Cover Story

農場経営の “キラー・アプリ”

[2008年03月号]

「人工衛星の助けを借りて直進すれば、夜中であっても、粉塵の舞う状況であっても、農作物の列に対して作業が重複する場合にも問題にはならない。 より短い時間でより多くの作業をこなすことができる」


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iTEC Proのおかげで、トラクターはヘッドランドで電球を描くようなUターンを実行できる。車が駐車場で転回しているようなものだ
提供: John Deere社

 トラクターの意志決定プロセスはJohn Deere社のGPS受信機「StarFire」(http://rbi.ims.ca/5698-536)から始まる。この受信機は運転室の屋根に設置されている。Deere社の子会社であるPhoenix International社(米国ノースダコタ州Fargo市)が製造したこのGPS受信機は、これもDeere社の子会社であるNavCom Technology社が保持している衛星ネットワークを用いている。GPS衛星と通信することによって、受信機はトラクターの現在位置を確定する。そして、受信機はディスプレイコントローラにメッセージを送る。ディスプレイコントローラがシステムの中心頭脳であり、ユーザーの農地の地図データが組み込まれている。地図とトラクターの実位置を比較して、ディスプレイコントローラは進路補正が必要かどうかを判断する。

 「簡単な計算で、今いる場所と行くべき場所を比較する」とSenneff氏は説明する。「そして判断をする。『左に行き過ぎてはいないか、右に行き過ぎてはいないか』というように」

 どちらかの方向に行き過ぎている場合には、ディスプレイコントローラはTECUに信号を送り、TECUが操舵装置、連結装置、SCV、および駆動装置に信号を伝える。実際には、電気油圧システムを作動させ、トラクターの車輪の方向を左か右に変えて、データループをクローズする。進路を修正するために、油圧式操舵弁に信号を送る。この弁が、前輪の両側に設置された油圧シリンダー(Deere社の油圧シリンダー事業部製)を加圧し、トラクターを希望する方向に向ける。

 iTEC Proの妙技が見られるのは、「ヘッドランド」(畑の終端)に到達したとき、巧妙なソフトウエアを用いて、連結された農機具を上昇させ、Uターンをする場面である。ヘッドランドとは作物の列の終端部の空きスペースである。ここでの転回は、運転者の技量に頼る領域であった。しかし、iTEC Proがそれを変える。地図データとGPSデータを用いて、iTEC Proは列の端部に到着する時間を計算する。そしてTECUと通信をして、駆動装置に車両速度を落とすように命じ、連結装置またはSCVに対して、牽引している農機具を持ち上げるよう命令する。ヘッドランドに到着した時、電球を描くようにUターンを実行する。自動車が駐車場で行うターンに似た形である。最後に、進行方向を再度決めて、農機具を下降させ、新しい列を進む。

 Deere社のエンジニアは、これらすべてを実現するために必要な演算パワーの詳細は明かしてくれないが、以前よりもかなり増えたことは認めている。

 「『GreenStar』のディスプレイコントローラの演算パワーは、一般的なデスクトップPCと同等だ」とSenneff氏は言う。「この種のシステムの運用のためには、集中的な計算を大量に行うことが必要だ」




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