リード・ビジネス・インフォメーションはこのほど、マイクロソフト、日本AMDと電通国際情報サービスの後援を得て、東京で第1回HPC(High Productivity Computing)セミナー「設計者の解析利用を加速するPCクラスタの最前線〜パフォーマンスと生産性〜」を開催した。同セミナーから英Southampton(サザンプトン)大学エンジニアリング・サイエンス学部コンピュータ・エンジニアリング設計研究グループのSimon J. Cox教授の講演と質疑応答の概要を紹介する。
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HPCセミナーレポート<第1回>
Windows CCSの解析利用
[2008年03月号]
サザンプトン大学のSimon J. Cox教授
サザンプトン大学のHPC設備には大規模PCクラスタと分散コンピューティングのインフラがある。Cox教授は、このインフラを利用したいくつかの研究事例を挙げながら、HPCがエンジニアリング設計の中でどのように使えるのかについて紹介した。
空力シミュレーション
Cox教授は、BAE Systemsと英国レディングのマイクロソフトのテクノロジーセンターの指導のもと、空力シミュレーションの概念実証を行った。このプロジェクトは、Microsoft Compute Cluster Server 2003(Windows CCS)やWindows Workflow Foundation、SQL Server 2005、IronPython、Visual Studio 2005などを使って空力シミュレーションのプロセスを効率化するというものである。ハイプロダクティビティコンピューティングを実現するため、コンピューティング技術だけでなく、それを取り巻くほかの技術も利用していることがわかる。
Cox教授は、「計算を解くコンピュータを利用することに加えて、エンジニアリング設計の重要な側面は、必要なすべてのステップを連結することである。具体的には、CADモデル、そのモデルの離散化、つまりメッシュのはり付け、解析などの各ステップをつなげることである」と語り、エンジニアリング設計の構成要素には、基盤となるコンピュータインフラがあり、その上にCAD、シミュレーション、最適化のエリアがあり、加えて、すべてのステップを順番付けるためにワークフローが必要だと指摘した。また、構成要素の中には、ウェブインターフェースがあり、これによって設計者は設計に、IT担当者はITに専念できるようになると説明した。
Cox教授は、「計算を解くコンピュータを利用することに加えて、エンジニアリング設計の重要な側面は、必要なすべてのステップを連結することである。具体的には、CADモデル、そのモデルの離散化、つまりメッシュのはり付け、解析などの各ステップをつなげることである」と語り、エンジニアリング設計の構成要素には、基盤となるコンピュータインフラがあり、その上にCAD、シミュレーション、最適化のエリアがあり、加えて、すべてのステップを順番付けるためにワークフローが必要だと指摘した。また、構成要素の中には、ウェブインターフェースがあり、これによって設計者は設計に、IT担当者はITに専念できるようになると説明した。
地球システムのシミュレーション
エンジニアリング設計を地球システム科学に利用した研究事例もある。この研究は、氷河や大気、森林、陸水、海、生物などを組み合わせて地球システム全体をシミュレーションし、地球を理解し、人間の活動によりどのように世界が変わるのかを理解するというもの。
このシミュレーションを実現したエンドツーエンドのプロセスについてCox教授は、以下のように語る。「このプロセスの中には、このエンジニアリング設計型の計算をサポートするために必要になるすべての物がある。プロセス上には、グリッドインフラのプラットフォームと、異機種環境のリソースがある。ここではLinuxを使っているが、Windowsを使用していても、Linuxを使用している場合でも、これらすべての異機種環境をつなげることができる。我々は、Linuxを使用した従来の大規模なコンピュータ設備と、複数のデスクトップPCで構成するCondor Poolを使用している。これに加えてマイクロソフトのCCS、つまりHPCサーバにより、我々は初めてWindowsを使って大規模演算を実行できるようになった」
このプロセスの最適化では、ワークフロー環境を使用し、複数の演算を調整している。また、.NET 3.0の技術である新しいコミュニケーション基盤技術「Windows Communication Foundation」を使い、このワークフローとウェブブラウザをつないでいる。ワークフローをこのウェブブラウザ内で表示するために、グラフィックサブシステム「Windows Presentation Foundation」を使用している。このシステムは現在、「Silverlight」と呼ばれている。Cox教授は、「この環境においてウェブブラウザを介して我々の科学者やエンジニアは、計算を設定、実行し、彼らが行った計算を分析することもできる」と語る。
機械工学エンジニアが2、3日これらのマイクロソフトのツールを使った場合、次のことが可能になるという。「ウェブインターフェース内のシンプルなタブによって、実験結果を見ることができ、このタブの中で設定した計算を実行することもできる」(Cox教授)。この計算の設定方法は以下のようになる。
Visual Studio内でWindows Workflow Foundationを使って各アプリケーションの設定および順序付けを行う。Windows Workflow FoundationはVisual Studioのプラグインである。これらの機能を使い、ウェブサービスやアプリケーションなどの順序づけを行う。「エンジニアリングの場合では、CADやシミュレーションなどの順序付けとなる」(Cox教授)。
このシミュレーションを実現したエンドツーエンドのプロセスについてCox教授は、以下のように語る。「このプロセスの中には、このエンジニアリング設計型の計算をサポートするために必要になるすべての物がある。プロセス上には、グリッドインフラのプラットフォームと、異機種環境のリソースがある。ここではLinuxを使っているが、Windowsを使用していても、Linuxを使用している場合でも、これらすべての異機種環境をつなげることができる。我々は、Linuxを使用した従来の大規模なコンピュータ設備と、複数のデスクトップPCで構成するCondor Poolを使用している。これに加えてマイクロソフトのCCS、つまりHPCサーバにより、我々は初めてWindowsを使って大規模演算を実行できるようになった」
このプロセスの最適化では、ワークフロー環境を使用し、複数の演算を調整している。また、.NET 3.0の技術である新しいコミュニケーション基盤技術「Windows Communication Foundation」を使い、このワークフローとウェブブラウザをつないでいる。ワークフローをこのウェブブラウザ内で表示するために、グラフィックサブシステム「Windows Presentation Foundation」を使用している。このシステムは現在、「Silverlight」と呼ばれている。Cox教授は、「この環境においてウェブブラウザを介して我々の科学者やエンジニアは、計算を設定、実行し、彼らが行った計算を分析することもできる」と語る。
機械工学エンジニアが2、3日これらのマイクロソフトのツールを使った場合、次のことが可能になるという。「ウェブインターフェース内のシンプルなタブによって、実験結果を見ることができ、このタブの中で設定した計算を実行することもできる」(Cox教授)。この計算の設定方法は以下のようになる。
Visual Studio内でWindows Workflow Foundationを使って各アプリケーションの設定および順序付けを行う。Windows Workflow FoundationはVisual Studioのプラグインである。これらの機能を使い、ウェブサービスやアプリケーションなどの順序づけを行う。「エンジニアリングの場合では、CADやシミュレーションなどの順序付けとなる」(Cox教授)。
異種データ環境
Cox教授は、ハイプロダクティビティエンジニアリング用システムの一部として組み合わせて使っているいくつかの技術を紹介した。「コンピュータ環境が異機種環境であるように、データ環境も異種環境であり、データインフラストラクチャにオラクルを使用している。エンジニアリング設計は異機種環境で行われているが、その環境は調整することができる。我々のワークフローランタイムでは、Windows Workflow Foundationを使って計算を調整している。SQLサーバを使い、計算の中のすべてのステップの調整を行っている。また、Silverlightを使って、計算のワークフローをウェブブラウザに表示する。.NET 3.0技術により、IE(インターネットエクスプローラ)内の代替クライアント内でその計算を行うこともできる」
すべてのものを統合することで、ハイプロダクティビティコンピューティングのそのほかの重要な特長が見えてくるという。「計算のシナリオは重要だが、もう2つ重要なシナリオがある。1つめはワークフローのオーサリングシナリオである。複数のワークフローを作り、それらの活動をつないで、そのワークフローを公開し他の人が使えるようにすることができる。2つめは、管理のシナリオで、日用品化したソフトを使っているので、このソフトウエア環境の管理は、組織が使っている他のMicrosoftの技術に似たような方法で行える。ここで重要なのは、Windows Workflow Foundationは、Microsoft ExchangeやMicrosoft Outlook技術の一部だということ。また、Windows HPCサーバー(Windows CCS)の管理には、Microsoft Windowsと同じようなアクティブディレクトリやアカウント、バックエンドを使っているということである」(Cox教授)。
すべてのものを統合することで、ハイプロダクティビティコンピューティングのそのほかの重要な特長が見えてくるという。「計算のシナリオは重要だが、もう2つ重要なシナリオがある。1つめはワークフローのオーサリングシナリオである。複数のワークフローを作り、それらの活動をつないで、そのワークフローを公開し他の人が使えるようにすることができる。2つめは、管理のシナリオで、日用品化したソフトを使っているので、このソフトウエア環境の管理は、組織が使っている他のMicrosoftの技術に似たような方法で行える。ここで重要なのは、Windows Workflow Foundationは、Microsoft ExchangeやMicrosoft Outlook技術の一部だということ。また、Windows HPCサーバー(Windows CCS)の管理には、Microsoft Windowsと同じようなアクティブディレクトリやアカウント、バックエンドを使っているということである」(Cox教授)。
風洞実験のデータ解析
Cox教授らは、F1レーシングカーやアメリカズカップのヨットの風洞実験も行っている。風洞実験の時間はかなり高価であり、一般的なステップでは、風洞実験で大量のデータを生成し、実験後数週間かけてデータを分析、解析していく。この風洞実験でもこれまで説明したさまざまな技術を使って、データ解析を行っており、「そのようなスーパーコンピューティングを使った解析を風洞実験を行いながらできるようになった。そうすると、このような実験設備の利用方法が変わってくる。我々は人間であり、ミスをすることがあるが、このやり方だと実験を行いながら解析が行えるため、そのミスを見つけ、実験を変えることができ、より良い結果を得られるようになる」(Cox教授)という。
翼胴一体型旅客機
欧州委員会から資金援助を受けているVortex Cell 2050のプロジェクトでは、Cox教授は新しい空力特性用のプログラムを作っている。この将来の翼胴一体型旅客機を開発するためのプロジェクトは、胴体と一体型の特殊な主翼の解析がテーマである。「このプロジェクトにおいて、サザンプトン大学の大学院生はWindowsだけを使って、この新しいコードを書いている。ここで重要なのは、この新しいコードのプログラムは、以前Linuxで使っていたコードを移植したのではなく、Windows Platformで初めて書いたコードだということである」とCox教授。
サザンプトン大学の300、400のコア数のコンピュータパワーを持つ大規模クラスタを利用した、ロールス・ロイスとの共同プロジェクトも行っている。Cox教授は、「設計では工場を出るときの製品性能をベストな状態にするということがしばしば行われる。しかし、ロールス・ロイスなどが作っているタービンエンジンの寿命は30年以上あり、そのためエンジンのタービンブレードは、新品のときから30年間で変化していく。このプロジェクトでは、我々のクラスタを使って新品のときにベストなものということではなく、この30年間の寿命全体を通した性能の平均が良いブレードを設計しようとこころみている」と説明する。
サザンプトン大学の300、400のコア数のコンピュータパワーを持つ大規模クラスタを利用した、ロールス・ロイスとの共同プロジェクトも行っている。Cox教授は、「設計では工場を出るときの製品性能をベストな状態にするということがしばしば行われる。しかし、ロールス・ロイスなどが作っているタービンエンジンの寿命は30年以上あり、そのためエンジンのタービンブレードは、新品のときから30年間で変化していく。このプロジェクトでは、我々のクラスタを使って新品のときにベストなものということではなく、この30年間の寿命全体を通した性能の平均が良いブレードを設計しようとこころみている」と説明する。
流体力学系コンソーシアム
Cox教授によると、英国やEUでは、エンジニアリングまたは製造業におけるハイプロダクティビティエンジニアリングの課題を真剣に受け止めており、コンソーシアムが結成されたという。このコンソーシアムは、エアバス、ロールス・ロイス、BAEシステムズ、ウイリアムズF1、マイクロソフト、サザンプトン大学のMIHPCなど16社が構成している。「このコンソーシアムにより、ここ5年から10年の期間でエンジニアリング設計の技術やそのプラットフォームにより、どのように製品の市場投入期間を短縮することができるかを考えていく」とCox教授は言う。
大規模なハイパフォーマンスコンピューティングとマイクロソフトのフライトシミュレータを組み合わせたプロジェクトも行っている。Cox教授は、「英国、米国、日本もそうだが、エンジニアのリクルートは大きな問題になっている。経済が必要とするエンジニアが不足してしまうという事態が起きているからだ。
大規模なハイパフォーマンスコンピューティングとマイクロソフトのフライトシミュレータを組み合わせたプロジェクトも行っている。Cox教授は、「英国、米国、日本もそうだが、エンジニアのリクルートは大きな問題になっている。経済が必要とするエンジニアが不足してしまうという事態が起きているからだ。
シミュレーションによる エンジニアリング教育
この活動は、マイクロソフトリサーチセンターがスポンサーとなっており、エンジニアリングの世界を17歳の子供に見せるためのコースを提供している。このコースは、パソコンのコンポーネントから始まる。コースの1日目でスーパーコンピュータを組み立てていく。2日目に航空機の飛行の物理学を学ぶ。そして、彼らが組み立てたコンピュータを使って、航空機の設計をしていく。最終日には、自分が設計した航空機をフライトシミュレータの中で飛ばす」と語り、「今日、我々はここに集まってエンジニアリング設計のことを考えているが、将来のことも考えていく必要がある。それとともに、エンジニアリング設計について新しい世代をどのように刺激していくのかについても考える必要がある」と締めくくった。
主要な質疑応答
Q.地球環境システムの計算規模は。
A.この計算では、おおよそ2,000から3,000のシミュレーションを行い、その個々のシミュレーションは2〜4時間かかるものである。およそ100ギガバイトのデータを生成している。100ギガバイトというのは我々が最終的に持っておくデータ量だが、計算中にはテラバイトオーダーのデータが生成される。エンジニアリングの点からみると、数百万メッシュのものと同等である。
Q.ハイプロダクティビティコンピューティングのハイプロダクティビティという言葉には、時間短縮以外の意味はあるのか。
A.ハイプロダクティビティと言った場合、エンドトゥエンドのプロセスで、そこに関わるすべての人が対象になる。タイムトゥマーケットだけを考えるのではなくて、組織の中の人々の専門化ということも考えられる。エンジニアや設計者がコンピュータを走らせるために時間を使うのは良い時間の使い方ではない。
(大村 泰憲)
A.この計算では、おおよそ2,000から3,000のシミュレーションを行い、その個々のシミュレーションは2〜4時間かかるものである。およそ100ギガバイトのデータを生成している。100ギガバイトというのは我々が最終的に持っておくデータ量だが、計算中にはテラバイトオーダーのデータが生成される。エンジニアリングの点からみると、数百万メッシュのものと同等である。
Q.ハイプロダクティビティコンピューティングのハイプロダクティビティという言葉には、時間短縮以外の意味はあるのか。
A.ハイプロダクティビティと言った場合、エンドトゥエンドのプロセスで、そこに関わるすべての人が対象になる。タイムトゥマーケットだけを考えるのではなくて、組織の中の人々の専門化ということも考えられる。エンジニアや設計者がコンピュータを走らせるために時間を使うのは良い時間の使い方ではない。
(大村 泰憲)
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