小型化、高速、高精度制御を求めて

サーボシステムの 需要拡大続く

[2008年04月号]

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電気が機械を補完する

富士電機機器制御
ALPHA5 シリーズ

 1999 年にFALDIC- α(アルファ)を出して汎用サーボシステムの本格展開を開始した富士電機機器制御は、これに次いで6 年前にFALDIC-β(ベータ)を出した。そしてこれを契機に電気が機械を補完する「進化する機械のための次世代サーボシステム」を打ち出し、業界に先行して制振制御機能を実現した。以後、海外中心に展開したFALDIC- W(ダブリュ)、さらに現在国内外で主力のALPHA5(アルファ・ファイブ)でも同じ設計思想を盛り込んでいる。その中には、制振制御機能や各種機械系アナライズ機能、パソコンローダのソフトウエアで機械とサーボの調整を可能にして簡単セットアップを実現する機能などが含まれる。

 「高速サーボ制御エンジンでの負荷慣性モーメント同定演算を高速化した。これに加え、パルス平滑機能、機械共振を検出し自動でノッチフィルタを設定するオートノッチフィルタと制振制御機能とを組み合わせることで、粗い指令パルスで低剛性のベルト駆動機構から細かい指令パルスで高剛性のボールねじ駆動機構まで、幅広くオートチューニングを適用できる。トルクや周波数応答性の高性能化によってメカには一段とストレスがかかる状況となっている。それら機械固有の問題をいかに容易に取り除くかという観点から、機械設計を楽にするための支援に技術力を発揮している。また様々な用途に使用される汎用サーボを狙うが故に、それら機能を標準スペックに織り込む必要があった」と北村マネージャは語る。

 ただし「商品自体で特殊品を生産しているわけではないが、顧客と作り込んでいく領域も依然大きい。国内では6割以上はスペックインの段階で顧客と打合せしてシステムを提案している。海外では同様なエンジニアリングを、パートナーであるシステムインテグレータが実施している」という。 

 同社によれば、ALPHA5 の投入以後、半導体製造装置関連での引き合いが増えてきた。「半導体の装置市場は停滞気味だが、その段階で次世代機のスペック検討が始まる。ALPHA5 の投入がこのタイミングに合ったことから好調な引き合いをいただいている。従来専用コントローラで制御していたアプリケーション領域にも、汎用のPLC 制御の機能対応が向上し、コストパフォーマンスに引かれて汎用モデルの需要が拡大している。また量産型機械のユーザーが、海外生産現場でのメンテナンス性とコストを理由に機械メーカーに対し汎用コンポーネントを求める傾向も強まっている」(北村マネージャ)。

 富士電機の汎用PLC とモーションコントロールSX バスを組み合わせると、かなりの専用システムに近い性能が実現できるという。他方、欧米メーカーに多く見られるインテグレーテッド・サーボにも注目。簡単な位置データをサーボ側に持たせ、外からの指令をI/O レベルで実行して制御する方式で、用途も拡大している。今後の同社の開発としては、汎用サーボのFALDICWの次期バージョン、さらにリニアのパートナー連携などを課題として挙げる。

ストロング・ニッチ

日立産機システム
EtherCAT 対応 AD シリーズ

横河電機
DYNASERV シリーズ

 日立のモートル事業は2010 年で創業100 年を迎える。現在、日立産機システムのソリューション事業とコンポーネンツ事業の比率は、1 対2 の構成。両者の連携、システム対応のコンポーネンツ開発などを事業テーマとするほか、サーボ、インバータ、PLC のモーション制御製品の強化を打ち出している。

 「AC サーボ強化では、装置機械の省エネ、高速化、精密制御への要求の高まりがあり、特に国内装置メーカーでは中国勢の追いあげに対する差別化要素として多軸制御を強化するメーカーが増え、サーボ化を進める動きがある」と語るのは日立産機システム制御システム営業部の鳫金憲一部長。「標準サーボとしては50W から7kW クラスまでを揃える。ただし、数社が強い製品・販売力をもつ国内市場で、単純な標準品の品揃えだけでは厳しい。そこでまずニッチ・ストロング的な市場開拓を狙っている」

 同社のニッチ市場へのアプローチの1 つは、アンプ部に簡易モーション(簡易PLC)機能を付けて、上位コントローラなしで、ポイント・ツー・ポイントのパターン位置決め制御運転を可能にした「プログラム運転内蔵アンプADAX」の提案。「機械本体ではなく、周辺の1 軸制御の用途は市場にまだ沢山ある。例えばADAX の割出運転機能により、旋盤で使う刃物台単体での試運転・調整が可能になる。刃物台は国内ではほとんどCNCによる一括制御になっているが、海外、特にアジアではまだ刃物台だけ作っているメーカーも多く、NC 制御を使わずに単独でシステム販売している製造業者向けに提案してい
CE 0132る」という。

 またシャフトモーターを開発した山形県のジイエムシーヒルストン社とタイアップし、日立産機システムが同モーター対応のAD シリーズ・リニアドライブを供給してシャフトモーター・ドライブシステムを提案している。市場としては、ウェーハ装置の前工程に使う超精密制御のX-Y テーブル、液晶の大型化に対応したテーブルなどにアプローチしている。

 さらに、半導体業界のSEMI 標準規格に電圧サグ(降下)に関するF47 規格があり、その規格に対応した業界初のAC サーボシステムを提供。半導体プロセス装置では、電圧サグによる装置の動作中断は許されない。そこでこのシステムは0.05 〜1 秒間の電圧サグライドスルー能力を有している。現在80W のモーター・アンプを供給しているが、今後200W、400W 級を計画している。

 またオープンネットワーク対応を強化。今後、モーション系ネットワークはオープン性が高いEtherCAT の導入が日本市場でも進むと見込んでいる。その他のコントローラ、デバイス、センサ・アクチュエータ各レベルでは、ODVA 陣営に組する方針だ。

 今後の計画では、アンプ製品開発でEtherCAT対応を進めていく。すでに、プロトタイプは完成したが、上位コントローラとサーボを、顧客と一緒にトータルで開発する必要から、まずは国内のカスタム対応で先行し、その後標準品を展開していく方針だ。

TIA を日本企業に提案

安川シーメンスオート
メーション・ドライブ
SINAMICS
S120 シリーズ

 ファクトリオートメーションのフルライン製品をシステムとして提供している安川シーメンスオートメーション・ドライブ(YSAD)は、1999年にSiemens A&Dが安川電機のシステム事業部と50:50の出資比率によるジョイントベンチャーとして立ち上がった。安川電機の鉄鋼と公共設備以外のシステム事業の顧客を、同社が引き継いだ。

 YSADがシステムソリューションを提供している顧客の事業は、日本市場における製紙・パルプ業界、ゴム・タイヤ、繊維機械、大型プレス、フィルム、プラスチック、包装などにおよぶ。唯一例外的に海外で事業展開しているのが中国沿岸部の港湾荷役システムで、コンテナクレーン制御を提供している。

 安川にもシーメンスにも豊富な製品群が揃っているが、HMIとPLCコントローラをシーメンスの日本法人から調達する以外は、インバータ、サーボドライブ、モーターをすべて自社内でシステム化している。プロダクトマネージメント部の中武照義次長によれば、安川、シーメンスどちらの製品をシステムに組み込むかは顧客の選択によることが多い。「当初、ドキュメンテーションの日本語化の不十分、あるいはシステムといえども日本では重視されるコンパクト化の要件がシーメンス製品になかったことなどもあって、シーメンス製品の採用がスムーズに行かなかったこともあった。しかし、この種の問題は徐々に解消してきている」という。

 システムに40 〜50軸以上の大型システムと、20軸程度の中型のソリューションシステムがあり、特に中型の新規市場向けには営業・技術一体でシーメンス・ソリューションTIA(TotallyIntegrated Automation)を提案の軸にして開拓を始めている。

 サーボのシステムでは棲み分けを行い、容量によって入力電圧200V級までは安川電機製、400V級ではシーメンス製を使っている。国内市場でサーボの引き合いは安川製が強い。他方、当初から海外稼動向けに開発設計される機械システムではシーメンス製サーボが採用される。保守予備品の供給体制も含めて海外市場ではシーメンスが標準であり、ネットワークとの整合性、親和性に優れるからだ。

 シーメンス製のドライブシステム製品Sinamics S120の特長は、インバータのベクトル制御モードとサーボ制御モードがオールインワン設計になっており、顧客側のパラメータの切り替えでサーボ利用、インバータ利用の両用が実現できる。1台のコントロールユニットで複数台のドライブ制御が可能で、Profibus-DPインターフェースを標準装備している。



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