〜20HPの範囲のものであるが、他の大きさのものも開発中である。

 WheelTugシステムの生産の詳細はまだ決まっていない。しかし、もっとも可能性のある構造は、Chorus社のモーターアセンブリを2個使って、前輪の対向した2個のハブに挟まれた空間に収納するものである。各モーターの薄いステータが、航空機の前輪のストラット側に設置され、ローターと車輪接合部が車軸側に設置される。ローターには遊星歯車装置が一体化されていて、車輪接合部を介して車輪を駆動する(右の図を参照)。

 Cox氏は、WheelTugシステムに用いたモーターの寸法、馬力、トルク・速度曲線を明かしてはくれなかった。「このような項目はすべて流動的で、航空機の大きさ、あるいは地上走行速度などの希望動作条件によって変わってくる」とCox氏は言う。

 WheelTugシステムの初期のデモでは、車輪の外側にモーターを設置したベルト駆動の構造が採用されていた。Cox氏によると、このデモでは「スイカの大きさほどのMeshconモーター2台が、140トン(300,000lb)の航空機を移動させた」という。

 Cox氏の主張によると、内蔵型牽引システムにおけるMeshconモーターの主なメリットは、そのトルク密度にあるという。「電気回路の大きさにも左右されるが、Meshconモーターは、同じサイズの従来型の三相誘導モーターと比べ、5倍から10倍のトルクを有する」とCox氏は言う。

 Meshconは、Chorus社の特許取得済みのモーターとインバータの設計方法により、特に低い速度でこのようなトルクを得ることが可能となった。このモーターは環状結線を用いて、多相のインバータを誘導モーターの巻き線に接続している。この環状結線では、巻き線の終端が、インバータの出力と別の巻き線の終端の双方に接続されている。これにより同一システムの中で広範囲のV/f比を用いることができる。「V/f比を、駆動回路を使ってその場で変えることができる」とCox氏は言う。「基本的にはこれが、高速でも低速でも、インバータの能力を最大限に引き出すことができる理由である」

 このChorus社の技術のもう一つの要点は、自然発生する駆動波形の高調波成分の力を借りて、電気的にV/f比を切り替えていることである。従来型の三相誘導モーターでは、予期しない高調波が、基本波の作り出す回転電磁場の邪魔をする方向に働き、性能を下げていた。Meshconのような多相システムでは、注意深く設計することにより、高調波の磁場を基本波の磁場と同期して回転させることができる。基本波とともに適当な高調波をモーターに供給することによって、Chorus社の駆動装置は環状結線を本質的に“再配線”して、別のV/f比を実現する。高速でも低速でも、生成するトルクを着実に決めることができるのだ。「高調波はギア比と考えてよい」とCox氏は言う。


エンジニアリングの仕事は まだ残っている

WheelTugシステムはクラッチ機構も備えている。それにより、必要な場合には牽引することもでき、タービンエンジンの推力で動くことも可能

 Meshconモーターのトルク密度の高さを認めているのはChorus社だけではない。Delta社のエンジニアも同じように認識している。「このモーターが機体を推し動かすことはわかっているし、いまある空間にうまく収まることも確信している」とKlein氏は言う。

 とはいっても、Delta社の737NG型機の編隊にWheelTugシステムを導入するまでに、Delta社とWheelTug社には多くの仕事が残されている。Cooney氏によると、Delta社のエンジニアには、組み込みの仕事がまだ残っているという。仕事の一部は、WheelTugシステムを車輪と前輪ストラットに物理的に接続する方法にかかわる部分だ。Delta社のエンジニアは、さらにWheelTugシステムをシステムレベルで統合する必要がある。例えば、内蔵型牽引システムが、補助電源装置(APU)に過度の負担をかけないことを検証しなければいけない。そして、システムが着陸装置の機能に干渉しないことを確かめる。「振り子の末端にかなりの重量があり、それを収納部分まで引き上げられることを確認したい」とCooney氏は言う。

 牽引システムの導入先が737NG型機であるという事実も、Delta社の確認作業をいくらか複雑な物にしている。「この機体はあらゆる場所で使われる」とCooney氏は言う。そこで、Delta社のエンジニアは、性能評価をさまざまな表面状態や勾配、極端に上下する温度など広範囲の作動条件で行わなければならない。

 これらの仕事が行われると同時に、今後数年間かけてシステムが連邦航空局の認可手続きを受けることになる。Klein氏の予測によると、2009年までにはシステムが認可を取得してDelta社の737型機に改良部品として組み込まれるだろうという。「この組み込みは、これまで経験した中では難しい部類には入らない」とKlein氏は言う。しかし、最も費用効果の高いもののひとつとなるだろう。「財政的に見ると、だれにでも簡単にわかる」と同氏は言う。



<<12 PAGE 2/2   目次に戻る
この記事を :  印刷する プリントする ブックマーク  はてなブックマークに登録 この記事をクリップ! Buzzurlにブックマーク Yahoo!ブックマークに登録 メールで送る メールで送る

Sponsor Links

Partner Solutions

DNJ RESOURCE CENTER

PTCジャパン株式会社
【PTC/Mathcad】表計算ソフトを越えて計算の作成と文書化に適したソリューションへの移行

資料一覧を見る この資料をダウンロード