特集 ラピッドプロトタイピング

目的用途別に使い分けが進む
RP装置の開発

[2008年05月号]

試作・生産のリードタイム短縮を目指すラピッドプロトタイピングの分野では、用途に適合したマシンの使い分けが始まっている。
装置ベンダー5 社とソフトウエア1 社にRP 最前線を取材した。
(大村泰憲)


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造形した部品を自動車のエンジンに取り付けて、機能性を試験する
提供:トムス

 1つの会社で複数種のラピッドプロトタイピング(RP)装置とラピッドマニュファクチャリング(RM)装置がそれぞれの特長をいかして共存する日も近い将来やってくるだろう。RP業界では、2つのトレンドがあるようだ。1つは、自動車メーカーや航空機メーカー、家電メーカーなどが自社内でRPおよびRM装置の導入を進めていることである。各メーカーは、これまで外部のサービスビューローに製品の試作や生産を外注していたが、社内でRP装置とRM装置を使い製品開発期間の短縮などを図ろうとしている。国内の自動車メーカーではトヨタやホンダがこれらの装置を使っている。

 2つめは、各種RP/RM装置の使い分けが進んでいるということである。製品開発の上流のコンセプトデザインの段階では、デザイナーが光造形機や工作機械などで作成されたモデルでデザインや曲面の手触りなどを確認する。設計段階では設計者が3DプリンタやハイエンドのRP/RM装置、切削機を使い、試作を行ったり、作成したモデルを組み付け性、機能性、強度などの検証に利用したり、設計者同士あるいは他部門との設計確認などのコミュニケーションに利用している。また、生産/製造部門では、ハイエンドのRP/RM装置を使って、生産ラインにある機械の部品やスペアパーツ、組立ラインで使用する取り付け治具など各種治具から、補聴器や印刷機の部品、フィギュアなど実際の製品の生産を行っている。リードタイムの短いF1レースカーの部品などを実生産している例もある。

自動車のドアを一体造形

丸紅情報システムズ
真弓剛課長

Stratasys社の大型造型機FDM 900mc。自動車のドアを一体造形できる
提供:丸紅情報システムズ

 これまで、RP装置は試作品を作るためだけに使われてきたが、装置の精度向上と材料の種類が増えたことで、実際の製品を生産するRMに使われるようになった。

 米Stratasys社(ストラタシス)は、同社の熱熔解積層造形(FDM)装置「FDM 900mc」を4月に発売する予定。国内でストラタシスの装置を販売する丸紅情報システムズのデジタルエンジニアリング事業部モデリングソリューション部システム一課の真弓剛課長は、「900mcは、造形ヘッドの駆動系にボールねじを使い、ヘッドを制御するため、既存の400mcに比べ造形品質とスピードが上がっている」と語る。最大の造形サイズは914×609×914mmと大きく、自動車のインパネやドアなども一体造形することができる。「分割造形して張り合わせるとそこが弱くなるため、一括で造形したいというニーズがある」(真弓課長)。また、同じ部品を複数個生産するRMに使うことも想定した装置となっている。FDM 900mc本体にはストラタシスの造形機で作られた部品が32個実装されている。付属のソフトウエアにより、ネットワークにつながっている全装置の稼働状況を一つの画面で確認したり、1週間、1カ月の稼働スケジュールを入力することも可能だ。

 ストラタシスは、RMをダイレクト・デジタル・マニュファクチャリング(Direct Digital Manufacturing)と呼んでおり、CADデータから簡単にすばやく部品を生産するのに使う900mcのような装置を拡充している。

 同社の顧客には、実製品を生産しているところもある。「薬の生産ラインの機械では、ボトルを抱えて回転する部品がある。従来、薬の種類によってボトルのサイズが異なるため、その都度アルミなどを削りだしてその部品を作っていた。現在は、造形材料の剛性などが上がったことから、この部品を短時間で造形し、機械に取り付けて使うようになっている」(真弓課長)。携帯電話などの塗装のラインで、製品を搬送するための治具などの作成にも造形装置が使われている。「一品モノだがサイクルが早いものに適している」と真弓課長は言う。



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