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ウェランド運河の
油圧化プロジェクト
[2008年04月号]
50 馬力スリップリング・モーターが2 台のウィンチを駆動し、ケー
ブルが第3 水門のゲートを開閉する
写真: John Dodge
第6 水門の北東ゲートの油圧シリンダ。収縮位置(ゲート開)にある
写真: John Dodge
油圧転換プロジェクトは4年目に入り、第2水門と第3水門がこの冬に転換する予定だ。第2 水門と第3水門の作業は07年12月初旬に開始し、12月29日深夜零時に航路が閉鎖されると一気に加速した。転換の核となる作業は水門が排水されてから始まる。
油圧転換プロジェクトは、次の冬に第1水門と第3水門の転換を終えて完成する。第4、第5、第6水門はそれぞれ西行と東行の2航路を有しているため、2シーズンを要した。このため、この水門は“双方向階段状水門”として知られている。双方向通過可能であり、各水門は隣接水門に直ちに給水できる階段状水門だからだ。
建設費を含めたプロジェクトの総費用は、6,100万ドルから6,200万ドルの間になるとBiln氏は言う。BRC社の担当部分は2,400万ドル程度で、油圧システムと制御機器の設計と供給が含まれる。
設置工事自体は冬季に行われるが、年間の他の時期にも仕事は山積みである。「機械
の通信機能のアップグレードを考えなければならない。どのような配線が走っているの
か、イーサネットおよびその他のプロトコルとのインターフェースはどうするか、など
だ」とScutt氏は言う。
プログラマブル・コントローラ(PLC)、モーター制御パネル、ヒューマン・マシン・
インターフェース(HMI)などを設計し、プログラミングを行うのは、BRC社のバーリントン事業所(カナダ・オンタリオ州)である。その後ウェランド(http://rbi.ims.ca/5702-574)にある工場に、ただちに持ち込まれる。ちょうど都合よく運河の直近のウェランドに工場があったのは、偶然の産物である。「仕事の半分はプログラミングだ」と、BRC社のアプリケーション・エンジニアPeter Nywening氏は言う。
動力ユニットはウェランド工場で製造され、試験完了後、搬入据付の時に現地に移送され、恒久的に配線される。「ウェランド工場では、配線と配線、ポンプとポンプ、バルブとバルブをつなぎ合わせて確認を行う。すべての動作と通信が異常ないこと、期待した制御状態を得られることを確認するのだ。その後、すべてを分解し、次の新しい組を迎え入れる」とScutt氏は言う。
ポンプとバルブは米国とドイツで製造されたもので、Bosch Rexroth社(BR)社のカタログに載っている標準品である。しかし、シリンダは特注品で、BR社のBoxtel工場(オランダ)で製造される。モーターは市販品を購入している。
油圧技術と水門の分野におけるBR社の広い経験をもとにして、コンセプト・ビデオから仕事はスタートした。コンセプトの承認が得られてから、シリンダ、ロッド、動力ユニットなどの設計が始まる。設計段階では、BRC社にとっても航路会社にとっても初めてのことがいくつもあった。
「最初に仕様書を作成したとき、すべての図面はAutoCADとDWG形式のファイルで作成することという要求を入れた。その後考えを変え、BRC社の要請を受け入れて、Autodesk Inventorをメインパッケージとして承認した」とBiln氏は言う。この決定の背景には、Inventorは3DでAutoCADは2D であるという事実があった。この転換プロジェクトは、BRC社にとって最初の3Dプロジェクトだった。
「3D に移行する良いチャンスだと感じた。対象物をきれいに表現するためだ。ただしInventorは習熟に少し時間を要した」と、このプロジェクト担当のBRC社主任設計技師BenGilmore氏は言う。「数ヵ月後にはコンセプト図面を出せた。作業中は大量のピザを消費しながら、かなり迅速に作業を進めた」
Inventorを使用して、シリンダとロッドの寸法を決定した。装置発注の前に多量の分析を行った。その後、荷重付加時のシミュレーションを行ない、稼働条件と運転範囲を見いだした。現地で実機を稼働させたとき、シリンダにかかる負荷は、計算していた値の5%以内に入っていた。これはとても良い成績であり、設計の効率化である」とBiln 氏は言う。油圧機器は連続作動負荷の50〜60%で動いている。
動力ユニットやシリンダの設計と同じくらい困難だったのは、それらの機器を従来のスペースのなかに入るように寸法を決めることだった。いくつかの機器は地下の縦坑の中に設置される。「全部をうまく入れ込むことができるか確認する必要があった。その時、ビデオを使うことを思いついた。動力ユニット(PU)の一般的寸法の決定のために、設置位置を提案した。すべてのPU は運河上の現在の部屋の中に入る。いま現存の機械類が入っている場所である。現存の機械が運び出され、我が社の機械が入場する。ドアやハッチをうまく通る必要がある」とGilmore氏は言う。PUのなかには乾燥重量で10 トンに達するものもある。
動力ユニットをこのじめじめしたコンクリートの建物の中に入れることは、ぎりぎりの綱渡り作業であり、複数台のクレーンを必要とする。ドアや屋根の隔壁をくぐり抜けるために、傾ける必要がある場合も多かった。建物の中には、改造しなければならないものもあった。結局のところこれらの建物は、電気機械設備を収納するために1932年に建てられ、その設備は75年間持ちこたえたのである。
3Dソフトウエアのおかげで、BRCは自社で有限要素法解析(FEA)を実行することができ、外注しなくても済んだとGilmore氏は言う。
「このプロジェクトがスタートしたとき、ANSYS社のDesign Space(http://rbi.ims.ca/5702-575)の自己トレーニングを行った。それほど多くの経験を積んでいないものをいくつか取り上げた。例えばカルダーノ・リング(シリンダの保持機構)などである。これをFEAに通して、試作品を作らずに、コンピュータ上ですべてのテストを行った。「これは2Dでは出来ないことだ」とGilmore氏は言う。
BR社がこの仕事の入札に勝ったのは、過去の業績と価格のおかげである。さらに関連業務全部を提供できるからでもある、とBiln氏は説明している。
「この仕事を細切れにはしたくなかった。コンポーネントや部品を供給できる会社は多いが、完全なシステムを供給できるところは少なかった。責任の所在は一カ所に絞りたかったのだ。すべての機器は、組み立てて完全に試験してから現場に発送される。シリンダ、動力ユニット、制御機器は工場でテストされる。BRC社はウェランドにそのテストをするための施設を持っている」とBiln氏は言う。
この仕事に対する他の応札者は、カナダMagnum Hydraulics社と米Berendsen Fluid Power社だった。
「一方、水路で仕事をしてきた我々は、レトロフィット(既存のインフラの中身を最新技術に置き換えること)に必要な水路の知識の専門家である。我々のエンジニアがBRC 社から設計を受け取り、現場に適用することになる」とBiln氏は言う。
「特殊な制御機器、漏れ検知システム、自己診断などを要求した。これはBRC社にとってはチャレンジだった。このような機能は過去に経験がなかったが、BRC社は完成することができた」とBiln氏は言う。
ウェランド運河はBRC社の最大のプロジェクトであり、扱うことのできるプロジェクトの大きさと範囲を一気に拡大したことになる。
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