Bir氏とこの番組のエンジニアたちは、無線式の慣性計測装置(IMU)Inertia-Link(http://rbi.ims.ca/5410-547)を使用して、運動選手における角回転と加速度の両方を測定した。米MicroStrain社製のこのIMUは、3個の加速度計、3個のジャイロスコープ、6個のA-Dコンバータ、無線送受信機をすべて41×63×24mmの1つのパッケージの中に組み込んでいる。
IMUを用いたひとつ事例では、Bir氏はプロサッカーのJason Hernandez選手の足首にIMUを取り付けて、オーバーヘッドキック中の足の速度を測定した。MicroStrain社のエンジニアによると、この装置がHernandez選手のキック速度を測定する唯一の方法であるという。キックには加速度と回転の両方が含まれるからだ。
「ジャイロと加速度計の出力を混合して、並進と回転の違いがわかるようにした」と、MicroStrain社のセールス・マーケティング担当バイスプレジデントMike Robinson氏は言う。「我々のプロセッサが演算を行い、モジュールが並進加速度と角速度を出力する」
Fox Sports社のBir氏によると、このシステムの最大の利点は無線であることだという。
「過去の研究調査では、有線式の加速度計を用いていたため、ケーブルを引きずっていた」とBir氏は言う。「走行や跳躍などの運動学的なイベントを測定するとき、測定対象の人に配線をつないだままにしておくのは困難である」
“スポーツサイエンス”では、Bir氏は無線式のIMU以外にもV-LinkとG-Linkという名の無線式加速度計を用いて、相撲力士、バスケットボール選手、格闘技アルティメイトの選手、武術家、プロフットボール選手などの力を測定した。
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スポーツ
バイオメカニクス
[2008年01月号]
無線式の加速度計と ジャイロスコープ
モーションキャプチャーを用いて、研究者はスカイウォーカーの跳躍高さを測定した
提供:FSN/BASE Productions
ロードセルと衝突試験用ダミー人形
Motion Research社のPhantom HD高速度カメラによって、エンジニアは運動能力をスローモーションで研究できるようになった
提供:Motion Research
米Robert A. Denton社のModel 2881ロードセル(http://rbi.ims.ca/5410-549)は、ピエゾ抵抗式ひずみゲージを採用している。このひずみゲージは、荷重がかかると電気抵抗が変わり、そのため電流出力が変化するものである。電流出力の差は荷重の変化に比例するから、この装置で力を測定することができる。このロードセルは7.5×7.5×3.8cm(3×3×1.5インチ)の大きさで、Finch選手の直球の力を測定するときにはプレキシグラス(アクリル樹脂)板の裏側に設置され、武術家の達人が発生する900kgf(2,000lb-f)の荷重を測定するときにはコンクリードブロックの底面に設置された。
Fox Sportsはさらにこの技術を用いて、Finch選手の直球が生ずる力と、メジャーリーグの時速150km(95mph)の直球の力とを比較した。その結果、ベースボールの球はソフトボールより小さいが、発生する力は大きいことがわかった。
「速度は同じで、ソフトボールのほうが質量は大きいが、生成する荷重は小さい」とBir氏は言う。「材質が柔らかいため、力の一部分が分散される」
Bir氏はさらにこの技術を用いて、アルティメイトの選手Rampage Jackson氏によるボディスラム(抱え投げ)を測定した。Denton社製のHybrid-III型50パーセンタイルの衝撃試験用ダミー人形の“頭”の内部にロードセルを仕込み、Bir氏は頭部傷害基準(HIC)を計算した。結果は3000〜4000HIC(HICは無単位である)。すなわち、ボディスラムの頭部への外傷は、毎時56km(35mph)の自動車衝突時の衝撃の3〜4倍になるということである。
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