小型化、高速、高精度制御を求めて

サーボシステムの 需要拡大続く

[2008年04月号]

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拡大するリニア需要、DD需要


日立産機システム
鳫金憲一部長

横河電機
小野裕開発センター長

安川シーメンス
オートメーション・ドライブ
中武照義次長

 従来のモーション系で、メカとして組み合わせたテーブルの機構がそのままダイレクト・ドライブ(DD)に置き替わったり、ボールねじとサーボを組み合わせていたものが直接リニアに替わる動きが強まっている。性能的にはサーボ並み、あるいはサーボ以上の高速応答性が要求される。DD、リニアとも台数的にはまだ小さいが、市場は拡大基調。液晶のX-Y テーブルはほとんどリニア制御になったが、部品実装機でもテーブル送りの高速化への要求に対応するために、ボールねじからの置き替えが進んでいる。さらにグリースなどの汚れを排除する環境の面からもリニア使用が有利な側面がある。半導体製造関連でも、ロボット、搬送は回転型だが、位置決めテーブルの高精度駆動はリニアの市場だ。

 横河電機は、サーボ機構の中でも、アクチュエータに回転系DD モーターを用いた「ダイナサーブ」、直動系リニアモーターを用いた「リニアサーブ」、これらの原理を応用した平面ドライブの「X-Y ステージ」の事業に特化して商品展開している。

 同社のDD モーター開発は、80 年代にダイレクトドライブ・ロボットが学会や市場で話題になった時期に、ロボット開発に着手したところから始まる。このロボットは最終的には製品化に至らなかったが、そのなかでDD サーボモーターをコンポーネントとして製品化し、87 年に発売し90 年ごろからロボットメーカー向けに出荷し始めた。

 その後、市場を開拓し、半導体製造装置、液晶製造装置、またCD/DVD など光ディスク製造装置や印刷機、部品実装機、工作機械などをターゲットに、大口リピート顧客の受注に絞って展開してきた。同社のアドバンスト・ステージ事業部小野裕開発センター長は「広く浅く、ではなく、高精度を厳しく要求するアプリケーション市場を狙って製品展開してきた。とはいえ、ある顧客向けにはDD モーターだけで累計4 万台を出荷している」と語る。

 リニアモーターの出荷に関する統計がほとんどなく、また価格面でリニアの中にはAC サーボの10 倍、20 倍という高額なものも含まれるため、市場規模の見極めは難しいが、横河電機では、「金額面でDD サーボとリニアサーボの合計は、AC サーボ市場の15%程度の市場規模」を予想。とりわけX-Y ステージは顧客の組み込み要件が開発を主導する。このため「機械設計ごとの共同開発になることがほとんどで、標準規格化して展開できない」。とはいえ、同社では累計で数千台を出荷しているという。

 回転系の位置・速度制御では同じ土俵上にあるAC サーボとDD だが、その違いは、減速機の有無。AC サーボでは、例えば毎分3,000 回転を減速して使用する。これに対し、DDでは減速機がないから、約10分の1の毎分300回転で使用する。この場合、AC サーボと同じパワーを得るためには、DDではトルクを10 倍にする必要がある。これをAC サーボに用いるようなローレンツ力駆動型モーターで実現しようとすればモーターサイズが大きくなってしまう。また放熱対策も必要になる。これに対し横河電機のDD モーターは、「モーターの磁気回路としてはパルスモーターのような構造を採用することにより、特性としては比較的小型ながら、ローレンツ力駆動型モーターと同じパワーを入力した場合、約3 倍のトルクが出る。その一方、約10分の1のロスしかないから、熱が比較的出ない。これに自社開発した磁気エンコーダ、光学式エンコーダを内蔵してフルサーボをかけ、制御処理に優れ分解能の高いモーターを実現している」と小野センター長。

 DDモーター本体は、原理的にそれなりの大きさにならざるを得ない。他方、減速機がないために、モーター自体が機構部分になり、装置の機構としてはシンプルになる。DD モーターには高剛性ベアリングが組み込まれており、例えば、制御装置のステージ上にそのDDモーターを載せると、その上に直接そのまま顧客のワーク負荷を載せて、ミクロン精度が出せる。このため、その機構を含めて設計に組み込めば、DD の採用で装置自体がコンパクトに設計できる。

 「反面、AC サーボでは減速機によってパワー、回転数、推力を自由に調整でき、また、ボールねじやハーモニックドライブ減速機と組み合わせるなどの自由度が高い。その意味で、AC サーボと比べてDD サーボ、リニアサーボは汎用性では限界があるだろう。また、DD は減速機で調整ができないために、モーター本体の形状でパワーを決めることになる。この結果、原理は同一ながら、直径サイズのシリーズ化に加え、高さ方向の積み方でトルクを増減させるから、約80 種類という多品種を揃えることになった」(小野センター長)。

 リニアモーターでも長さの調整が顧客仕様となるため、標準仕様にならない。同社はリニアモーターに、アクチュエータ、センサ、ドライブをオールインワンで組込んでおり、組み付けから精度出しの初期調整では手間を簡略化できる。

 DD の市場も変移してきている。90 年代はロボット、その後、ハンドラ、スパッタリング、ダイサーなど半導体製造関連装置、CD/DVD 製造装置、液晶製造などに採用が進んだ。現在、新市場として太陽電池関係が動き出している。太陽電池の大型パネルを扱う製造機械メーカーは、液晶パネル製造、DVD 製造企業と重なっていることが同社のリニアモーターの新市場展開をやり易くしている。半導体市場は製造装置企業数も多く、引き続きDD、リニア、X-Y ステージの重要な市場の位置付けになる。

 顧客によっては、1 軸だけDD、その周辺軸は回転系のACサーボ、その上はリニアで構成する、といった組み合わせの需要がある。しかしこれら全製品を自社開発でラインアップ化しているのは安川電機、三菱電機などに限られる。

 リニアは成長市場だが、電機系に加え、リニアガイドなど精密加工を要する機構系との組み合わせが必要になる。このため松下電器産業モータ社の久本チームリーダーは「リニアでは一品一様の設計になり、設計者の数も必要になる。従って自社生産では対応していない。ただし市場としては部品実装機、一部の半導体プロセス装置などで需要がある。そういうニーズに対しては、リニアのモーターメーカーとのコラボレーションで対応している。リニア軸単体で成り立つ機械はほとんどなく、周辺には回転系のモーターがより多く使われるので、リニアのモーターを他社に依存しながら、それを駆動するアンプと周辺の回転系サーボは我々の製品でシステム化
している」と語る。



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