Cover Story

共同体の意識で
教育危機を克服

[2008年05月号]

ハービーマッド大学、オーリン工科大学およびローズ・ハルマン工科大学は、大規模大学モデルに対抗して、別の優れた選択肢を提供する


By Charles J. Murray
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ローズ・ハルマン工科大のプロジェクト教育の一環として、学生は授業で自分のプリント基板を作成する
提供:ローズ・ハルマン工科大学

ハービーマッド大学の学生は、指定された建物に火を付け、火災が建造物に及ぼす影響を学んだ。学生はフェニックス市消防局のためにこの研究を実施した
提供:ハービーマッド大学

 数年前、ハービーマッド大学(Harvey Mudd College、カリフォルニア州クレアモント)で特別研究期間(サバティカル)を過ごしていたMichael Moody教授は、奮闘している学生から大切なことを学んだ。Moody教授は、その学生の是が非でも大学に残りたいという強固な願望に当惑し、ハービーマッド大は向いていないのではないかと言ってみた。なぜ、君にとってこれほど難しい学校に残りたいのかと、同教授は尋ねた。

 「先生にはわからないかもしれませんが、この学校は私にとって唯一の学校なのです。私が正常だと感じた最初の場所なんです」と学生は答えた。

 Moody教授は現在、マサチューセッツ州ニーダムのフランクリン・オーリン工科大学(Franklin W. Olin College of Engineering)の学部長を務めている。

 同教授は、この会話で目が醒めたと言う。この学生の発言は、小規模な大学でのエンジニアリング体験の本質をとらえている。Moody教授によると、ハービーマッド大学のような学校は、大規模な研究志向の大学とは違う選択肢を提供しているという。大きな大学は、研究に重きを置き、博士課程のプログラムを誇りにしているが、学部生の授業にはそれほど力を入れていない。これに対して小規模な学校は、近寄りがたい教授の代わりに献身的な教育者を揃え、高い退学率の代わりに緊密な共同体意識を育んでいる。学生が家族の一員であるかのように感じる意識を持てるようにしている。

 「このような感覚を持つ学生が多数いる」とMoody氏は言う。「学生は共同体の一部であるため、そこから引き裂かれることを望まないのだ」

 現在、この種の満足感は、工学教育の世界では異例である。今日の教育者の悩みの種は、米国の若い学生たちがエンジニアリングを敬遠していることである。同時に、米The Princeton Review社の調査によると、工学系の学生は一般的に不満が多く、特に教育品質に幻滅を覚えている。例えば、同社の「大学上位366校(Best 366 Colleges)ランキング」は、“低評価の教授(Professors Get Low Marks)”リストを公開しており、このワースト10校のうち7校が工科大学だった。 同様に、“学生の幸福度の低さ(least happy students)”の項目にはエンジニアの比率が高い5校が含まれていた。

 しかしこのような現象は、ハービーマッド大学、オーリン工科大、およびローズ・ハルマン工科大学(Rose-Hulman Institute of Technology、インディアナ州テレホート)などの大学には当てはまらない。これらの大学の管理者は、自校の学生の幸福度と卒業率に誇りを持っている。

 「良い教育施設では、学生の幸福度と教育品質は直接的な相関関係がある」と、ローズ・ハルマン工科大学総長のGerald Jakubowski氏は言う。「オーリン工科大、ハービーマッド大学、ローズ・ハルマン工科大などでは、学部全体が学生と共同で挑戦をしてゆこうという強い意欲を持っている」



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