SERVO SYSTEMS

小型化、高速、高精度制御を求めて

サーボシステムの 需要拡大続く

[2008年04月号]

機械に組み込まれて駆動制御の心臓部を構成するACサーボ・ドライブの需要が拡大している。アジア、特に中国での機械装置開発が需要を押し上げ、用途が多様化するなか、機械設計者の要求は、一段の小型化、高速、高精度制御に加え、制振制御、オートチューニング、ネットワーク対応などにおよぶ。特殊アクチュエータとしてリニアモーターにも注目。国内9社に市場動向と開発への取組みを取材した。
(甲斐真一郎)


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提供:(社)日本電機工業会


 ACサーボモーター・ドライブの国内の市場規模を見るときに指標となるのが、社団法人日本電機工業会(JEMA)のFAサーボ統計だ。サーボ業務専門委員会を構成するオムロン、山洋電気、日立産機システム、富士電機機器制御、松下電器産業モータ社、三木プーリ、三菱電機、明電舎、安川電機の国内9社が投票集計した結果をまとめている。

 これによると、2006年度のAC サーボモーターの国内出荷台数は216万1千台、サーボモーターとサーボアンプ(ドライブ)を合計した出荷金額は1,593億円。図1からも明らかなように、01年度以降台数、金額ともに急激な伸びを示している。

 実はこの統計にはサーボモーター・ドライブをNCユニットとシリアル通信で一体化して出荷するロボット、CNC工作機械のFanuc、オークマなどの出荷分を含んでいない。いずれもサーボモーターを工作機械内に大量に使用しているが、組み込んだサーボモーターの台数は公表していない。

国内は1千億円市場

安川電機
沢俊裕取締役事業部長

三菱電機
玉井武志グループマネージャー

松下電器産業モータ社
久本安英チームリーダー

 「ACサーボ市場としては、回転型が一部ダイレクトドライブ(DD)モーター、リニアモーターに置き換わりつつあるなかで、金額面で全体を正しく掌握しにくい状況があるが、恐らく1千億円規模はあるだろう」と予想するのは安川電機取締役の沢俊裕モーションコントロール事業部長。三菱電機FA システム事業本部機器計画部サーボシステムグループの玉井武志グループマネージャーも「国内のサーボモーター・アンプの規模を見ると、1千億円を超えた市場と見ることができる。グローバルでは確かな統計の裏づけがないものの、国内のほぼ3 倍の3千億円程度と想定。出力別の国内市場では、1kW未満が金額では半分以上を占め、台数(軸数)では70%を超える。特に半導体や液晶の製造装置の需要が急激に膨らんだ2001年以降、金額の伸び以上に台数が伸びたから、平均単価は下がる傾向が続いた。IT バブル崩壊後、油圧系、メカ系からサーボ系への変更が急速に軸数を押し上げた」と語る。

 NC一体型、ロボット組み込みを含まないACサーボの世界の市場規模は、取材した企業によって3,500億円、5,000億円などと、予想値がばらけた。地域的にも「北米、日本、欧州が3,000億円のほぼ3分の1ずつ」という見方もあれば、「Siemens やRobert Bosch グループが強い欧州が最大市場で、次いで日本、次いでRockwellAutomation、Danaher が強い北米の順」という見方もある。

 ただし伸びている市場のナンバーワンはやはり中国。松下電器産業モータ社産業モータ事業部の久本安英事業企画チームリーダーは「市場の成長率では中国が高く、我々も中国に特化してビジネスを進めた結果、中国でのシェアは30%強で第1位になっている。ただ、現状ではまだ市場のマスが小さいので、そのままのシェアで市場拡大に追随していきたい」と語る。

 各社とも中国への視線は熱い。安川電機は、「市場規模では中国が続伸しており、安川の製品だけでも毎年3割近く伸びている。中国では上海郊外の工場で、サーボとアンプ両方を生産し、中国市場向けに出荷している」(沢事業部長)。またオムロン インダストリアルオートメーションビジネスカンパニー(IAB)モーションコントロール事業推進部事業企画グループの白居啓伸リーダも「グローバルでサーボ市場の伸びは年率5%程度で3〜5年は継続する。この成長率はPLCの伸び率の倍以上に相当する。特に中国は年率130%の伸びが続く注力市場」と力を込める。

半導体は苦戦、液晶は反転

 一方、07年度の成長は鈍化傾向を示し、特に後半は苦戦が伝えられる。三菱電機の玉井グループマネージャーは「主としてDRAMの値崩れと、米国のサブプライム問題に端を発する景気の停滞、それにともなうiPhone、iPodなどをはじめ民生電子機器需要の減速が半導体製造装置の需要にブレーキをかけた。データ集計は途中ながら、体感的には全体の市場規模では06年度のほうが07年度より大きかったという気がしている」と語る。

 半導体製造に関して松下電器産業モータ社の久本チームリーダーは、「半導体デバイスの需要がデジタル家電、デジタルオーディオなど増加基調にあることは間違いないが、半導体デバイスメーカーでは一昨年あたりに投資した企業が多い。いまは、現状の設備能力での増産がきく範囲にある、という状況だろう。また半導体製造装置メーカー側では、300mmウェーハへの対応というところが最近の変化点だったが、それ以降はコスト低減につながるような技術の変化点が見当たらない。技術的進歩では微細化の進展があるが、そのために必要な投資は一部のCPUメーカーに限られる。メモリなど数が出るような半導体をつくるメーカーが設備投資する意味づけが今は弱い」と市場を読む。

 他方、液晶関連の需要は反転した。安川電機の沢事業部長は「一昨年後半から悪かった液晶製造設備関連が、昨年10〜12月ごろから立ち上がってきており、これが今、追い風になりつつある。液晶パネル製造業界の大型再編は、設備の更新需要の動きとも連動している。現在では液晶製造のほうが、半導体よりもはるかにスケールの拡大のスピードが速く、第7 世代、第8世代、第10世代と世代交代のたびに設備への精度要求が一段と厳しくなる。新規投資の要件には、サーボの領域でもワークのスケール拡大にともない、従来回転型であったものがリニアモーターに転換したり、リニアのサイズ拡大や推力倍増などへの要求がある」と語る。

 日本半導体製造装置協会(SEAJ)の受注統計では、液晶製造装置のメーカーの受注額は完全に反転したことを示している。シャープの堺工場、IPSアルファテクノロジなどからの次世代機の発注が装置メーカー向けに出始めていると思われる。業界筋では、その装置設計の動きがサーボ需要に反映するのは4月以降になるだろうと期待して注目。また、海外では台湾や韓国で、日本と1世代遅れで37インチ、42インチの液晶テレビの歩留まり改善と生産量拡大に向けた投資が始まっている。




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