農場経営者の間でも、自動トラクターの採用に対する疑問の声は多い。なぜ自動案内システムをトラクターに載せる必要があるのだろうか。直進することなど、なんの助けもなしに完璧に出来るというのに。
農機メーカーは当然答えを用意している。同じ仕事を毎日毎日、どのような気候条件でも、農地の条件がどうであっても続けていると、どんなに運転がうまい作業者でも疲労が蓄積してくる。「しかし人工衛星の助けを借りて直進すれば、夜中であっても、粉塵の舞う状況であっても、農作物の列に対して同じ作業が重複してしまう場合にも問題にはならない。より短い時間でより多くの作業をこなすことができる」
事実、農業の専門家によると、この“オーバーラップ”(作業の重複)が大きな問題としてあげられている。調査によると、トラクターを運転して農作物のある列から次の列に移動する場合、列の幅の端を平均10%程度をオーバーラップさせているという。すなわち、肥料や農薬を10%多く使い、10%余計な作業をしているということになる。
「肥料などの散布や種まき作業では、かなりのオーバーラップが必要だ。なぜならば、農地全体にすき間なく作業が行き渡ることの方が重要だからだ」とBoehlje氏は語る。
このため農機メーカーは、1990年代に、GPS技術が民生品向けに公開された直後からGPSを利用する技術開発を始めていた。GPSユニットを、ダッシュボードに設置されたディスプレイと操舵装置に接続して、満足な結果を得ている。New Holland社はTrimble社と組んで「Intellisteer」(http://rbi.ims.ca/5698-534)という装置を開発し、一方Deere社は「GreenStar Auto Trac」(http://rbi.ims.ca/5698-535)を発売した。
GPSの効果は明らかで、農作業者はあらかじめ定められた列を正確にたどることができ、その精度は2.5cm(1インチ)以下に達することもある。いくつかの農機メーカーは、作物の列をディスプレイに表示し、運転手は手動でそれに合わせて操縦するという手法を採用し、他のメーカーは、GPSを操舵装置に組み込み自動的に正しい進路を保つようにした。
しかしDeere社から今春発売予定のiTEC Proはさらに進化している。250 Kビット/秒で動作するCAN(Controller Area Network)バスで接続した一連のコントローラを使用する。運転手がトラクターを運転するとき、ネットワークによってコントローラが相互に“会話”を交わすことができる。それによって、トラクターが実際にいる場所と、行くべき場所に関する情報を共有することができる。同時にiTECのディスプレイコントローラは、トラクターの電子制御ユニット(TECU)と通信し、TECUはさらに車両の連結装置、駆動装置、操舵装置、およびSCV(選択制御弁)に信号を送る。このようにして、トラクターは自ら対地速度と操舵を制御し、植込機や散布機のような様々な農機の昇降を行う。
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農場経営の “キラー・アプリ”
[2008年03月号]GPSの効果は明らかで、農作業者はあらかじめ定められた列を正確にたどることができ、その精度は1インチ以下に達することもある。
オーバーラップを解決する
電子回路アーキテクチャ: ディスプレイコントローラがシステムの中心頭脳であり、トラクターのコントローラと通信を行い、コントローラはさらに車両の駆動装置、操舵装置、および他のシステムに命令を送る
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